【お知らせ】記事公開時の写真のサイズが小さかったので、再度2015年6月に訪問した時の写真を編集し直してアップしました(2021.12)
雨の中、JR水道橋駅東口から神保町方面に早足で歩いた。
人と車が行き交う白山通り。教会のようにそびえる白い建物から、美しいシャンデリアがガラス越しに透けて見える。店頭には雨粒のびっしり付いたメニュー、そこだけ取って付けたような「氷」ののぼり。無事営業してる姿に安堵した。4年ぶりの訪問。
東京都千代田区西神田2-1-14
閉店
コーヒーパークのパークが今さらながら気になる。まさか公園?
燦然と輝く金文字が神々しい。名曲の文字に純を感じる。
雨の日の喫茶店が好き。羽をおろす、そんな感じ。それがこのようなクラシカルで欧羅巴調の純喫茶であれば尚のこと。
1・2階吹き抜けを貫くゴージャスなシャンデリアは何度見ても圧巻。
2階を見上げれば、手すりを模した飾りの下に何やら文字が。
学のない私には読めないが、ドイツ語とかだろうか?
レジカウンターにはKanda Hakujuji
客席は階段を下りた半地下
壁には絵画、彫像、ステンドグラス、鏡。クラシカルなもののみで構成された王道の内装。BGMは無論クラシック。ピアノの優しい調べが流れる。
誰もいないと思っていたら、陰に隠れたお客さんをぽつぽつ発見。眠りこけているサラリーマンもいた。
テーブルに埋め込まれているのは、トレードマークの白い十字。
変色し黄ばんだメニューも健在。これこそが白十字の生き証人である。(でも電話番号が4桁表記なので、平成3年以降。意外とそんなでも…?)
4年前と少しも変っていないことに感動すら覚えた。
チーズサンド
ただしコーヒーの味は良い意味で変化していた。ここに書くべきか迷ったがすでに時効なので書いておこう。初めての訪問で飲んだコーヒーが煮詰まってて、結構キツかったので、うっかり注文してしまった!と思ったが、普通にクセのない味だった。
*
「櫻井翔くんは好きですか?」
いきなり背後から声をかけられた。いや正確に言うと、私に話しかけてるとは思わず、2・3回聞き流したが、どう考えても私に話しかけている。振り返ると、立っているのは初老の男性。
「櫻井翔くんは好きですか?」
ええっ? な、ななな何? さくらいしょうくん? ジャニーズ?
「はい嵐です」
「いえ・・・特には・・・」 なんかよく分からないが、とりあえずそう答えると、その初老の男性はスーーーっとカウンターに消えた。
どうやらオーナーらしい。
再び現れた(おそらく)オーナーの手には印刷物。説明してくれた。
この神田白十字は、ドラマ『家族ゲーム』のロケ地になったそうで、嵐の櫻井翔さんが出演しており、以来嵐ファンがロケ地巡りで訪問するようになった、とのこと。私も同類だと思われたらしい。自慢ではないが、私はなにかと変わった人に話かけられることが多い。てっきり今回もその類ではないかと思い、ヤバい空気になったら逃げようと考えていた。謎が解けホッとした。
2か月に1回は店内は何かの撮影に使われるらしい。都心でこれだけ広く、純然たる純喫茶の内装が残っている店もそうはないので重宝されるのだろう。
2階には団体用の貸し切りスペースもある。
2階から見下ろす光景も幻想的。
*
今回なぜ4年ぶりに慌てて訪問したかというと、喫茶友からの1通のメールが原因。「神田白十字が閉店したみたいです。跡形もなくなっています」。そんなメールをもらい、翌日見に行ったら、無事営業しているではないか。どうやら場所を勘違いしているらしい。せっかくなので入ったという次第。そして店内から「早まるな!」メールを送った。
だが、こんな機会がなければ、訪問済の店をなかなか再訪問しないのも事実である。改めて王道の良さを再確認、都心のオアシスを満喫した。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
きた
2016/02/10 URL 編集
エムケイ
当時とほぼ内装だと。素晴らしい。
1階から3階までの高さのスピーカーというと、それは圧巻ですね。
レコードをかけていたというと、看板通り、文字通りの名曲喫茶だったのですね。
嗚呼、その時代を見てみたかった!
2016/02/11 URL 編集
あかりのママ
2017/09/05 URL 編集
エムケイ
こちらは吹き抜けからぶら下がるシャンデリアが大変魅力的です。
ミックスサンド美味しかったのですね。
コーヒーは…なんか当たったり、外れたり色々ですね(笑)。
個人的には神保町ではさぼうるやラドリオも端正で良いのですが、ほどよくゆるい、でもクラシカルでゴージャスなこの神田白十字をもっと推したいです。
非常に純喫茶らしい店だと思ってます。
2017/09/06 URL 編集
はなこ
神田白十字でたどり着きました。
こちらは解体が始まるそうです。
閉店してるなあ…と思っていたのですが。
立派で凝った造りなのに残念です。
喫茶店大好きなのでまたおじゃまします。
2020/02/25 URL 編集
エムケイ
閉店したとは聞いてましたが、解体が始まるのですね。
おっしゃる通り立派で凝った造りで、本当にどうにかならないのかと思ってしまいます。
あの吹き抜けを貫くステンドグラス調のシャンデリア、十字架のテーブル。
どうなるんでしょうね。
本当に残念です。
2020/02/25 URL 編集
きた
でも、自分も今年で65歳。地元で4階建ての中古ビルを購入し一階を名曲喫茶として令和3年の8月を目処にオープンします。メニューは当時働いていたときのメニューを一部再現したいですね。その一として「トルココーヒー」。これはどうしてこの名前がついたのかは定かではありませんが、雪平にコーヒーを入れて、挽いたコーヒー豆を小さじ一杯くらい加えてコーヒーの周りが白く泡だった頃が約九〇度と言うことで、そしたらカップにいれて出していました。実際に作ってはいましたが、またオーダーもそれなりにありましたが、作っている本人は一度も味わったことがありませんでした。今回はこれをメニューに加えたいと思います。それと「アイスミルク」も作るのが楽しかった一つです。ガラスコップにメロンシロップを約一センチくらい入れて、その上に牛乳をシロップと混ざらないように注意して入れます。シロップと牛乳の二階建てになりますが、たまに失敗しますね。その時は自己消費。ま、只今店内レイアウト中なのですが、なかなか昭和のレトロ感を出すのが大変ですが、当時を思い出しながらレイアウトしましょう。ちなみに店名は白十字ではありません。「Wien」です。オーストラリア語だとヴェアン・Weanとなるのでドイツ語でヴィーンとなるように、この店名にしてます。
では。
2021/03/04 URL 編集
エムケイ
閉店が続くなか、とても夢があります。
2021/03/07 URL 編集
yuko
私も青春時代に神保町の仕事が済んだ後、3時間ほどアルバイトをこの店で、させていただいた者です。(50年前)
懐かしい写真にその頃を思い出し、嬉しくなり数回、拝見させていただいてます。
近くの日大の学生さん、お勤めの方、名曲のリクエストを受けていました。
いろんな方がこの店を愛した歴史があるのでしょうね。閉店は残念です。
又、その後の様子もお知らせ下さい。
キタさんとは入れ違いだったんですね。 オーナー素敵な女性の方でした。突然お邪魔しました。
2021/11/28 URL 編集
エムケイ
神田白十字でアルバイトをされていたんですね。キタさんもですが、歴史の長い喫茶店だけにアルバイトされた方もたくさんいらっしゃったんでしょうね。
名曲喫茶のリクエストを受け付けてたんですか!
先のキタさんのコメントでもありましたが、レコードでクラシック音楽を流す純然たる名曲喫茶だったみたいで、その時代を見てみたいです。羨ましい!
閉店に関しては本当に残念ですが、閉店せざるを得ない事情があったんでしょう。
この記事の後にも何度かこちらにはお邪魔してるので、時間のあるときに写真を追加していこうと思います。
2021/11/28 URL 編集
まつも
閉店してしまったにですね、高校、予備校時代良く通っていました、駿台と研数でした、
タバコを吸いながら良く友達とだべっていました。確かコーヒーが200円でしたので金のない学生にも優しい店でした
2021/12/12 URL 編集
エムケイ
どういう経緯なのか分かりませんが、とても残念です。
神保町には古い喫茶店は多いのですが、こちらはそれらとは一線を画した、古臭い感じが好みでした。
他の有名店は古いのですが、現代的だったりで、心から好きだったのは白十字でした。
あの辺大学も予備校も多いですね。
タバコを吸いながら過ごしていたのですね(笑)
今は全面禁煙とか分煙とか。
コーヒーが200円だったんですね。
当時でも安い方だったのですか。学生にも優しいお店だったんですね。
2021/12/13 URL 編集
まつも
レスありがとうございました。30年前くらい前でした。
椅子とかテーブルは画像から判断すると変わっています、私が通っていた時はところどころいたんでいました笑
あと御茶ノ水のウィーンにも良く行っていました、5階とか4階だとオーダーを取りに来ない時がありましたね
2021/12/15 URL 編集
エムケイ
あの椅子とテーブルは当時のものとは違うんですね!
たしかに綺麗だなあと思いましたが、十字の入ったテーブル、クラシカルな椅子など創業時のものと信じて疑ってませんでした。途中で交換したんですね。
御茶ノ水のウィーン。
すみません知りませんでした。
調べてみたら、名曲喫茶で現在では「サンロイヤルビル」というビルなんですね。
写真見たのですが、クラシカルで名曲喫茶の面影があります。今度見に行ってみようと思います。
5階とか4階とか。豪勢な喫茶店だったんですね。想像してうっとり。
2021/12/16 URL 編集
まっちゃん
1985年以降ほとんど行かなくなったのには理由があります。
この年に大改装されて、写真のような内装に変わってしまったからです。これだけ見ていると歴史のあるレトロな雰囲気でいいですが、その前の姿とは雲泥の差です。
1985年以前の白十字
店内はもっと薄暗い。まるで西洋の屋敷に入っていくような感じ。
内装は骨董店のよう。怪しげなオブジェ(船具のようなもの、燭台、織物、西洋人形、古い絵画・彫刻等)が乱雑に陳列されている。
レトロな椅子に何故かゲーム台(主に麻雀ゲーム)のテーブル。
各テーブルの壁に小さな額が掛かっていて、その額にぼろぼろの紙が入っている。
その紙は大作曲家の本物の楽譜の一部。ショパンの楽譜、シューマンの楽譜、リストの楽譜、ブラームスの楽譜、マーラーの楽譜、等々。。。
スピーカーは天井から吊るされた無指向性の黒い球体。それがいくつか店内にある。
オペラなど聴いていると、まるで劇場の中に居るような気分になる。
一杯のコーヒーで長居できる貴重な空間、異次元空間。
改装後に行ってがっかりしたものです。
妙に白々として明るく安っぽくなってしまいました。
怪しげなオブジェも作曲家達の楽譜も無くなり、つまらない空間になり果てました。
勝手な私見ですが、以上の通りです。
2022/09/03 URL 編集
エムケイ
確かに神田白十字の長い歴史からすると、もっと古びててもいいはずでしたが、それにしては綺麗だったので、改装してたんですね。
私にとっては、改装後も充分にクラシカルな内装に感じられましたが、改装前の店内の描写を読むと、まるで別空間ですね。
ゲーム機のテーブルは見かけなかったような気がします。
個人的に激しく惹かれるのは、「額にぼろぼろの紙が入ってる」の部分です。
まさに名曲喫茶だったんですね。
まっちゃんさんの記憶力にも脱帽します。
何度も読み返し、想像し、うっとりしました。
たしかに改装前の店内からすると、改装後はガッカリしますよね。
私だと歌舞伎町のスカラ座が小田急エースに復活し、行ってガッカリしましたから。
2022/09/05 URL 編集
-
2023/06/02 編集