【虎ノ門】ヘッケルン　

すると、もうダメ。行きたくてしかたないんですね。もはや、ジワジワじゃなく、是が非でも行きたくなる。

仕事帰りに寄ってきました。

ヘッケルンの看板メニュー。ジャンボプリンは通常の2.5倍の大きさがあります。

3年前に食べたものと同じ味。カラメルとプリンだけの飾り気のない素朴なもの。

つるん、と食べてしまいました。もう1個イケそう～～

蝶ネクタイのマスターが空のカップにコーヒーを注ぎました。

テレビでは夕方のニュースが流れていた。

「スマートフォンのカメラで女性のスカートの中を盗撮した男を逮捕」

カウンターに座るお客さんとマスターは、このイマドキの事件について語り合ってました。

「携帯にカメラが付いてるのがいけないんだよ。だから、つい魔が差してしまう」

「大きいカメラだったら目立って盗撮できないんだから」

そんな意見もあるんだ！　コーヒーを飲みながら、お店に置いてあった雑誌を読んでいたのだけど、ついつい耳がそっちに（笑）。下を向きながら、笑いをこらえるのに必死だった。

この光景、3年前とまったく同じだ。

あのとき流れていたニュースは、

「女装をし運転免許を取得しようとした男。妻になりすまし借金をするため」

まるで漫画みたいな事件だが、
「女装なんかでごまかせるもんかね？」
「写真だからわかんないんじゃない？」
「数多くていちいち見ないんじゃない？」
なんて話していた。

旧ブログ「わき道にそれて純喫茶。」

帰り際に、写真撮影の話を切り出した。
「もう閉店時間だしいいよ。日中だったら断ったかもしれないけど。どうぞ座ってください」。

実はあまり時間はなかったんだけど、こんな機会はそうないし。カウンターに座りなおし、じっくり腰を据えてお話をお聞きしました。

まずは私からプリンの感想を伝えた。
「あっさりしてて美味しかったです」と言ってみた。実は、「あっさり」の部分は誤解を招く表現なので、言ってから、「しまった！」と慌てた。

ところが、「よくぞ！」といった表情でマスターの目は輝きました。
「一口食べて、あー美味しいっていうプリンは作ろうと思えば作れるけど、そういうのだと最後には飽きちゃう。」

なるほど！　私の言いたいことをうまくまとめてくれ、スッキリしました。そうです。言いたいことはそういうことなんですよ。

さらにマスターはこうも付け加えました。
「プリンとカラメルの味そのものを味わって欲しい。だから、生クリームを乗せたり、アイスをつけたり、フルーツを乗せたりしないんだよ」

あー!!!　これ、今なら分かる。3年前はこのシンプルさに物足りなさを感じたのだけど、今なら分かる。ヘッケルンのプリンは毎日食べれる飽きのこない美味しさなんですよね。とはいえ、プリンアラモードのレトロ可愛さも捨てがたいのだけど… （＾＾；

そして、ヘッケルンといえば、この貼り紙。

「寝ないでください」

ヘッケルンに行ったことある方、目にしたことがありませんか？　そして、こうも思いませんか？

果たしてここで寝る人いるんだろうか？

だって、それほど寝やすい椅子ではないからだ。

これについては、質問するより先にマスターからユーモアたっぷりにエピソードを語ってくれました。

15年前に貼ったら、「寝ないでください」が面白いからと、テレビ局のスタッフからぜひ！と言われ、テレビに出たらしい。3日で剥がしてしまったけど、今度は「寝ないでください」を目当てに来るお客さんから「見せてください」とリクエストされ、もう一度貼りなおし、現在に至る、と。貼るキッカケについては伺っていますが、ここでは割愛します。興味のある方はぜひ現地で聞いてみてくださいね。

店内をじっくり見回すと、大変手入れが行き届いてることに気がつきました。カウンターはつるつるに磨きがかかっています。マスター自らニスを塗っている、とのこと。他にも紙ナプキン入れ。木製なのだが、全部手作りなんだって。「1個1個違うんだよ」と言ってました。

ヘッケルンは創業して丸41年経ち、現在は42年目に突入。50年を目標にしているそうです。

それまで何回行けるかな？