【新三河島】ナルビ(閉店)

新三河島には何があるの? もし人にそう聞かれたら、「純喫茶」と即答するだろう。

思い浮かべるのは2店。「和風喫茶白樺」と「ナルビ」。もう何年前になるだろうか。町屋から歩いているうちに辿り付いた新三河島で、即、見つけた純喫茶である。

どちらに入るかは迷うまでもなく、白樺。ナルビは定休日だったのだ。白樺は期待を裏切らない和風っぷりで、入るとすぐ鯉の泳ぐ池があった。ところで、そばにあるナルビは一体どんな純喫茶だろう? 

近いうちにぜひ来よう!と固く誓ったが、私のような人間はすぐに忘れてしまう。実際、次に訪れたのは、ずいぶん経ってからだった。

ナルビ

ナルビ

東京都荒川区荒川5-18-2
閉店

この日は日暮里の純喫茶に入る予定だったが、日曜日だったせいか、ことごとく振られた。

1軒だけ定休日にも関わらず、有り難くも、「どうぞコーヒーだけなら」と言ってくださったが、さすがに遠慮し、後日改めて来店しますと、その場を去った。(この続きはまたの機会に)

そういえばナルビ! あそこはどうだろう? あれから随分経ってるが、急に行きたくなった。急遽、新三河島に行くことに決めた。歩いても、せいぜい15分だ。

個人的に、日暮里、三河島、新三河島を結ぶ直線ルートを散策するのが大好き。好みの純喫茶が点在しているし、建物も含めた昔ながらの風景を眺めるのは楽しい。

ただ、毎度道に迷う。この日も迷いつ、怪しい飲食店を発見しつ、やっとのことナルビに辿り着いた。

ナルビ ナルビ ナルビ ナルビ ナルビ ナルビ

白樺が和風なら、こちらはまったくテイストが異なる、洋風モダン空間。

外観からイメージするより遥かに奥行きがあり、広かった。黒い椅子が整然と並び、ウッディーなダークブラウンの壁はクール。有楽町「ストーン」や四ツ谷「ロン(Lawn)」が好きな方なら、まずハマるであろうスタイリッシュな内装。もちろん私も大ハマリ。

そういえば音楽はなんだったかしら? 覚えてないけど、ナルビの写真を見ていると、頭の中ではジャズが流れる。

先客は若い男性1人だけ。入口付近の席に座り、本棚を何度も行き来していた。どうやら漫画を読んでいる様子。

私は奥の席にした。

テーブルに置いてあるメニューによると、コーヒー中心で、ナポリタンやカレーといったガッツリ食事系はなし。トーストはあったような気がする。

ナルビ

壁に掛かったストレートコーヒの黒いメニューボードもスタイリッシュ。そういえば、純喫茶めぐりをしているくせに、ストレートコーヒーを頼んだのは数えるほど。いまだにコーヒーに詳しくない。結局、ブレンドコーヒーを注文。

ナルビ

注文を受けてから淹れるようで、少し待ったが、出てきたコーヒーは美味しかった。

その後、お客さんは他に入ってくることはなく、マスターはカウンターの椅子に座って、本を読んでいた。

先客入口、マスターカウンター、私奥。

お互い距離が離れているので、1人1人が世界に浸れる。

そのうち先客の男性が帰るのかレジでお会計。しばらくマスターとお喋りをしているようだったが、遠くて何を話しているのか聞こえなかった。

マスターはカウンターで黙々と本を読んでいるときは、寡黙なとっつきにくい方かと思っていたが、見ているとそうでもなさそう。

この後、話を振ってみると、思った通り。大変お話好きで温厚。30分以上は色々話した。純喫茶好きの私が興味を惹く話題をたくさん提供してくれた。

実は、ナルビを訪問したのは1年以上前。勿体無いことに、話の内容の細部は記憶が薄れてきている。忘れないうちに、切れ切れの記憶を拾い集めながら書いている。ただ、今でもはっきりと覚えているのは、マスターが何十年か前荻窪で通った名喫茶の話だ。

「荻窪駅前の路地裏。トルココーヒーが美味しかった。パイプを作るマスターがいた。」
そんな喫茶店があったという。
「名前は思い出せないんだけど…。」

覚えてますでしょうか? 1年前に書いた記事「荻窪にあった喫茶店」。ナルビのマスターから、宿題というか謎解きを与えられ(笑)、このところ随分とご無沙汰しているが、当時よく通っていた荻窪の名喫茶「邪宗門」のマダムに答えを教えてもらったのだった。

「琲珈里(ひかり)」

美しい響きを持つ純喫茶は、南口の路地裏にあり、マスターが亡くなり20年以上前に閉店したという。もちろん私は入ったことがないが、「琲珈里(ひかり)」は様々な方に影響を与えた店らしく、「荻窪にあった喫茶店」を書いた直後、行ったことある方から思い出話のメールをいただいた。他の方からは、某喫茶店のマスターが琲珈里(ひかり)にコーヒーの諸々を教えてもらった、とも教えていただいた。なんて影響力のある純喫茶だろう。何度も幻の純喫茶に思いを馳せた。

純喫茶は数あれど、大きな影響を与えたり、インスピレーションの源になる店となると、そう多くはない。ナルビのマスターにとって「琲珈里(ひかり)」はそういう店だったんだろうか? 少なくとも、私にとって、ナルビは、そんな数少ない純喫茶のひとつである。

利用金額

  • ブレンドコーヒー 400円

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