相反するものが同居する場所は面白い。
なんて書くと、じゃあ相反するものって何?と聞かれるに違いないが、それをここでありのままに書くのは非常に勇気がいる。
ただ喫茶エレーナのある山手とドヤ街のある寿町がこんなに近かったとは! 驚きもしたが、単純に面白いと思った。
東京の山谷、大阪のあいりん地区といったドヤ街には行ったことはあるが、どちらも狙ってではなく、散策しているうちに気付いたら迷い込んでいた。
今回の寿町も同じ。
行きが上って下ってだったのに対してこの地蔵坂はただひたすら下る一方だった。さらに、くねくねといくつかのカーブがある。「予告灯」という見慣れぬ信号。少し先に「石川町2丁目」の信号がある。もしかしたらカーブで見えないからそのための予告の信号として後から設置したものだろうか。
川が見えそれを越えた。すると空気が一変。
ペプシの渋い看板が見え、反射的に純喫茶では!?と身構えたが残念、食堂だった。店名は音羽食堂。
余白は許すまじ。庇一杯の大きな文字。
隣の緑の庇からひらひらしたものが出ている。遠くからは万国旗みたいに見えたが、単にカラフルな布が旗みたくなっていただけだった。
薄暗い通路にはシャッターのおりた店が並ぶ。暗いし小さくて見えずらいが、さっきの店の正式名称は、「ビジネス食堂 音羽」。ビジネス食堂なんて初めて聞いた。
その少し先が寿町2丁目。
ここだったのか! 石川町に寿町(ドヤ街)があるのは知識として知ってはいたものの、わざわざ狙ってまで行くのもどうかねえ?と思っていた。が、実際そばまで来てみると素通りするのも勿体ない。行ってみよっか。興味本位と言われれば返す言葉なし。正直なところ100%興味本位である。
なんだか閑散としているなあ、と思ったのは最初だけで、奥に進むと結構人がいた。
余裕で営業中のスナック達。一体いつお休みするの?
激安定食300円のさなぎの食堂。運営してるのはNPO法人。
で、冒頭の写真の純喫茶。「コーヒー | ろんしゃん(上に小さくSNACK) | 定食」という3連庇の店があり、遠目には凄く惹かれたものの、近寄ると中が丸見え。なんだか競馬中継目当てのお客が多そう。ここは別に入らなくてもいいかな……。
この辺りからそこらを歩いている人の視線が突き刺さってきた。所々に直立する監視員みたいな人もいた。
○○荘などという看板の簡易宿泊所も目立つ。さすがにこちらの写真は撮れなかった。
薄暗いアーケード。
なんとも言えぬオーラ漂わす中華料理店「上海亭」。
オレンジのスモークは純喫茶と共通するとはいえ、私には入る勇気はないかな。第一物見遊山の客など向うもお断りだろう。
電柱のそばの「明治のパン」ていう看板は見えるだろうか? レトロで素敵!!!と近寄…ろうとしたが、「こっち見てるよ」と同行者に引きとめられた。たしかに人が固まっており、イヤ~~なオーラが感じられた。なんとなくイヤだなという感覚は非常に大切、ここを無視して突破するとロクな事がない。勘を大切にした結果、身を守った一例。
ここで寿町散策はお終い。早足でこの界隈から抜け出した。
しかしながら誤解を招くことを承知で書くと、やはり面白いのだ。狭い範囲に高級住宅街とドヤ街という相反するものが、川を隔てただけで平然と同居しているのだから。少なくとも東京近郊では他に見当たらない。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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