甲府で最も旅情をそそられた純喫茶を紹介する。
これまで南口の県庁周辺を廻ってきたが、ここからは北口方面。甲府と言えば、あの方! 武田信玄。かの戦国時代の名将を祀る武田神社のすぐ東「喫茶&軽食 陣」。
言うまでもなく店名の由来は出陣の陣。
山梨県甲府市古府中町3624-3
まさに出陣。そのくらいの気構えで向かわないと途中でへこたれてしまう。
坂、坂、坂。武田神社まで延々と続く坂。ひたすら坂を上る。なんだ?この苦行は?
自転車でスイスイ。能天気な当初の目論見は崩れた。必死に立ち漕ぎで坂を上った。大人になって立ち漕ぎする機会なんてそうはない。
真冬の甲府がこんなに暑いとは! 汗をかきかき武田神社にたどり着いたが、お参りする余裕は残っていない。スルーで。ここまで来たらあともう少し!
目印はこの碑。
やっと到着するは目的の陣!
この窓からの景色だけで苦労は充分報われた。心洗われる。ああ、甲府に来た。しみじみ。
カウンターでは常連のお客さんとママさんが談話中。
窓際の奥の席にみっちり収まる。西日が差し込みキラキラと眩しいくらいだが、一種幻想的でとても感動した。キーコーヒーの看板がくるくる回っている。
琥珀色のライトも良い感じ。
と、あのキラキラ光っているのはなに?
正体はビールの350ml缶。お客さんが作ってくれたものらしく、風でくるくる回る仕様。
いいね! ここにしかない、ここでしか見れない。
熱いおしぼりでお疲れ様。
コーヒー。一見シンプルで普通に見えるが、底がどっしりして好きな形状のカップ。
「観光ですか?」
レンタサイクルは観光客を語る分かりやすいアイコン。これは私のような余所者・一見客には有利に働く。普段は得体の知れない胡散臭い客?と思われるのか、「何かの取材ですか?」「お仕事ですか?」とよく聞かれ、その都度不審がられながらも来意を告げるが、観光客だとそれ自体が免罪符になる。
「観光というか、まあ……。喫茶店のためだけに来たというか」 ごにょごにょ口ごもると、「あら~そうなの?」意外と軽く流されたので、なんだかホッとした。
私の場合、旅先の純喫茶では休憩をしていない。のるかそるか。結果当たることもあれば外れることもある。寛ぎも落ち着きもオマケのようなもので、根底には探求心がある。いつかはお気に入りの少数の店だけを回る、そんな日が来るかもしれない。だが、その時はこのブログの終了でもある。
それまでは、できるだけあちこち廻ろう。
「頑張ってね」カウンターのお客さんとママさんに激励されつつ、満足感たっぷりで店を出た。帰りは実に爽快。坂をサーーっと下り、一気に甲府駅へ。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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