四日市では名古屋気分が抜けなかった。
名古屋の呪縛は強固で、三重県を実感したのは、県庁所在地でもある津からだった。こちらでは2軒の純喫茶を訪問。
まずは、「Coffee サンモリッツ」。
三重県津市大門32-3
津駅からは国道23号を淡々と歩いた。まったく面白味がない。街歩きは四日市の方が圧倒的に面白かった。内心イマイチだと思いながら、サンモリッツ目指して途中からわき道にそれ路地に入りこむと、飲み屋が集まる少し香ばしい界隈がそこにあった。
ジャズの店があり、その隣のぽってりした黄色の庇のある店だった。
ぐっと大人な雰囲気で素敵。
第一印象は、まるい。さほど広くはない店内の半分近くを占めるのは、半円のカウンター。その形に沿ってテーブルも半円を描いて並んでいた。天井も半円にぐるりと二重天井になっている。よく見ると、椅子までも半円で構成されているのだった。
山吹色のカーテンと深い赤色の椅子という、調和が取れた落ち着いた色調。
先客は、カウンターに常連風のお客さんが一人。果たしてどこに座るべきか?
どこの席に座っても死角というものがなく、すべてこちらの様子が筒抜けになってしまう、ヌケがない造り。何といっても私は“見られたくない”という厄介な性質を持っているのだから。う~~~ん、困った。
「お好きな席へどうぞ」と品が良く、優しげなオーラを漂わす女性からそう言われ、迷いながら奥の一番目立たないであろうテーブル席についた。
この店ムードメイカーは、マダムと呼ぶには若過ぎる女性の存在。
中腰になって控えめに注文を取る姿がとても印象に残っている。かなり丁寧な接客だった。
メニューの中に「季節の飲み物」というものがあったので何か聞いてみると、青梅を黒糖で漬けたノンアルコールの飲み物だという。自家製のようなので、こちらを注文。
自家製梅ジュース。梅が一粒ついてきた。美味しいのでグイグイとあっという間に飲み干してしまった。何もなくなってしまい手持無沙汰に。
BGMはジャズ。この内装にはとても合っているが、その真価が発揮されるのは、日が落ちかけた夕暮れから夜なのではないかと思っている。
店内が薄暗くなると、この緊密な造りが生きてくるのではないか。より一層魅力的に、より一層寛いで過ごせるような気がする。一度、夜訪れてみたい。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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