【百合ヶ丘】喫茶 万果園

“新”が付かないだけでこうも違うのか!

百合ヶ丘と新百合ヶ丘。小田急の隣駅だというのに似て非なるもの。随分前に新百合ヶ丘を散策した。そこそこ大きな駅なので純喫茶の1軒くらいはあるだろうと期待したが、まったくの徒労に終わった。こぎれいで、すっかり開発され尽くし、ファミリー層が住むのに特化した、味気ないタウンだと確定。隣駅の存在など考えもしなかった。

百合ヶ丘駅からゆるやかな坂を上っていくと、度胆を抜かれる場末なボディー。まさしく昭和遺産「喫茶 万果園」。

百合ヶ丘・万果園1

喫茶 万果園

神奈川県川崎市麻生区百合丘2-2-15 2F

百合ヶ丘・万果園2

パッと見は喫茶店には見えず。ていうか情報多過ぎ。どこから入ったらよいのだろうか?

百合ヶ丘・万果園3

まずは置き看板のある緑の庇側をのぞくが、こちらは普通のお宅っぽい。

百合ヶ丘・万果園4

「営業中」の札が出てる。こちらかと思い近寄るも、コピー5円の看板あるしなんか違う?

百合ヶ丘・万果園5

まさかのまさか! この階段の上!?

旧式のアパートにあるような歩くとカンカン音のする鉄の階段があった。いくらなんでもこれは違うだろうとダメ元で上ってみると、

百合ヶ丘・万果園6

そこは紛れもなく喫茶店だった。ドアからのぞく鮮やかなブルーのレースカーテンがキッチュ。これはとても期待しちゃう。

百合ヶ丘・万果園7

なんと! これは期待以上の素敵さ!

はあ~~あ。驚き立ちすくみながらも瞬時に店内を見渡す。あ、あれは何?

百合ヶ丘・万果園8

大量のこけし。

中央の棚になったパーテーションにずらりと並んでいる姿は壮観。以前どこかで人形供養の写真を見たことがあるが、それに似た雰囲気があり、ある意味シュール。人によっては怖いと感じてしまうかも。

百合ヶ丘・万果園9

照明のアンティーク具合もよろしくて。

多少物が多く雑然としているともいえるが、非日常感を損なわない異空間ぶりに、それすら微笑ましく思えた。

百合ヶ丘・万果園10

テーブルの上に置いてある紙のメニュー。そこにはフルーツパーラー万果園と記載。

フルーツパーラーか。たしかに店名やメニューにその名残があるものの、フルーツ感はあまりないかな。もしかしたら昔は1階がフルーツ店で、2階がフルーツパーラーだったのかもしれない(未確認。あくまでも憶測)。

初めての喫茶店で頼むのは非常にリスキーだが、外の定食の旗に釣られ、お腹も空いていたことだし思い切って注文。

百合ヶ丘・万果園11

おおっ!

百合ヶ丘・万果園12

おおおおっ!

なんだか一杯出てきたんだけど。野菜煮物、味噌汁、焼き魚、練りもの系和え物、ご飯、漬物。野菜をたくさん使った体に良さそうな内容。

その上とても美味しい。お年を召した、でも品の良さげなママさんが奥で調理してるようだった。出てくるのに時間がかかったが、これなら納得。

百合ヶ丘・万果園13

ウェットティッシュはボトルで出てきたよ。純喫茶好きなら迷わずここで、「メイかよ!」のツッコミを入れるところ。

写真では伝わらない情報をひとつ書いておきたい。

この店はクラシック音楽を流している。それもかなり良い音で。メニュー表もどことなく名曲喫茶のプログラムのようだったが、それは偶然かしら?

老朽化が進んだ古い建物で、バスが通るとガタンと揺れる。窓から外を眺めていると、木の上に作った秘密基地から見下ろすような気分で、その中で聴くクラシックは格別だった。

百合ヶ丘・万果園14

窓辺の黒いレースのカーテンのかけ方にもアートの匂いがする。

もしかしたらジュディ・オングに影響されたのだろうか。翼みたく手を広げた衣装に似てる気が……。

百合ヶ丘・万果園15

へえ~。クッションのセンスもいいなあ~。

…っていうか、えっ!? えっ!? えっ!? それどころじゃないでしょ!

あまりにもナチュラルにそこにあるので、ぬいぐるみかと思いきや、これ生きてる?

百合ヶ丘・万果園16

お猫様!

触ってみたけど、気にせずスヤスヤと寝ていた。

ふらりと迷い込んでそのまま居ついてしまったらしい。名前はクロ。

私は猫が大好物。看板猫のいる店はそれだけで勝手に純喫茶度を3割増で見てるところがある。これはいい! 最後の最後で思わぬプレゼント。

美味しい定食、クラシック音楽、猫の3拍子。万果園は本当に素晴らしい店だった。

利用金額

  • 定食 800円

関連記事

書籍『喫茶店の椅子とテーブル』に寄稿しました
喫茶店の椅子とテーブル

コメント

喫茶みつを

こんにちは。2度目のコメントになります。本日、百合ヶ丘万果園を訪ねました。しかし階段を上がるとドアには南京錠が…。下のお店のおばあちゃんに話をに聞いたところ、万果園の店主さんが一昨年の暮れに亡くなられたそうで、もう一年以上閉店しているそうです。看板猫にも会えず、百合ヶ丘唯一の純喫茶がなくなってしまい悲しいです…。

エムケイ

>喫茶みつをさん
旅情に続けて2度目のコメントですね。
店主さん亡くなられたのですか。知りませんでした。
それも一昨年暮れ。
私が訪問したときからそれほど経ってなかったのに…。
看板猫のクロはどうしてるのでしょう。

百合ヶ丘唯一の純喫茶でしたね。

如月バニー

残念です
以前からとても気になっていたものの、いまひとつ勇気がわかず行かずじまいでした。つい先日、意を決して訪ねたのですが閉まっていて“おかしいな”と思いつつ、今週末また行ってみるつもりでした。あらためて検索していたら、女主人の方が亡くなられたとのコメント。とても残念です、そして喪失感。貴重な体験を逸してしまいました。レトロな喫茶店は他にもありますが、このお店は穴場中の穴場だったと思います。私もたまに用事で百合ヶ丘に行くことがあって目に留めたお店でした。建物や設備が古いだけでなく、空気もそこに流れる時間も歴史を帯びていたのでしょう。新しいものはつくれても古いものはつくれません。昭和どころか平成も終わろうとしている時代に本当に貴重なお店だったと思います。“そのうち”ではなく、行きたいお店や行きたい所には行き、食べたい物は食べて、やりたいことはやろう、と思いました。黒ネコちゃんはどうなったのでしょう。新しい飼い主さんの元で穏やかに暮らしていてほしいです。

エムケイ

>如月バニーさん
たしかに気になってても入りにくい店でした。
2階への細長い急な古いアパートみたな外階段もそれに拍車をかけていました。

そうですね。唯一無二の空間でした。
寂れていて場末なのに、きちっとしていたり、不思議な感じ。
真夏なのに、きっちり冷房がきいていたりとか。

看板猫の黒猫はどうしたんでしょうね。
ママさんのお話では、猫も高齢だったそうなので…。
非公開コメント

エムケイ

ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。

Instagram(@emu_kei_)

ブログ内検索

カテゴリ

コメント

カレンダー

06 | 2019/07 | 08
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カウンター