線路脇に佇む孤高の姿に一瞬で心奪われた。
京成小岩駅前「自家焙煎珈琲 CAFE LINTZ (カフェ・リンツ)」。
東京都江戸川区北小岩2-11-12
京成小岩南口商店会
小岩は小岩だが、京成小岩駅はJR小岩駅とはまったく別物。まともに歩けば20分以上かかるのではなかろうか。
2年前に歩いたことがあるが、あまりに遠すぎてゲンナリし、帰りはバスを利用したほど。
この日はおとなしく日暮里からまっすぐ京成線に乗り向かった。
お目当てはこちら。
カフェ・リンツのモーニング。午後2時まで。
とある信頼できる喫茶通の方からの情報によると、「トーストとサラダ、コーヒーのモーニングは、そのいずれもがハイレベルなのでお勧め」。
それは頼もしい。
だが先の喫茶通の方によると、魅力は味のみに非ず。店内も非常に味わい深いのだという。
店名にCAFEと付いているが、カフェなどではなく、喫茶店以外の何物でもないとのこと。
渋い、実に渋い。
たしかに喫茶店だが、私には老舗カフェという表現の方がしっくりきた。
純喫茶>>老舗カフェ>>>チェーン系喫茶店>>今風カフェ
私の中の喫茶・カフェヒエラルキーはこのような感じ。
ただ場合によって、純喫茶>>老舗カフェの立場が逆転して、
老舗カフェ>純喫茶になることもあり、今回は後者のパターン。
昭和47年創業。使い込まれた木目調のカウンターには、挿し色で真っ赤なポットが2つ。渋いマスターが立つ。椅子、ベンチ、床など全体的に焦げ茶色の濃淡で構成され、煙草の煙が染みつき黄ばんだ壁。古びたポスター、一筋縄ではいかないセンスのある額入りの絵。
スペインあたりにこんなカフェがあるのでは?
行ったことないけど(笑)。
見過ごせないのは大量のCD、そしてディスプレイ的に置かれたレコードジャケット。
マスターは相当な音楽好きのようだが、店内は無音。
ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』のフライヤーもあった。
こりゃ音楽だけでなく、映画通でもあるな!
『ベニスに死す』は主人公の男性が旅先で出会った美少年に心奪われる話だったが、随分前映画マニアだった頃に見たことがあるが、私にとってはわけわかんない映画だった。不思議なことに、無条件に楽しめるエンタメ映画よりも、わけわかんない映画の方がオシャレに思える。ゴダールの『気狂いピエロ』(映画館で始まると同時に寝てしまった)あたりでも置き替え可。
待望のモーニングサービス(500円)
嗚呼。勧めてくれた理由が分かった。一つ一つ手抜きなしのレベルの高さ。
コーヒーは言うまでもなし。これがピタッとくる味。濃すぎず薄すぎず(自家焙煎で薄すぎる店はあまりないが)、癖がなく飲みやすい。無難な言い方をすれば万人受けするタイプ。
トーストは意外な感じ。かなりの厚切りだったので、ふわっとした食感を想像していたが、かなりのモチモチ。みっちりとして食べ応えのあるもの。これは当たり!
いちごジャムは普通だったが、バターの染み込み具合が丁度良かったので、それだけで充分。
サラダはキャベツのコールスロー主体だが、味付けがもうね、ハマる味。
なかなかのボリュームで、お昼過ぎてもお腹が空かず、この後の純喫茶巡りに支障が出た。
続々モーニング目当てのお客さんが入店。
こんなに良い店なのになぜBGMがないのか、同行者がしきりに愚痴っていた。まあ、そうだよね。モーニングのお客さんがひいたのでマスターに訊いてみると、「何かリクエストはありますか?」
額に入ったタンゴのイラストに釣られ、タンゴでお願いした。どこかで聴いたことがあるポピュラーな曲が物凄い爆音で流れてきた。
音が割れてる~~~(笑)。
マスターはいつもお客さんがいないときには、この爆音で音楽を聴いてるのかもしれない。
京成電車が外を駆け抜けて行った。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
あかりのママ
2016/10/31 URL 編集
エムケイ
小さな音量では世界に浸れません。
外のモーニングのプレートの上に飾ってあるのはモーツァルトの絵なので、もしかしたらその昔はしっかり音楽を聴かせる店だったかもしれませんね。
こちらの店に限らず、昔は喫茶店にレコードを聴きに来るお客さんが多かったそうで、段々時代と共に音楽は自宅で、喫茶店には別の目的で訪れる方が増え、音量が小さくなっていったのかもしれませんね。
2016/11/01 URL 編集
tama
2017/06/01 URL 編集
エムケイ
ライターではありませんが、文章を書くことそのものが好きなのでずっとブログを続けております。
リンツのモーニングのおいしさは健在でしたか。
そして相変わらずの無音(笑)。あのレコードやCDのコレクションに無音は不釣り合いなのですが、帰り際にイージーリスニングを爆音ですか?
ちっとも癒されませんね(笑)。
もしかしたらマスター自体は音楽を流したくても、あまりに爆音で常連のお客さんから消してくれと言われたのかもしれませんね(笑)。
とても素敵な喫茶店です。私もまた行きます。
2017/06/02 URL 編集