福島&山形では、純喫茶が少ない分、純喫茶以外から魅力を見出す良い機会となった。
山形駅の近くにある「ラヴ」では随分と長居したが、それでも次に行きたい純喫茶のオープンまで時間が有り余ってしまった。好き好んでというより、やむなく散策をせざるを得ず、時間潰しのためむやみやたらと歩きまくっていたところ、趣深い建物に出会った。
大きな銀杏の木の陰になっていて、ここが何なのか見当もつかなかったが、なぜか気になった。
吸い寄せられ近寄ると、ひっそりとした螺旋階段。
階段を上るとそこは屋上になっており、またもや螺旋階段が突き出ている。この上はどうなっているんだろう?
駐車場だった。実用的すぎてガッカリ。
屋上遊園地あたりを期待していたのに。
見下ろすと、さっき上った階段の上には、パラボラアンテナみたいな傘(?)がかかっていた。高度成長経済期っぽい?
窓ガラスから中を覗きこむと、人が座っていたが、カフェなのかしら?
屋上からは入れそうになかったので、一度階段を降りてみることに。
ぐいーんとカーブを描いたユニークな建物。
本屋だった。
1・2階吹き抜けの高い天井から、巨大な赤い提灯。
八文字屋という店名らしい。
中央には電話ボックスもあり、まるで純喫茶! (無理矢理すぎるかもしれないけど、その時は本当にそう思った)
あちこちにアールが多用されている。
東京にも新宿や池袋などにジュンク堂やブックファーストなど大型書店はあるが、ここまで装飾に凝った個性的な店舗は見たことがない。カッコイイ!
本よりも建物そのものに気を取られてしまい、凝った装飾を眺めながら、店内あちこち歩き回ってしまった。
そして、こちら。
座って本を読んでる人や書き物をしている人がいた。飲み物の自販機あり。どうやら休憩所らしい。さっき窓から見たのはここだったのだ。
2階の出口から出ると、駐車場へ続くアプローチには、本屋らしからぬストライプの庇がかかっていた。
ぐるっと回ると、1階の裏口。
「官報 政府刊行物」だって。こんなの見たことないよ! 渋い看板。
FMのラジオ局へ続く出口もあった。
正面入口のドアの取っ手にはシュールなレリーフ。有名な芸術家によるもの?
もはや本屋の枠にはおさまらないレベル。凄いよ。もしこのブログを山形在住の方、出身者の方が見ていらしてたら、言っておきたい。ぜひとも他県の方に八文字屋を自慢してもよいと思う。日本中探してもこれだけの本屋、そうはないんじゃないかな。
少なくとも私にとっては、純喫茶以上に印象に残る本屋だった。
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
調べてみたところ、なんと創業300年!
八文字屋のサイトを拝見すると、事業内容の中に「ドトールコーヒー」というのがあった。純喫茶に通じる空気が流れていたのも、そのせい?
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
あかりのまま
2016/10/20 URL 編集
カカポ
地方を侮っていたよ❗
いや、こういった建造物を内包するまちづくりに力を入れてこなかった我が国。その政策に疑問を持たなかった自分達。反省だ。こんな独創的な空間が、展示やアートとしてではなく生活の延長線上にあるなんて。
東北旅行の折には絶対訪ねます。
2016/10/20 URL 編集
エムケイ
さすがです。気付きませんでした。もしかしたらあの螺旋階段、八文字の8から連想して…でしょうか。
建物のことでさほどアピールしていませんが、サイトには、「昭和43年には、当時もっとも斬新な様式を持つ現本店が完成。」と書かれていました。
高度経済成長期≒純喫茶最盛期の特徴が出ているのも納得です。
2016/10/23 URL 編集
エムケイ
そう、まさにこれなんですよね。
建物の凝り具合等で歴史的意義があるものだと文化財として保護されますが、実はあまりソソられないんですよね。
なんというか、“見学”という感じになってしまって。
純喫茶に惹かれるのも、同様の理由です。
まさに“生活の延長線上にある”からです。
2016/10/23 URL 編集
parinko
懐かしい八文字屋の画像を拝見して、思わずコメントさせていただきました。
私が山形にいたのは30年前のことですが、9枚目の画像の休憩所は、当時は素敵な喫茶店でした。
「純喫茶に通じる空気」は当時の喫茶店の空気の名残でしょうか?(*^^*)
2017/02/26 URL 編集
エムケイ
そして、なんと! 八文字屋の休憩所、純喫茶に通じる空気というのは気のせいではなくて、素敵な喫茶室だったんですね。
今もドリンクの自動販売機がありました。
2017/02/28 URL 編集