千葉県旭市ロ913
閉店
ただし旭は遠い。
この感覚は教えてくれた読者の方も同様なのか、「旭に行く用事でもあれば寄ってください」と勧め方が控え目だった。なぜ「ぜひ行ってください」と強く勧めないのか?
それは旭が遠いからである。東京駅から特急しおさいで1時間50分、千葉駅からでも約1時間。おまけに電車の本数も極めて少なく、ちょっとした旅になる。
とはいえ、そこをなんとかするのが私の手腕。稲毛で途中下車しながらも、12時過ぎには旭に着いた。
別途記事にするが、しんちょう通りの寂れぶりは相当なもので、多くの商店がシャッターをおろし、人もほとんど歩いていなかった。だがリアル北斗の拳のような荒んだ雰囲気ではなく、のどかでのんびりとしていた。
ダンダンは商店街の中ほどにある。
ショーケースの世界観にときめく。喫茶と無関係なグッズを飾っているよね。これも純な証拠。
ちゅーりっぷが好きなマダムなのかしら? 乙女なセンスにときめきながら、ドアを開けた。
息つかせぬ空間とはこのことよ!
薄暗く、木や植物、パーテーションで視界を遮られ、全容がしれない。入ってみないと分からない、入ってみても分からない、一度にすべてをさらけ出さない、怪しげな雰囲気。
そしてシャボン玉のようにふわふわと宙に浮かぶガラスの球体。
窓にはベージュのフリル付カーテン、背の低い真紅のベルベットの椅子、壁も質感が似ていたので触ってみると、ベルベットのような絨毯のような起毛素材。
床の模様も渋くて素敵。
トイレのドアには「ジョイの香り」という謎のプレート。
BGMはなく、無音。エアコンの作動するゴーーっという音が遠くから聞こえてきた。
一瞬で、しかしじわじわと虜になっていった。
すでに頭がぼんやりしてたので、メニューの内容は覚えていない。オレンヂジュースがあった気もするし、なかった気もする。まあ、ここはコーヒーよね、とコーヒーを頼んだら、「吉原殿中」という見たことないお菓子が付いてきた。
もしかして旭市の銘菓だろうかとひっくり返してみたら、水戸市のものだった。
パーテーションの向こう側では常連のお客さんとマスター、マダムが淡々と会話していた。
ただひたすらこの素晴らしき純喫茶空間にどっぷり浸った。さすがの欲張りな私もここだけで今日は終えてもよいと思った。これ以上の店に出会える気がしないからだ。
「次いらっしゃるときもお電話してくださいね」とマッチ箱を渡してくれた。
そこには階段のイラスト、「DELIGHT DAN DAN(デライト ダンダン)」と書いてあった。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
blackcoffee1964
旭は私も未踏の街ですが、懐かしい香りのする街のようですね!
いつか訪れてみたいなぁ。
ダンダンが、段々=階段とは!(笑)
2015/07/09 URL 編集
エムケイ
でも、もしかしたら、暖々という意味も兼ねてるのではとも・・・。
旭に用事はなかなかなさそうですが、少し先が銚子なので一緒に行ってもいいかもしれませんね。
2015/07/09 URL 編集
あかりのまま
2015/12/17 URL 編集
エムケイ
クリスマスツリー、私が行ったときもありました(笑)。
クリスマスシーズンでなくても出してあるみたいで、不思議とそれが調和してます。
あかりのままさんのはそういう意味でなく、飾りつけやライトアップという意味ですよね?
音楽はなかったですか・・・
あの謎めいた演歌歌手のポスターが宙に浮くようで、なんとも異空間ですね。
なかなか旭なだけに訪問できる方は少ないと思いますので、数少ない同じ空間を共有できた同士として嬉しく思います。
2015/12/20 URL 編集
あかりのまま
ダンダンはまさに異空間ですね。
あの雰囲気を堪能できたのも、エムケイがご紹介してくださったからで、感謝です。
2015/12/22 URL 編集
エムケイ
純喫茶でもビビットで綺麗に発色している店もありますが、私はダンダンみたく、くすんで、混沌と淀んだ感じが好みです。
2015/12/25 URL 編集