何度思い出しても、ときめく。
大阪で出会った純喫茶が素敵すぎて、書きたい気持ちが沸々と湧き上がってきたので、この機会に。
東梅田にある「TEA ROOM アリア」。
大阪府大阪市北区兎我野町5-17
2022年6月17日閉店
新大阪に着いてから真っ先に向かった。
謎のシンボルマーク。
たしかオペラで高らかに歌い上げるパートのことをアリアと呼ぶんじゃないかな。とすると、由来はオペラ?
ひっそりとしたショーケース。
底へと続く階段を覗きこむ。得体の知れない怪しさに、心臓はドッキドキ。
この高揚感、久しぶりな気がする。
や、や、やーーー。激しく好み。
テンション上がった姿を見られてなるものか。己がどう見られるかといった自意識を捨てられず、冷静な仮面を被ってからドアを開けた。
一瞬でとりこ。
鮮やかなオレンジのドアの先は、期待を裏切ることなき、純な空間だった。
ビル地下特有の閉鎖性があり、ひんやり、しっとりとしている。
お客はいない。
エリアは2つ。
そのイメージを司るのが椅子だった。丸いキャメルの椅子と、角ばった黒いレザーの椅子。
70年代レトロモダンと、スタイリッシュ&クール。いずれも大好物である。
さりげなくその狭間で揺らめく珠暖簾。
珠暖簾というと、昭和の台所にある野暮ったいものを想像するので、こういうレーシーで繊細なものまでそう呼ぶべきか迷うが、他に適切な名称が思い付かなかった。
どっしりとした、美しく輝くガラスの灰皿。
こういう秘密めいた場所で、ワケありの男女が人目を忍んで逢引きするんだろうね(憶測100%)。
『虹の彼方に(Over the Rainbow)』が流れてきた。
メニューはないのかな?
待ってても出てこなかったのでキョロキョロ見渡し、オレンジジュースの貼り紙を見付けたが、朝なので無難にコーヒーで。
モーニングもお願いする。
ロゴ、なのかな?
でも頭文字ならAだろうし、例のシンボルマークでもないし。
コーヒーは薄かったが、耳無しのバタートーストはサクサクして美味。ただ、もうこのくらいの神の領域になると、味について語るのがケチくさく思える。
純喫茶というのは霞を食う所。
この極上の空気こそが何よりのご馳走なのである。
店を出るとき丁度入れ違いにお客さんが入っていったが、すぐにドアの向こう側から、「喫茶店のために東京から来たんだって」と話す声が全部筒抜けなのが可笑しかった。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
おやき
アリア、6月17日で閉店されます。
私は何も知らずに5月20日に行きマスターから閉店の話をうかがいました。
おやきより
2022/06/09 URL 編集
エムケイ
ここ最近で何人かの方から連絡ありましたが、立て続けに連絡いただいたのは久しぶりです。
おやきさんは何も知らずに閉店を知らされたんですね。
それは驚いた事でしょう…!
近ければもう一度行きたかったのですが、本当に残念です。
2022/06/09 URL 編集