初めての尼崎。
尼崎市が大阪だと思い込んでる非関西人は多く、大阪府尼崎市で郵便物を出したら普通に届きそうな(正しくは兵庫県)、それっくらい大阪的イメージ。実際にも大阪に近い。梅田から阪神に乗れば10分で着く。
あまり時間がなかったので、阪神尼崎駅から出屋敷駅を急いで往復。4軒の純喫茶に入った。その中で一番思い出深いのが、これからレポートする「純喫茶 ブルドック」である。
兵庫県尼崎市汐町28
尼崎って一体どんなところだろう?
パソコンで入力すると尼崎と正しく変換できるが、私はずっと尻崎と書いていた。
よく関東では川崎に置き換えられることが多い。工業地帯であり、少しガラが悪い(失礼)。私のイメージでは、ヤンキーだらけで、生まれてすぐジャージを着せられジャージを着たまま死んでいく「ジャージ天国」。
ステレオタイプ過ぎ? 実はまんま映画『下妻物語』の影響。
純喫茶ブルドックは出屋敷駅から尼崎駅に折り返す途中で出会った。赤と緑のツートーンカラーの古めかしい庇。
ブルドック? 最初、洋食屋かと思った。ところが、すぐ目にとまった「純喫茶」の文字。
足元を見れば、手作り感満載な看板。ガムテープの補修に泣いた。・゜・(/Д`)・゜・。そして、惚れた。
入るしかない。
3つの顔が一斉にこちらを向く。あからさまにビックリした表情。まるで吉本新喜劇のベタな演技だ(笑)。
「な、ななななんですか?」ママさんらしき女性からおそるおそる問いかけられた。
「お客として入りたいのですが…」
この瞬間、氷塊した。「ああ~らそうなの? どうぞ!どうぞ!」他の男女2人のお客さんもめいめい自分の席に戻った。
得体の知れない怪しい客ですみません!
新喜劇的なワンシーンの後、席に座る。落ち着いて見回すと、好みの内装。
オレンジのまるいペンダントライト、ストライプ模様の壁、窓ガラスやドアに貼ったステッカー。1960年代~70年代の雰囲気プンプン。好きだ!と強く思った。
ゆりの花を飾ってあり、甘い香りが店内に漂う。なにげにテーブルにも切り花。おもてなしの心が嬉しい。
メニューはなかった。
歩き回って暑かったので、アイスコーヒーを注文したら、「ホットでもいい? もしどうしてもアイスがいいなら、これから作りますよ」
郷には郷を。ホットコーヒーを注文しなおした。
作り置きではなく、一から入れているようだった。小さな店内なので、カウンターの様子が丸見えだ。その間、男性のお客さんから、どこから来たのか? なんでここに入ったのか? 好奇心をぶつけてきた。
「よりによって、なんでアマに? 一番ヒドイ所に(笑)」(関西の人は親しみをこめてアマと呼ぶ)
「えっ? ヒドイんですか?」と聞き返すと、
「ヒドイ、ヒドイ、ヒドイ(笑)。いやいやいや、好きだけど(笑)」
ここで一同大爆笑。
「いろいろ話しかけてごめんなぁ」と言ってたけど、私に限っては大丈夫。むしろ嬉しい。
と、ここでコーヒーが出てきたが、話に夢中で写真は撮り忘れている。たしかジバンシーのカップだったような? とても美味しかった。
ただ、話をしながらも、ずっと気になっていたものがある。壁に掛かっている数々の絵。
心に響く絵。特に下のシュールレアリズム風の絵には吸い込まれそうになった。描いた方はどなただろうか? なんと!画伯は私の目の前。これまで話をしていた男性のお客さんが描いた絵だった。
「そうそう、尼崎は歴史があって、すぐ近くはお寺が並ぶ寺町だから見ていくといいよ」と教えてくれた。
本当だ! とても風情のある通りだった。
個人的には、今回の阪神尼崎と出屋敷の一往復は単なる序章。上っ面を見ただけに過ぎない。尼崎には奥深いものが、可能性がまだまだ潜んでいる気がする。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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