【三河島】喫茶 ふじ

これだけ地域に根差し、常連客に愛され、なおかつ一見客を軽やかに受け入れる店もそうはない。

純喫茶かくあるべし。三河島の路地にある小さな喫茶店「ふじ」。

喫茶 ふじ

喫茶 ふじ

東京都荒川区東日暮里6-2-3

富士山はないが、そこには海があった。魚とタツノオトシゴが泳ぐ窓辺。

その特等席が運良く空席。すかさず着席。

喫茶 ふじ

初訪問は夏。アイスコーヒーを注文。トーストとゆで卵は自動的に付く。250円也。

この席はママさんの居るカウンターから真正面。だが、10分待っても15分待っても、目で合図を送っても、手を上げてもノーリアクション。

もしかして見ていないんじゃ?

もうこなったら! 思い切ってつかつかとカウンターまで進み、「窓際に座ってますよ」と声をかけたら、「あ~~~ら! ごめんなさい!」やっと存在に気づいてもらった。ママさん天然キャラ?

純喫茶に客が来ないなんて誰が言った?

そんな価値観どこの世界の話? 喫茶ふじは近年まれに見るお客でいっぱいの賑やかな純喫茶だった。

「今日は○○があってさあ」「暑いね、これから○○に行くけど、その前に寄った」とか、なんか話ながら入ってくるお客さん多数。そのままママさんと先客のお客さん同士で世間話が始まる。

普通、こういった高濃度地域密着型喫茶では一見客は居心地悪くなるものである。無理矢理話に引きずりこまれるか、あるいはジロジロと色眼鏡で見るかどちらかでは?

こちらは、そのどっちでもない。そもそもが座ってても気付かれないし(笑)。気が利きすぎない、頑張りすぎない、ゆるい店。入りたければ入っておいで、こっちはこっちでいつも通りだからさ、みたいな究極の自然体。ある意味完全にほっとかれる。

この絶妙な空気感が作り出せる店は間違いなく名店。

喫茶 ふじ

「長い時間ほっといてごめんなさいね」帰りにポンとゆで卵を渡された。

再びこちらを訪れたのは、夕方。都営の1日乗車券の都営バス乗り放題にハマり、喫茶店を回りながらバスを乗り継ぎ、気紛れに「東日暮里3丁目」で下車。

見覚えのある路地裏の店。

前回の教訓を生かし、入店するなりすぐにカウンターに歩み出て「こんにちは」と声をかけ、奥の席に座った。

喫茶 ふじ

昼のカラッと明るい雰囲気から一転、夜は幻想的。天井に光が反射し織りなす陰影。

喫茶 ふじ

これは一種のアートだ。

喫茶 ふじ

暗くなったからこそ壁のライトも映える。

喫茶 ふじ

女性の肌も艶めかしい。

喫茶 ふじ

ミルクコーヒー(トースト・ゆで卵付)

時間が遅かったせいかゆで卵は作り置きがないため、急いでゆでたらしい。皮が熱くて剥きにくく、黄身は半熟未満のトローリ状態だった。

私もだが、もう1人いたお客さんも黄身で手がべとべと。

「ママ~柔らかすぎて手が汚れちゃった。ティッシュ頂戴!」

「ああ~ら!ごめんなさい!」

箱ティッシュのリレーが始まり、私の席にも。苦笑いしつつも妙な一体感が生まれた。

この日のお会計も250円。

「なぜこんなに安いんですか?」

2度目とはいえ、あまりにも太っ腹すぎて、何か一言言わずにいれなかった。

「食事ができるわけでもないし、何かサービスをしないと」との答え。そして極め付け! 「けど、もっと下げようと思うのよね。でないと生き残っていけないわ」

ええーーー! なんと! 値下げまで検討してるとは! 思わず全力で阻止、阻止、阻止!!! 大丈夫かな? いつか50円とかなってそうで怖い。今でもお替りは100円である。いやいや、もうこれで充分ですって!

利用金額

  • アイスコーヒー(トースト・ゆで卵付)250円 ※ミルクコーヒーの日も同額

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