富士は日本一の山~♪ そんな歌もありましたね。
2013年には、世界遺産に登録された富士山。ところが、それよりずっと昔から富士の名で営業する純喫茶がある。
昭和6年創業。清水銀座「洋菓子喫茶 富士」。縁起の良い赤富士が力強く迎えてくれる。
静岡県静岡市清水区銀座11-24
2021年12月27日閉店
地図上では静岡鉄道・新清水駅が近いようだが、私はJR清水駅から向かった。歩いて15分ほどだろうか。
清水銀座にはのんびりした鷹揚な空気が流れており、かつては栄えていたであろう面影を残している。
富士は洋菓子喫茶の名の通り、店頭ではケーキを販売。その奥が喫茶室になっている。
看板はいたってシンプル。
お志るこの表記が地味に泣かせる。
ドア一枚隔てると、外観からは想像できないモダン空間がそこには広がっていた。
ペンダントライトがずらっと並ぶカウンター。
店を切り盛りするのは、70代以上?の男性1人・女性2人。
ダークブラウンの壁はシックな趣。丸くて白い照明が高貴な真珠のよう。
この建物での営業は50年経っているそうですが、この壁はその当時からのもの。
奥行がかなりある。
赤富士やお志るこから、和風喫茶をイメージしていましたが、良い意味で期待を裏切る、スタイリッシュなモダン空間。
富士山的要素は見当たりません。
さらに奥にも席があり、窓から坪庭が見える。
この写真では分かりにくいが、カウンターと仕切るパーテーションがすごい可愛い。
ナポリタン等食事メニューもありますが、ケーキセット(500円)にした。
セットの対象は200円以下のケーキ。一度外に出て、店頭のショーケースで確認。
「100円だともったいないから、200円のケーキの方がお得ですよ」(100円のケーキもあるのです)
迷いに迷いイチゴショートに決定。
ケーキは素朴でシンプルなもの。生クリームが甘さ控えめで、しつこくなく美味しい。
ケーキに敷いてある紙ナプキン。可憐ながらも、どこか意思を感じる眼差しの少女の横顔。
私がこれまで出会った紙ナプキン史上かなりの上物! 神保町エリカ以来の衝撃。
ジャズが似合いそうなものだが、テレビから2時間もののサスペンスドラマの再放送が流れていた。
本棚から1巻から揃っている「あしたのジョー」を手に取った。
山谷のドヤ街から始まるのだが、簡易宿泊所が1泊120円や150円。そういえば某元都知事がドヤ街に行けば200円で泊まれると言っていたが、この時代の話をしていたのだろうか?
山村紅葉と片平なぎさの声をBGMに、あしたのジョー1巻を完読。
入口付近の席に座ったのですが、頻繁にケーキを買いに来るお客さんの姿が見える。喫茶室の方にもたまにお客さんが入ってきて、お店の方と世間話を交わす。
純喫茶ファンからすると、垂涎ものの非日常のモダン空間だが、近隣の方にはどのように映るのだろうか。ごく当たり前の憩いの場として享受しているように見えた。
私が東京から来たと話すと、近くのバス停から三保の松原に行けると教えてくれた。うっかり忘れていた! 時間が早ければ富士山が綺麗に見れるらしいが、すでに夕方。
「もし次回来るのなら、かき氷を食べに来てくださいね。」
夏場はかき氷も食べられるらしい。80年使ってるという、年代物のかき氷の機械を見せてくれた。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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