長野県長野市南長野西後町1585
どこからどうみても蔵だが、この建物の端っこが純喫茶になっている。
ひっそりとしていて気安く入れる雰囲気ではないが、むしろその近寄り難さすら魅力に変える、紫の吸引力。
怪しげな妄想に胸高まる。
扉を開けて驚いたのは、先客がいたこと。
え、いるんだ? という感じ。ま、逆に言えば、私の方も、え、入ってくるの? と思われていたりして。
扉からは紫の光が射し込む。
市松模様の床に、テーブルに、椅子に、妖しげな紫の影を落とす。店内はムーディーな色合いに包まれるが、それとコントラストを成すかの黄色のペンダントライト。
はっきり言うと、私の大好物。
壁には絵画、カレンダー、貼り紙等びっしり貼ってあり、せっかくのシックな色合いの壁なのに、生活感が出てしまい、それだけが少しもったいない気がした。
ただ後から考えると、これも実に大きなお世話で、壁に掲示してあるものはお客様からの頂き物の可能性が高い。それをいつでもお客様の目に入るよう飾ってあるのでは? そんな気もしてきた。
紫に一番近い入口のゲーム機テーブルに座った。
壁に貼ってあるメニューは飲み物中心で、コーヒー300円を始め、全体的に価格は安い。右隅に「1997.5.1~」と書かれていた。
ここでもモーニングはなさそうなので、いっそ割り切って、この日のモーニングは諦めた。
オレンジジュース320円。
さすがに生ではなさそうだが、グラスの可愛さとさくらんぼ。ビジュアルは100点満点だ。
BGMはムード音楽。
ママさんは気さくな方。お手洗いをお借りするときに、「古いですが……」と言われ、出てきたら、「うちの店静かでしょう?」と話しかけられた。
具体的に創業年は伺っていないが、内装の雰囲気も含め1960年代の可能性が濃厚。というのも、レジが相当な旧式で、右手のレバーを回すと開くものだったので、「こんなの初めて見ました!」とビックリしていると、「50年以上使っています」。
すぐそばに座っていた常連さんは、親子2代で通っていると言っていた。こちらのママさんも2代目なのかもしれない。
メニューの「1997.5.1~」については、ずっと通ってくれるお客さんばかりなので、値上げするタイミングがなかった、とのこと。「時々、お客さんにも心配されるのよ」とママさんは笑っていた。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
あかりのママ
ご主人が巨人軍と高橋由伸選手がお好きということで、2016年の高橋由伸監督記念カレンダーが飾ってありました。
「もったいなくて使えないの」とお話好きのママさん笑ってました。「運動が好きだからグラウンドゴルフとかやりたいけど、店があるから、あと5年くらいしたらできるかなあ」とも。県庁に出入りする印刷屋さん御用達のお店なんだそうです。エムケイさんの紫のドアを反射したグラスの写真、あの席じゃないと取れないですね。ロンのドア、ステキでした。
2017/01/09 URL 編集
エムケイ
店の(レジが50年以上)歴史からしても、創業者ではないと思っていましたが、別の方が営んでいた時代もあったのですね。
でも、現在のママさんになって30年となると、純喫茶ロンの歴史の中でも、すでにママさんのカラーの店になっていることになりますね。
県庁に出入りする印刷屋さんの御用達でしたか!
となると、近くにある(今はどうしてるのかしら?)りんどうは税務署の出入りの業者の御用達なのかも?
紫に染まったグラスは入口の席限定の特権です(笑)。
2017/01/11 URL 編集