名古屋に行ったら、絶対タムラ。
これはずっと決めていたことで、きつきつのスケジュールをやり繰りして無理矢理ねじ込んだ。
いくら名古屋が純喫茶天国だとはいえ、他では替えのきかない特別な純喫茶だからだ。
思い付く限りの言葉を挙げれば、ミッドセンチュリー、近未来、レトロフューチャー、サイケデリック等々。いわゆるスペーシーな純喫茶である。
愛知県名古屋市千種区高見1-6-1
※2016年5月17日閉店
決して純喫茶の主流とはいえないが、東京ではもちろんのこと他の地域でも滅多にお目にかかれないのもあり、いつの間にか追い求める憧れのジャンルになっていた。
ドア越に透ける女性裸体像。
絵に描いたようにスペーシーな内装。
唐突な女の裸、唐突な鳥の剥製、唐突なゆで卵の断面のような抽象オブジェ。それらも充分目を惹くが、それはほんの一瞬。釘付けになったのは、壁から突き出る庇、のようなもの。
なんだ、これは？ パーテーションは横にあるものだし、上にある意味が分からない。実用性は皆無といえるだろう。無駄にお金をかけた単なる装飾、単なる道楽である。
純喫茶の内装に惜しみなく資金を投入し、妥協なき空間を創り上げる。そんな時代があったのだ。
今でこそネットなどで事前に写真が流通しているので、平静を装えるが、もしこれが完全なる偶然で飛び込みで訪問したのなら、ひたすら驚き感動したに違いない。そういう意味では、悲しいかな、この出会いは少し感動が薄れている。
あともうひとつ。内装から勝手にイメージを膨らませて、もっと閉鎖的でアングラな雰囲気だと思い込んでいたが、意外に健全すぎる気もした。
結構お客さんの出入りもあり、現役の喫茶という感じ。庶民的な雰囲気だった。年齢層も様々で、新聞を読む年配の一人客もいれば、仕事の打ち合わせをする若い男性２人組もいたり。
BGMは謎の邦楽。どこのだれとも知らぬ下手な歌手が、「筋肉、筋肉～～♪」と連呼していた。
こちらでは少し遅めのランチ。
結構食事メニューが豊富で、一般的な喫茶メニューだけでなく変わり種もあった。名前は忘れたが、壁に貼ってある丼ものを頼むと、白米を切らしているので白米を使わないものにして欲しいという。
そこで、スパゲティーのインディアンにしてみた。
飛ぶといけないので、と紙エプロンを渡される。
ええっ!? インディアンてこれ？
カレーがかかっているではないか！
ええーーー！ インディアンてこんなんじゃなくてさあ、塩味で炒めたスパゲティーじゃない？ 最近、東京の喫茶店で頼んだイタリアンがそうだったもん。名古屋のイタリアンてカレーがかかってるんだね。ぶーぶー文句言いながら食べ始めると、同行者より鋭い指摘。
「……インディアンだよね、これ？」
ナポリタン、イタリアン、インディアン。この中でイタリアンは、関東・関西・名古屋で認識が違うと聞いてたことあって確認するつもりだったのに、うっかり間違ってインディアンを頼んでいたのだった。
[2016/05/24 追記]
2016年5月17日に閉店したとの報告あり。1年程前に訪問したとき、営業時間短縮の貼り紙があり、予兆はあったが、悪い意味で予感が的中してしまった。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
バクゼン
純喫茶探訪、いつも楽しみにしています。
私も、昭和な「喫茶店」が懐かしく、雰囲気が大好きです。
新潟県の隅っこに住んでいますが、ブログの前のほうの記事で、新潟・長岡市の「ぺぺ」。
20年くらい前に、2度ほど行ったことがあります。
懐かしかった！
また行きたくなりました。
ところで、イタリアン。
関東、関西、名古屋で違うということですが
新潟も、「イタリアン」はまったく個性的です。
ご存知でしたでしょうか。
おいでの節は、ぜひ、新潟のイタリアンをご賞味ください。
長岡市の喫茶店「RoRo」も、広い喫茶店ですが
なかなかいい雰囲気です。
こちらも機会があったらぜひ。
ながながとお邪魔しました。
これからも、エムケイさんの純喫茶めぐりを楽しみにしております。
2015/08/28 URL 編集
エムケイ
ペペご存知なのですね。20年前ですか？ 懐かしいと言ってもらえると嬉しいです。
イタリアンの件ですが、新潟はまったく個性的？
私の知ってるのは、塩味のスパゲティー、ナポリタンの鉄板乗せ、一般的なケチャップ味のナポリタン。この３種類ですが、これ以外にもあるのですね。
新潟は昨年早足で移動したため、新潟市がバタバタだったのでもう一度じっくり訪問したいと思ってました。
お勧めなどあればぜひ教えてくださいね！
2015/08/30 URL 編集