善光寺下から権堂へ移動。
こちらでは2軒の素晴らしい純喫茶と出会った。いつもの遠征レポは思いつくまま順番を無視しているが、今回の長野レポは全部時系列で紹介したい。
税務署の前にある「珈琲館 りんどう」を訪問。
長野県長野市南長野西後町610
閉店
正直、外観を見たときは普通だなと思った。どこにでもあるごくごく平凡なテンプレート化した正統派喫茶かな、と。
ところが、実際は想像以上に素晴らしい空間。
ドア開けると真正面には「りんどう」のプレート。濁点だけ色違いなのがファンシー。
店内は大きく2つに区切られており、右手がカウンター、左手がテーブル。迷わずテーブルを選んだ。
4人掛けがデフォのゆったりめの配置。小ぶりでシックな黒いテーブル。ちゃっかりゲーム機のテーブルも紛れている。パーテーションには生花。嬉しいことに花はりんどうだった…と言いたいところだが、そこまでコンセプトは統一されておらず、黄色の小菊が活けてあった。
鏡張りの壁は、店内を広く見せるため純喫茶では広く採用されているが、こちらもその手法を取り入れていた。
縦一列に並ぶペンダントライトには葡萄の絵。天井には小さな金魚鉢のようなライト。照明が魅力的である。
黄色の可愛らしいランプもある。
一方カウンターに横一列に並ぶペンダントライトはぼってりしたタイプ。涼やかで幻想的なブルーに心奪われた。
さらに素晴らしきは椅子。背もたれには白いカバーがかかり、ずらり整列している。一瞬、ビシッと背筋が伸びる。
清潔でクラシカル。これぞ純喫茶!
電話boxには玉のれん。
一見どこにでもありそうな正統派だが、頭の中の純喫茶データベースを検索しても、東京でこういうタイプの店がまったく思いつかなかった。
地方を訪れると、たまにこういう“ありそうでなさそうな純喫茶”に出会うことがある。その地だからこそ出会える純喫茶。
これが長野らしさなのか?
さて、ここでやっとお待ちかねのモーニングといきたいところだが、メニューにモーニングセットがない。あらら……。
「モーニングセットにしようか?」
ひと足後に入店した女子の話声が聞こえた。なーんだ!モーニングあるんだ? なら私もそれに便乗しようと考えていると、「モーニングはないのよ」とカウンターからママさんの声。
やっぱりないのか。ブレンドコーヒー、純喫茶では珍しいベルギーワッフルを見つけそれを注文。
ところがワッフルは切らしているとのこと。代わりにホットケーキを勧められる。なんとなく手焼きの可能性は低いと考え、
コーヒー単品にした(朝4時半起きでまだ飲み物しか口にしていない)。
BGMはラジオ。選局が良いのか、クラシック音楽が流れていて、良い雰囲気。少しすると、それを上回る音量でドビュッシーの『月の光』が流れた。
ほんの少し前、それまで店にいなかったマスターが戻ってきて、すぐ流れたので、もしかしたら音楽はマスターの好みなのかもしれない。私の好きな曲でもある。
目を閉じてじっくりと聴き入った。
朝からショックなこともあったが、この店に入ってからすっかり飛んでしまった。長野に来て本当に良かったと心から思えた。
ちなみに、りんどうは長野県の県花である。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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