窓から外を眺めつつ、想い人を待つ。
……つい、そんな妄想をしてしまう。阪急線十三駅西口すぐそばの純喫茶。「喫茶なにわ」にて。
大阪府大阪市淀川区十三本町1-1-15
※2017年5月閉店
ただし、現在、西口は閉鎖されている。3月7日に西口「ションベン横丁」で、飲食店など36店舗、延べ1500平方メートルが焼ける程の大火災があったらしい。(⇒記事)
西口に行くには東改札口を出、薄暗い連絡通路をくぐらなくてはいけない。これってデジャブ?
1年前に行った阪急淡路駅と風景がそっくり。
通路を抜けると、西口のアーケード。喫茶なにわは、すぐそこ。
ひときわ存在感のある渋い建物。
看板が激渋。パッと見、「ふにわ」だが、これで「なにわ」? えの旧字体がゑみたく、旧字体なのだろうか(未確認)。
電飾らしき粒粒が、往時の繁栄を思い起こさせる。
1階入り口には食品サンプルがあり、
自動ドアの向こうに、立ってる男性2人。最初、お店の人かと思い、視線を送ったが、思いっきりスルーされた。どうやら立ったまま飲食している様子。 のちに、1階は喫茶なにわの店主の息子さんが営むうどん屋さんだと知る。
おおお! 2階へ続くアプローチの素敵さに、入る前からクラクラ。アールなどというものは軽く飛び越えた美しい湾曲。洞窟に迷い込んだような、そんな気分。
階段の上にはステンドグラス。
駅前だというのに、結構広い。
角丸の窓、オレンジのレトロ型ペンダントライトが等間隔に並ぶ。椅子はコロンとしたベージュ。背もたれに刻まれた幾筋ものラインが素敵。
写真には撮っていないが、壁一面が森林(の絵)になっている。
私が入ったのは、夕方6時過ぎ。店内にお客さんはなし。あまりにもヒッソリしているので、もう営業は終わりかと思い、奥から出てきたママさんに確認すると、「7時頃までです」との返事。
長居する予定でもないし、安心して、席についた。その途端、「まだ大丈夫だよな?」とか喋りながら、階段を上ってくる男性2人組。(←多分、大丈夫)
メニューは手書きで値段に修正を施した形跡。4月から消費税率がUPしたが、それに伴い、料金の見直しが行われたのだろうか?(推測)
裏面はお食事・デザート。「おふくろの味」の表記に、なんか、こう、心にこみ上げてくるものが……。
残念ながら、お腹は空いていないので、飲み物に。
大阪名物ミックスジュース(450円)。
ミックスジュースがない喫茶店は、喫茶店に非ず。そんな格言があってもおかしくないほど、大阪の喫茶店にはミックスジュースがある。
この日2杯目のミックスジュース。店ごとに味が違うので、飲み比べてみるのも面白いかも。
(これまでを振り返っても、大阪では3軒に1軒はミックスジュースを飲んでいる。)
ぼんやりと窓から外を見ながら、1日を振り返った。朝9時半に新大阪に着いたが、気付けば夜7時にならんとしている。
突然、店内に着メロが流れた。2人組のうち片方が電話に出た。「…まだ大丈夫。ここで、なんか食ってけ。」的な会話。ほどなく、3人目の登場。7時10分前。ママさんは注文を受けていた。
この様子だと、7時半頃までコースの気配。
…ひと足お先に。私はそろそろ出よう。
ミックスジュースは450円。年季の入った渋いレジの前で、500円硬貨を出した。返ってきたお釣りは100円。
「えっ? 450円ですよ」
「いいの、いいの。時間気にしてくれて有難う」
せっかくなので好意に甘えよう。
十三に行く予定のある方も、そうでない方も。ぜひ一度、西口駅前「喫茶なにわ」へ。
喫茶 なにわ マッチ (2014年)
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント