今年のGWは喫茶とは無縁のまま終わっていきそうな予感。仕事がある。でもどうせこの時期喫茶店は休みが多いのだから、これはこれでいいのかも、と自分を慰め、今後の楽しい予定に思いを馳せ悦に浸るのであった。
そんな仕事三昧な日々(?)、ふとしたタイミングで、住吉「みどりや」に行ったことを思い出した。
東京都江東区扇橋2-6-13
あれは岡山に行く少し前、天気の良い日。東陽町駅前の「峰」が案の定休みであるのを確認し、そこから寄り道しながら住吉まで歩いた。結構な距離だった。
大通り沿いには純喫茶がそこそこ残っているものの、閉店してしまった店舗も多い。例えば「琥珀」。庇の幌はどこへやら、枠のみ残っている。断言はためらわれるが、さすがに閉店だと思う。さらにもう1軒「くるみ」。ここは随分前から営業している雰囲気がなかったが、表に出ているショーケースだけは現役感を残している。そこからさらに清澄白河方面に進むと、目的の「みどりや」が見えてきた。
小首を傾げたような真ん丸のオレンジの看板。
縦長で緑のストライプの庇と看板のバランスが実に見事な昭和パーラーぶりである。
ホットドックと天然果汁が名物。
壁には古くから掛かっているらしいメニュー表。小腹がすいてもいたのでホットドックにしようかと思ったが、最近丸一日喫茶巡りをするときには一軒は食堂を挟むようにしており、この日もそのつもりだったのでグッと我慢。
生オレンジジュース400円
注文するとシュールな招き猫の乗ったオロナミンCの冷蔵庫の向こう側からガガガガ!と音が響く。このときばかりはテレビの競馬中継はかき消された。
看板通り「天然果汁」といった味でぐいぐいと飲み干し、底にはオレンジの生々しい果肉が残る。
カウンターのそばにはママさんがいたので、写真撮影の確認をすると、「こんなところ撮っても仕方ない」とピシャリ。
普段ならもうひと押しする私だが、この日は午前中にナーバスになる出来事があり、「そうですか」とあっさり引いた。
席に戻りそろそろと帰り支度をしようとしたところ、背後から「いいわよ、別に撮っても。どうぞ!」とママの一声。
え? あっさり引いたのが功を奏したのだろうか。ありがとうございます!
改装はしばらくしていなさそう。随所に凝っている。
天井のゆるやかなカーブ、場所により色味・素材の異なる壁、使い込まれた椅子、横長六角形のテーブル、ぐにゃりと溶けた水飴のようなライト。
写真ですべてを写し取ることは不可能だが、少しでも一瞬の空気を切り取れたら。
近くの席で新聞(多分、競馬新聞)を読みながらタバコを吸うママ(大ママ?)の姿はとてもカッコよかったが、発する言葉もまたカッコよかった。
アド街にも出たけど一時的なものね、近くにもすごい行列のできる珈琲屋できたみたいだけど今はそんなでもないみたいね。世間話ノリの簡単な言葉だが、妙に説得力があって頷いてしまった。
この後は清澄白河まで歩き、前々から気になっていた「実用洋食 七福」にて、ビールを飲みながらの夕食。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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