始め有るものは必ず終わり有り。
楽しい時間もそろそろ終わりを告げる。多治見を最後に締めくくるのは、たじみ広小路にある「白樺」。有終の美を飾るにふさわしい純喫茶である。
岐阜県多治見市広小路1-21
閉店
この無駄にカラフルで昭和テイストなゲートをくぐればそこは夢の国…と言いたいところだが、前々回の記事でも書いたとおり、人っ子1人歩いていない寂れた商店街である。
このような場所では人目を引く外観である必要性はなく、むしろ出過ぎたマネをして悪目立ちせぬよう息をひそめてひっそりとするのが正しい。とはいえコカ・コーラの看板だけが目印という、いささか寂しい外観であった。
入った者だけが真を知る。
ヒヨコ、モリタではしゃぎっぱなしの私だったが、ここに入った途端ピタッと止まった。
そこはまさに私が求めていた世界。
薄暗い静寂の空間に鮮やかに咲くチューリップ。赤と緑が二重奏を奏でる。
以前から会う人会う人に「チューリップランプのある純喫茶はないか?」と聞いて回っているが、東京都内ではほぼ皆無。あるとしても青と白、オレンジと白といったツートーンカラーで、しかも丸い。本物のチューリップが丸いか? 私の理想は単色で下がキュッとすぼまったリアル・チューリップなのだ。
最近ではあきらめの境地に達していた。本物のチューリップなどというものは過去の遺物。写真の中だけに存在するものだと思い込むようにしていた。
思いがけぬ形で出会ったリアル・チューリップ!
緑のチューリップなんてあったっけ?などという突っ込みは受け入れないので悪しからず。舞い上がった私を現実に引き戻さないでおくれ。
店内はRが多用されており、装飾としてのR、隣室へのゲートとしてのRもある。
これは敢えて写真を撮っていないのだが、Rをくぐった隣は和室になっている。最初見たときは、こ、ここは一体? シュールな気分になった。
後で聞いた話ではそこは宴会場だとのこと。
ここではフルーツところ天。
ただのところ天もあるが、値段がそう大きく変わらないことと彩というか写真映えするものを注文するのは悪しきブロガー根性である。
ちなみにフルーツ寒天というのもあり、乗っているフルーツは全く同じ。
ところ天にかかった酢とフルーツが絶妙なハーモニーを奏で…というのは嘘。寒天の方が美味しいと思う。
ネルケンのマダムのようなおっとりと上品なマダムにお話を伺うと、こちらは多治見で一番古い純喫茶で、なんと創業80年!
このどっしりとした風格と落ち着きはなかなか他では出せないものである。
順位をつけるのは好きではないが、いつまでも八方美人では先に進めない。あくまでも私個人の好みであるが、【TAJIMIX 2015】のナンバーワンは白樺である。迷わず断言。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
ひよこたそ
西日暮里の「フィレンツェ」は行かれましたか。
おすすめです。
2015/06/15 URL 編集
エムケイ
西日暮里の「フィレンツェ」
まだ行ってないです・・・。
そろそろ行かなきゃ。
2015/06/15 URL 編集