再開発は東京だけでなく、大阪でも同じこと。
正直、再開発の是非について私には分からない。スクラップ&ビルドはある種宿命だとも思うし。
ただ、ひとつ言えるのは、再開発エリアにある純喫茶は行くなら今!ということだけ。
今回訪れたのは中之島5丁目「PINE (パイン)」。
大阪府大阪市北区中之島5-3-100
2017年12月28日閉店
この日午前中、淀屋橋~梅田~福島までみっちり歩き、合間合間で純喫茶に寄り、福島からなにわ筋をまっすぐ歩き川を越えたところで、一気に寂しくなった。
それが、PINEのある中之島5丁目。
いきなりの廃校舎(7年前に廃校になった高校)。
校庭にはロダンの「考える人」像が立っており、周りは塀で囲まれているが、上半身が飛び出ている。昼間だとシュールで済むが、夜見たらホラー。
で、廃校舎の隣、年季の入った建物の1階がPINE。ガラスブロックがいい味出してる。
表はランチメニューが沢山出ており、歩道まで賑わっていて、なんかホッとした。ここでランチにしよう。入店。
んっ!?
私、侮っておりました。店内、お客さんで盛況! スーツ姿のビジネスマン(男性100%)。皆さん、下を向いて一心腐乱に食事中。
品のある女性から奥のテーブル席に案内された。
喫煙率は高い。すぐ隣は煙でモクモク。私は嫌煙家ではないので割合平気だが、駄目な人は駄目だと思う。
隣の男性のカレーも美味しそうだったが、後のことも考え、あっさりめに昆布うどん。
猫舌なので、やけどしないようゆっくり食べ終わった頃には、それまでいっぱいたお客さんが一気にサーーーっとひき、店内は一挙に静まり返った。
ってことで、ここから一気に店内の写真。
店内を彩る数々のステンドグラス。
外から見た薄水色のガラスブロックが、内側はステンドグラス。個人的に一番好きなのは、葡萄のランプ。
黄色のキッチュな壁には雰囲気のある絵画。
純喫茶ではたまに見かける、東郷青児(風?)。
お店の人によると、「東郷青児の絵のつもりで買ったけど、もしかしたら本物じゃないかも…」。そんな事言ってたけど、黙っていても大丈夫。違い分かる人間なんて、そんなにいやしませんって。
…でないと、聞いたからだと思うけど、女性の顔が~なんか東郷青児と違うような気が~? って段々なってくるから(笑)。
堂々と東郷青児を主張しましょう!
東京から来たことをお伝えすると、お店の女性(オーナーの娘さんらしい)はすごく喜んでくれた。
今は閉めているが、以前は2階も客席だったそう。
「周りの状況がこんな感じで……」冒頭でも書いたが、この辺りは再開発エリア。隣の廃校が象徴的だが、ゴーストタウン化がすでに始まっている。人通りもまばらで、建物が歯抜け状態。夜は本当のゴーストタウンになるらしい。
喫茶店も近くには他にないそうで、これは一見競合店がなく有利か?と思いきや、むしろ逆なんだとか。
「混んでて入れなかったら、別の店」といったお客側の選択肢がなくなり、結局は飲食店の多い場所に人が流れる。「飲食店は密集してた方が人も集まるんですよ」。なるほど!
再開発地では外部の暴力的な(?)圧力に屈して、やむを得ず立ち退き、廃業するのだと思い込んでいたが、意外にそういうケースは少ないのかも。これまで閉店した店を思い浮かべると、周りの環境というか空気というか、徐々に商売がしずらくなる、といった理由の方が大きいのかなぁ…。ぼんやり思った。
あと何年でしょうか、できるだけ頑張りますね、とお店の女性が笑顔で外まで見送ってくれた。
話は変わるが、この後、再度梅田に行った。「喫茶カプリ」を目指して。古びた庇とガラスブロックが印象的な純喫茶。ところが現地で唖然。ガンガン内装工事中だった。改装とは考えにくいので、おそらく閉店だと思う。
(2014/05/16)
【追記】2018/02/14
2017年12月28日に閉店しました。55年間お疲れ様でした。
shiho-hoshiさん(@shihobumboo)からInstagramに投稿した写真の掲載をさせていただきました。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント