このところ、多摩地区によく出没してます。
そんなことを、ぼんぼちぼちぼちさんにお伝えしたところ、「多摩地区なら府中が純喫茶の宝庫です」と教えていただいた。
そういえば、府中にはあまり行ってなかった。京王線の府中駅ぐらいで。
たしか、JRにも府中なかったっけ? あ、あった! 府中本町!
東京都府中市本町2-20-86
閉店
いつも気にはなってたのよね、府中本町。JR武蔵野線の終点だから。
だけど、実際に使うのは、西国分寺と武蔵浦和ばかり。府中本町では降りたことがなかった。
……終点まで行ってみた。
競馬場行き臨時改札があった。
そうよ、そう。府中といえば、東京競馬場。
私は競馬には詳しくありませんが、競馬と純喫茶の相性が良いことは知っています。
純喫茶が、ないわけない。期待高まる。
駅前には、心惹かれる場末チックな外観の飲食店があり、ますます期待が高まっていきます。少し路地を歩いた。
あ! 思わず足を止め、
息を飲む。
2階部分のファザード。すっごいカッコイイ
完成度の高すぎるビジュアル。
そして、看板。只者ではないセンスの良さ。店名は「珈琲専科 トップ」。専科に昭和を感じる。
目に鮮やかな緑の看板もある。
ロゴの可愛さでは向かうところ敵なし。チモト3兄弟の看板もあり。
ふと目をやると、入口のそばにはドーム状のショーケース。なに、この世界観? 素敵~~
と、ここで、後ろから声をかけられた。
「写真撮ってたみたいだけど?」
お店のママさんでした。
あ……。無我夢中で無防備な姿を見られてたのね。素敵だったので、と答えると…
「中も素敵よ。」フレンドリーなママ。
「暑いわねぇ…」
ん、もう。観念。入ります。
扉を開けると、すぐ年代物のレジスターがあり、頭上には電球が! シンプルながら、存在感があります。
外がグリーンならば、店内は茶系。クラシック音楽が流れ、正統派純喫茶のお手本のような内装。
茶系というのは、写真に撮るとどれも同じに見えますが、いざ実物を見ると、手入れの差が歴然としています。
40周年を迎えたとのことですが、トップは大変お手入れが行き届いており、きれい。
壁のランプは山小屋風で、どれ1つとして欠けがありません。
写真ではイマイチ伝わりにくいのが残念ですが、壁の木目が一種独特で美しい。
少しだけお腹が空いていた。メニューを開くと、フード・ドリンク豊富で迷う。
目の端に、木製の可愛らしいメニューが掛かっており、紙粘土(?)で「ホットケーキ」との文字。なんとなく、店の一押しに思え、注文。
まずはセットのアイスコーヒーが出てきた。ガムシロの容器がオリーブグリーン。綺麗。
「ホットケーキはもうすぐ出ますので」
カウンターを見ると、オーブンから、柄のついた長いコテのようなもので、2枚のホットケーキを取り出していた。
なかなか珍しい光景。
そして、1枚のホットケーキにバターを塗った後、もう1枚を重ね、さらに上にもバター。
おおお。嬉しい。
以前から言い続けてることだけど、下にあるホットケーキにバターをどう塗るかは、大きな課題でもあった。
理想は最初から塗ってあること。自分で塗るのは、少々難儀。最悪は固いバター。いくら美味しい生地であっても、これだけで最初のテンションが落ちる。
バターじゃなくてマーガリンなのかしら? 同じに見えて、区別できません。><
そうそう。このずり落ちそうなのがイイのよ~~
生地そのものには甘みがあまりないので、シロップをたっぷりかけていただきました。うーん。幸せ。
食べ終わった頃に、ママさんに声をかけられた。「落ち着いた?」
落ち着いた、と言いたいところだけど、そうでもないのよね。ずっと2階が気になっていたので、見せてもらいました。
階段をタンタンタタンと軽快に上ると、そこは1階とは全然違う明るいトーン。薄いグリーンのソファが並び、大きなランプのような照明がいくつか下がっている。壁には東郷青児風の女性の絵が飾ってありました。テラスにも出れるようです。
団体さん用の貸切に使われるらしい。
お店のマッチもいただきました。
ブラジルの地図の中にサイフォンという構図で、外の看板と同じ意匠です。特許も取っていると聞き、ビックリ!
これも地図っぽいですよね。でも、ここまで都合良い長方形の国が思い浮かびません。
たまたま私が入ったときは夕方で、店内は静かでした。でも、テレビがあった。時間帯によっては、競馬中継で賑やかになるのは想像に難くありません。(だからこそ、WINSの近くでは根強く純喫茶が生き残れるのだと思います)
珈琲専科トップを出たが、外はまだ明るかった。夏場の嬉しいのは、こういうところ。少しだけふらふら歩いた。
ものの1・2分ほどで、また純喫茶と出会う。
「喫茶 門」。こちらもファザードが魅力的。
喫茶門は閉店しました。
ところが、「本日お休み」の案内が出ていた。
さきほどの珈琲専科トップで、充分すぎるほど満足していたので、残念というよりなんだかホッとした。素敵な純喫茶にはたくさん入りたいと思う反面、自分の中に、1日の純喫茶満足度メーターというのがあり、満タンになったら、もうこれ以上は…という気持ちもある。
府中本町には改めてまた来ます。
珈琲専科 トップ マッチ (2013年) ※画像をクリックするとマッチ側面が見れます。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
加藤元彦
本日(9月28日)訪れたところ、更地になっていました。
以上ご報告いたします。残念です。
2021/09/28 URL 編集
エムケイ
そして現在はすでに更地になっているとのこと。
府中本町の貴重な純喫茶でした。
ご報告ありがとうございます。
2021/09/30 URL 編集