甲府から身延線に乗り市川本町で下車。
山梨県西八代郡市川三郷町市川大門1266
身延線は甲府と富士を結ぶ路線。南甲府と富士宮以外で降りるのは、これが初めて。
市川本町は無人駅。駅前から人気のない商店街を黙々と歩き、富士山の写真の付いた富士山モチーフの建物の端っこにある「りんどう」を見つけ、こりゃ当たり!と小躍り。
ひっそりとした雰囲気といい、渋い木製の扉といい、もろ私好み。
しかし、ドアには……
「準備中」の札!
え~!なんで準備中なの?営業時間じゃないの?
ここまで来てそんな殺生な!
しかし、この外観の雰囲気は今日入れなくても、また出直したいと思わせる魅力がある。また来よう。
でも…もしやの可能性もあるので、近場をうろうろして20分後に戻ってきたのですが、女性が扉を開けてるではないか! すかさず中へ。
「準備中なんですか?」
「はい準備中です」
「入ってもいいですか?」
図々しいとは思いましたが、暑いし他に行くところはないし、食い下がってみた(^_^;)。
「どうぞ外は暑いですし、入ってください」
もしや、ずっと「準備中」にしてるのでは疑惑。
ああ、ここは好きだ!
外観も渋いが、店内も渋い。薄暗くて怪しいモード。
窓から入る光は窓際だけで奥まで届かない。扉には純喫茶お得意の真ん中絞りのカーテン。その隙間から入る光が床に影を落とす。その美しい陰影を見ていると、電気を消して暗くしてるのも正解だと思った。
渋い!とても渋い!
性別をつけるとしたら男。大人か子供かといえば大人。アダルトな魅力のある純喫茶です。
テレビの下には貼り紙。コロナなのでカラオケなし、とある。コロナ以前はカラオケもやれたのか?
「注文したいのですが」
「あの壁にあるのがメニューです」
真っ暗で遠くからだと何があるのかよく見えない。でもコーヒー250は見える。
コーヒー250円?なんだか異様に安いが…アイスコーヒーを注文。
「うちのアイスコーヒーは甘くなってるのですが」
問題なし。夏は甘い方が体にグイグイ染み込むので、むしろ嬉しい。
グラスは好みの分厚くボコボコと凸凹模様があるタイプ。
テレビではオリンピック。
訪問したのは昨年。
ママさんはカウンターに座って見ていた。私も自分の席から一緒に見る。
外は灼熱。やってるかどうか怪しいオーラの純喫茶だが、店内はしっかり冷えて涼しい。私好みのやさぐれた場末喫茶はエアコンの効きが悪い事が多いので、好みと涼しさが両立できてて有難い。
マッチは「あるのよ、待ってて」とママさんは探しに奥に消えました。自宅も兼ねているのですね。
りんどうは町花なのだという。
扉は「準備中」のままだった。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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