東京大学の前、本郷通り、といえば純喫茶密集エリア。「ルオー」「万定フルーツパーラー」「ボンナ」といった珠玉の純喫茶が連なっている。そして、「こころ」。夏目漱石の小説が店名の由来。これまで旧字体の「こゝろ」に気後れして入らずじまいだったが、今日は絶対入ろう!と意気込んでやってきました。
東京都文京区本郷6-18-11
まるで明治か大正時代の映画の世界。棚沢書店と化粧品おかめやに挟まれた「こころ」。雰囲気ありまくり、絵になりまくり。テンション上がって熱心に外観写真を撮っていたところ。中から女性が出てきた。「あら?写真?どうぞどうぞ」と気さくに声をかけられた。お店のマダムである。
ちょっと出鼻をくじかれた感はあるが、すかさず、「中、入れます?」とたずね、妖しい色味のガラスの扉を開けた。
一歩店内に足を踏み入れ、瞬間感じた。「ここ、好みだ」。レジ裏の弾力素材の壁、ステンドグラスでまずはハート鷲掴み。そして、青と緑のレトロな椅子がバランスよく配置されている客席。照明にもなっているパーテーション。紫の線でシンボルマークのようなものが描かれており、なにやら秘密結社めいた雰囲気(笑)。そして、ベージュ地の壁にじっくり目をこらすとに薄っすら薔薇模様入り。
初訪問時、お客は私だけだった。かなり自由に店内の写真を撮った。「他にお客さんがいないから、ドンドン写真撮ってくださいね」の有り難いお言葉に感謝しつつ。
一通りの撮影終了後、アイスコーヒーを飲みながら、1時間以上もマダムとお話。とても気さくで朗らかな方。「みなさん、珍しいらしくてよく外の写真撮ってるのよ。なかなか入ってこないけど。入りにくいのかしら?」と。
そう、確かに入りにくい。私もそうだったから。
お客さんは教授、生徒など東大関係者が多いらしい。また1日に3回来るお客さんもいたり、お客さん同士で仲良くなったり、お客さんのお気に入りの品々を店内に置いたり。棚には、手作りの毬、バカボンの人形、コンペイトウなど、趣味嗜好統一性なし。ノンジャンル。ギッシリ置かれている。
奥の席には男女の西洋人形が2体。こちらもお客さんの手作り作品。そして壁には絵。こちらもお客さんによる寄贈。この絵に関してはちょっとしたストーリーを聞いた。できたら、現地に足を運び、直にお店の方に聞いてほしい。
2階席は準備中。平日、東大の学生さんが貸切で利用することもあり。土曜は閉めている、とのこと。
でも私も私で調子に乗り、2階席も見せてもらった。体調の悪いマスターが2階席でお休みしてることもあるらしく、「ちょっと見てきますね」とマダム。「大丈夫ですよ」と案内してくれた。感謝。
2階は絶景です。窓が大きく、東大が見える。沿道の木々の新緑は爽やかで、絵になっていた。秋は黄色く色づき、それも見ごたえがあるらしい。ここで丸1日過ごしても飽きないなぁ…とため息。実際、小説家の方がここで小説を書いていた、と。
とても気に入って、「また来ます」と約束。この2週間後に再訪問。
↓↓↓ 以下2回目の話 ↓↓↓
メニューのウインナーライスが気になっちゃう感じ。マダムにどんなものか聞いてみた。
ライスに炒めたウインナーとキャベツをのせたもので、ソースを絡めた家庭料理。誕生のキッカケは東大の学生さんの要望から。ガゼン試してみたくなります。
それがこれ。真っ赤なウィンナーが懐かしい。見た目で感動してると、それを見て、マダムもニコニコ。
お味ですが、これが、また。美味しい!!! クセになる味。次回もまたこれ頼もう。
ちょうど食べ終わる頃、初来店風の男性が近くの席に座った。「ウィンナーライスって何ですか?」とマスターに質問してるのが聞こえた。その説明を聞きながら、マダムと私は顔を合わせて思わず笑ってしまった。「彼女もさっき頼んだのよ~」とマダム。
常連さんで日に何度も来て、自宅のようにここで過ごす方がいるとマダムから聞いていた。そこで、私も常連への一歩? 「ちょっと東大に散歩行ってきます。また戻ります」と1回店を出た。
久しぶりの東大は(私は卒業生ではありません)重要文化財並みの美しさと古さを持つ建物ばかりで、散策のし甲斐があった。せっかくなので、夏目漱石繋がりで、三四郎池を見に行くことにした。東大構内をうろついていると、あれ、どこかで見たような方が?ウインナーライスを注文した男性客でした。「さっきはどうも」などと挨拶しつつ。ちょっと照れくさい。
三四郎池は木々生い茂る自然溢れるスポットだった。のんびりしたかったが、蚊にしこたま刺されまくって我慢できず、「こころ」に逃げ帰った。レジに座るマスターに「ただいま」と挨拶して(笑)。
東大周辺ではカメラで写真を撮りながら散策している人が非常に多い。ここも格好の撮影スポットになっている。
[2010/08/30 追記]
この場所は新宿中村屋発祥の地でもあります。明治40年に新宿に出店し、新宿中村屋に。当時職人として働いていた方が本郷店を任され、のちに独立し館山中村屋を創業するという経緯があります。
こゝろマッチ・初期デザイン (2011年10月) ※現在配布してません。 ※画像をクリックするとマッチ側面が見れます。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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