昨年の暮れ。
平塚の「白い箱」に続き、伊勢原駅前「小公子」を訪問。両方ともずっと気になっていた純喫茶である。行けない距離でもない。もし知らぬ間に閉店していたら、私は冷静ではいられないだろう。それを思うと、なんとしても年内に訪問せねばならぬのだった。
神奈川県伊勢原市伊勢原1-2-1
と、ここまで書いてふと立ち止まる。
白い箱の後だと思い込んでいたが、念の為に喫茶手帖(わりとマメに記入している)を読み返すと、嘘嘘! 逆。小公子の方が先。白い箱の2週間前に訪れていた。まあその辺の順番の違いは、大きな問題ではないので、2段落目の誤りはそのままにしておく。
それまでにも行けそうな機会は一度だけあった。昨年夏、藤沢市善行にある「玉屋食堂」に行くついでに、ずーーっと気になってたこちらも行こうか、と。
だが、同じ小田急でも善行からは不便な場所である。直前に同行者がこっそりお店に電話し、営業時間と定休日を確認してくれ、その日は休みだと知り、結局行かなかった。そして、その時得た情報を基にこっそり1人で訪問 ( ̄ー ̄)。
場所は大変分かりやすく、伊勢原駅を出てすぐにある大きな鳥居の脇。純喫茶好きならまず見逃さないだろう。
煙草店を併設しており、中を覗くと、ペコちゃんが立っていた。不二屋の店頭以外では見たことがない大きな人形である。
字体はあんまりレトロさがなく、さほど期待せず。
けど置き看板を見てハッとする。シルクハットの絵!
ああそうだった。小公子はバーネット作の有名な小説のタイトル。これは本物かも!
(そういえば小公女もあったような? 昔読んだ気もするけど、全然内容覚えてない)
これは何と言ったらよいのだろう……。
じんわり心に染みる純な空間。想像以上の正統派純喫茶。
派手さはないが、地味でもない。天井に点々と並ぶ丸いグリーンのライトは、キッチュともいえる。壁には琥珀色の小さなランプが品良く。
純喫茶の印象は椅子で大きく決まる。テーブルは適当なのでもどうとでもなるが、椅子だけは手を抜かないで欲しい。他が良くてもすべてをぶち壊す破壊的な威力がある。ここでは純喫茶でよく見られる、背もたれに十字に穴が開いた木製の椅子と、レトロモダンな黒のレザーソファ。いいじゃないか(-∀-)
床の模様もなかなか素敵。
純喫茶として文句なし。素晴らしい。
伊勢原というと、観光客も来るんじゃなかった? 具体的な観光名所は分からないが、そんなイメージを持っている。その駅前の玄関口の純喫茶といえば、観光客でワイワイガヤガヤしててもおかしくないが、ここはとてもひっそりとしていた。
BGMはクラシック音楽。
完璧……(うっとり)。
これはヤバい。とても、とても私の好み。
前触れもなしに、甲冑も登場。
トイレと客席の間の窮屈なスペースで、ひっそりと息をひそめていた。甲冑にしては珍しく存在が薄かった。かなり後になってから気付いた。
ホットウィンナーコーヒーをいただいた。
壁の貼り紙の「季節のお勧め」の中から選んだ。他には、ホットココアもあった。バンホーテン純ココア使用と書かれている。美味しそうだ。季節が変わる前にココアを飲みにまた来よう。そう思っていたが、あっという間に冬は終わってしまった。
店の前を何台ものバスや通行人が通り過ぎて行った。
まるで此方など存在しないかのように。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
コケデカ
2020/12/20 URL 編集
エムケイ
深い喫茶店の薫り、しますね。
行けるうちに、行かねばと思います。
2020/12/26 URL 編集