国立にて、2012年7月16日に誕生。「名曲喫茶 月草」は、名曲喫茶界ではニューフェイス。
存在はわりと前から知ってはいたが、うーん、後でいいかな? ずっと後回しにしていた。
ところが重い腰を上げていざ行ってみると、これが予想外に良かった。
東京都国立市中1-10-8 ノア国立ビル2F
2020年12月12日閉店
なぜ、気が向かなかったかというと、新しいから。
絶滅危惧種だと言われる名曲喫茶だが、数は少ないものの、今あるもので充分満足していた。新しい名曲喫茶といっても、結局は「老舗の二番煎じ」でしょ? やっぱり○○の方が良かった、ガッカリするに決まってる。行く前からネガティブな印象を持っていた。
けど、たまたま。本当にたまたま。気が向いた。
FLOWERSというカフェバーっぽい店はあるが、これ!?
……と、視線を思いっきり左にスライドすると、名刺サイズの小さなカードに月草の名前。
(後から知ったのだが、名曲喫茶月草が19:00まで、そのあと19:30からBar & Cafe FLOWERSの営業に切り替わるらしい。二毛作?)
なんとなく、いつもの名曲喫茶とは勝手が違い、入るのに少し戸惑う。
ドアを開けると、真っ暗。目が慣れるまで少し時間がかかったが、内装はセンス良し! 厭味のないオシャレな空間。
想像する名曲喫茶とはまったく違う、レトロっぽさを狙っている感じでもない(狙っていたら嫌だ)。純喫茶よりはカフェに近い。でも、これはこれで素敵。
さて、ここで店主登場。
若い男性だった。意外! 勝手に定年退職後の、少なくとも60代以上の、若い頃名曲喫茶に通っていた世代が店主だと思い込んでたのだった。
目の前の方はどこからどう見ても若い。20代?いってて、30代前半? こういう方が名曲喫茶を始めるとは!
驚いていると、にこやかに、「どうぞこちらへ」と入口付近の広いソファー席を勧められた。
棚には名曲喫茶に相応しく、レコードがぎっしり並んでいる。
本を象ったライトをテーブルに置いてくれた。メニューを見るには、この明かりだけが頼りだ。食事もあったが、今回は珈琲に。
すごく美味しい珈琲(チョコレート付)だった。
豆を挽く音が聞こえてきたので、一から丁寧に淹れているようだった。ただ、丁寧すぎるあまり、出てくるのに相当な時間かかっていたが……。
さて、名曲喫茶に来たからには、音楽についても語らねばなるまい。
実はこれが苦手。単に知識がないだけだが、クラシックを細かく分析して薀蓄を語るのには興味はない。それよりは単純に、良い音で気持ちよく名曲を聴きながら珈琲を飲みたいだけだ。
有名な曲を流してほしい。小中学生の頃、音楽の授業で習うような誰でも知ってる曲を。
嬉しいことに、ドンピシャ! 白鳥の湖、G線上のアリア、とか、かなり有名な曲が流れていた。
もしかしたら、私以外に1人居た先客(若い女性)のリクエストだったのかもしれない。
(リクエスト可。クラシック音楽のアナログレコードまたはCD1点に限り持ち込み可。)
帰りには、若き店主が入口まで見送ってくれた。「階段が滑りやすいので、お気を付けください。」
……あの高貴なネルケンのマダムを若返らせて、男性にしたような方だった。あまり男性であることを意識させないというか、丁寧で柔らかい雰囲気。
なにげにトイレも素敵だったことも付け加えておきたい。壁には映画のフライヤー。ゴダールの『男と女』『中国女』、ロマン・ポランスキー『ポゼッション』、『トリコロール三部作』、ジャン・コクトー映画祭等。なんとなく渋谷の単館映画で上映しそうな、こだわりのラインナップ。店主の趣味だろうか。
※映画の件。フランス映画に詳しい方から指摘があり、間違いに気づきました。①ゴダールは『男性・女性』、『男と女』はクロード・ルルーシュ監督作品。月草さんで見たのは多分、後者クロード・ルルーシュ『男と女』。②『ポゼッション』はイザベル・アジャーニ主演で、監督はポランスキーではない。たしか私が見たのはカトリーヌ・ドヌーヴ。多分『反撥(Repulsion)』だったと思う。(2014/05/11)
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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