【和歌山市】純喫茶 クラウン(閉店)

これぞ求めていた純喫茶。いつも夢に出てくるのは、こんな純喫茶だった。出会った瞬間、喜びに打ち震えた。

幻想的な青い光に包まれた、「純喫茶 クラウン」。ドップリ深海に沈んでいった。

純喫茶 クラウン

純喫茶 クラウン

和歌山県和歌山市堀止南ノ丁1-1
2017年末閉店

場所は堀止交差点。市駅を背に、和歌山城からさらにさらに遠ざかる。ハッキリ言って、ここまで来ると、市駅よりもJR紀勢本線宮前駅の方が近い。

純喫茶 クラウン

庇にもドアにも純喫茶。入る前から、なんとなくお客がいなそうな予感があった。

純喫茶 クラウン

ダーツの的みたいなアイコンのダートコーヒー。和歌山ではいくつか見かける。

純喫茶 クラウン

深く青い扉、丸く赤い取っ手。

純喫茶 クラウン 純喫茶 クラウン

想像通りお客はいなかった。暑い中、ここまで自転車を漕ぎ、うっすら汗をかいていたが、青い光が体感温度を何度か下げてくれた。

純喫茶 クラウン 純喫茶 クラウン 純喫茶 クラウン

パーテーション、椅子、銅色メタル照明器具、壁の模様。すべてが完璧。ミッドセンチュリー風。

純喫茶 クラウン

入口に近い、端っこの席に座った。

純喫茶 クラウン

ピンクのペンダントライト。この母性を帯びた丸形は、どこかで見たことが。

純喫茶 クラウン

オレンジスカッシュは、これぞケミカル100%。青い光に包まれ、さらに妖しげな色合いに。

ここでは、果汁100%は似合わない。ケミカルこそが正解だ。

マスターはパーテーションの向こう側。店全体がシーンと静まり返っており、ついてるテレビの音が浮き上がっていた。この感覚。この時間。嬉しさで背筋がぞくぞくする。

とうとう他にお客は入ってこなかった。

ただ、昔は違ったらしいが、その話は後で。まずはマッチ。

店名がクラウンなので、王冠マークの入ったマッチを期待していたが、もう無くなっていた。「うちのじゃないけど…」と差し出してくれたマッチ。

純喫茶かおりマッチ

「純喫茶かおり」「服部元町商店街」

純喫茶かおりは、マスターのお姉さんが営んでいた純喫茶(すでに閉店)。

服部は阪急線「服部駅」のことだが、改称し現在は「服部天神駅」。駅名が変更したことをマスターは知らなかった。前日、うろついたが、時間が遅くて、どこも閉まっていたけど…。そんな話をすると、急にマスターがノッてきた。それまで寡黙な方だと思っていたので、ビックリ!

私が阪急の十三に宿泊してると話すと、さらに盛り上がってきた。

私はこの日の朝、十三西口が火災にあったことを知ったが、当然、マスターは知っていた。関西では有名なニュースに違いない。火事の写真が貼りだされていた話をすると、「さすが十三やなぁ…」(⇒記事参照

「十三は面白い。キタともミナミとも違う。十三は十三」

たしかに、私もたった数日だが、実感したもの。コール&レスポンスとか。

私が東京から純喫茶のために来たと話すと、「うち、こんなん出てる」

手渡されたのは、和歌山の情報誌。表紙がこの店! 10年前に出たものだが、和歌山の喫茶店特集で、グラビア充実。クラウンだけでなく、他の純喫茶(今回振られた森永含む)も掲載されていた。こりゃすごい!

純喫茶 クラウン

壁には、ひときわレトロカッコイイ時計。ナショナル製。下をパカッと開くと振り子になっており、現在も正確に時を刻んでいる。

今でも充分通用するデザイン。いや、それどころか、かえって新しい。

雑誌にはこの時計の写真だけで1ページを割いている。記者のインスピレーションを刺激したのだろう。

文中にも記述があるが、昭和後期まで、スーパー「イズミヤ」が近くにあったらしい。そこの従業員が来て、店内は賑わっていた。クラウンでは食事を出さないので、飲み物さえ注文すれば、食べ物の持ち込み自由。女性従業員が弁当持参で、お昼休みを過ごしたのだという。

定休日は木曜日だが、これはイズミヤの休業日に合わせて。

イズミヤが無くなり、お客が少なくなったのだという。

純喫茶 クラウン

アンティークなレジ。これも写真が載っている。

真剣に熟読していたら、「あげるよ」。ええええーー! 嬉しいなぁ! ありがとうございます。この手のタウン誌、その地域でないとなかなか手に入らないので、貴重。

純喫茶 クラウン

帰りに、「クラウンという名前、純喫茶ぽいですね」とぽつりと漏らすと、

「あの頃は流行ったからね。みんなクラウンに乗ってた」
※純喫茶クラウンは昭和35年(1960年)創業。

んっ? クラウンって自動車のこと? 王冠じゃなくて?

実際には、クラウンという店名はマスターが付けたわけではないので、“多分”自動車のクラウンじゃないか、と言っていた。これまた時代を感じるネーミング。

1か月近くかかった和歌山編全5回。今回が最終回だが、忘れられない純喫茶となった。

喫茶・軽食 ファッション

駅に戻る途中、またこんな飛び切りカッコイイのに会った。「喫茶・軽食 ファッション」。ファッション? なんだか純喫茶モデルとワンセットみたいな店名だな。

残念ながら、閉まっていたけど。いつか、会う日まで、待っていておくれ。


利用金額

  • オレンジスカッシュ 300円

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コメント

和歌山市の純喫茶巡りをしている餅です。
純喫茶クラウンが昨年末を持って閉店されました。他には喫茶小波も閉店されたようです。
MKさんも大好きな純喫茶の一つだったと思うので連絡させていただきました。

エムケイ

>餅さん
> 和歌山市の純喫茶巡りをしている餅です。

こんにちは。ブログも知ってます。
最近更新ないな~と喫茶好きの友達と話題にしてました(笑)。

> 純喫茶クラウンが昨年末を持って閉店されました。他には喫茶小波も閉店されたようです。

クラウンが昨年末に閉店でしたか!
2度目の訪問のとき、もうそんなに長くないとマスターがおっしゃってましたが、これまでよく頑張って続けていただきました。お疲れ様と言いたいです。
小波もですか。私が訪問した後に他の人が行かれましたが、いつも閉まっていたようで、やはり閉店ですか。
人口に対して喫茶店数が日本一あった時代もあった和歌山ですが、素晴らしい喫茶店が次々閉店していくのですね。
浜はまだ大丈夫かしら?

> MKさんも大好きな純喫茶の一つだったと思うので連絡させていただきました。

小波も好きですが、クラウンは和歌山純喫茶の中でも特別に大好きな店でした。
ご連絡ありがとうございます。

浜は営業されてますよ。確か、浜にもクラウンが掲載されたレア雑誌が置かれていたと思います。
また和歌山の喫茶巡りして行こうと思いますので、これからもよろしくお願いします^ ^

エムケイ

>餅さん
浜は営業してますか。良かった。
もう一度行きたいです。

浜にも例のレア雑誌ありましたか(笑)。
大きく掲載されてますものね。マスターも。

> また和歌山の喫茶巡りして行こうと思いますので、これからもよろしくお願いします^ ^

楽しみにしてます。
和歌山はまだ他にも行きたい店があるので、その時は参考にさせていただきます(^^)
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エムケイ

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当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。

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