中野は南北で差がある。北口はサンモールやブロードウェイで極度に発展し賑やかだが、南口はそうでもなく。駅から離れると、寂れた光景がチラホラ見られる。
住所では、中野区中央。中央という町名は他の地域でもよく見られるが、中野区の場合かなり広い。
私が向かったのは3丁目。古い個人商店の看板建築が残っていたが、営業中の店は少なかった。ただ、かつては栄えていたのだろうか、飲み屋が固まって並ぶ一画もある。末枯れた雰囲気で、現在どれだけ現役なのかは謎。
そして、新中野に向かう、緩やかにカーブする坂道に、「シェルブール」という名の純喫茶があった。
東京都中野区中央3-45-9
(2015年末閉店)
一目見た瞬間、周りの風景に溶け込む、渋い外観にシビれた。
煤けた色合いの外壁を見ながら、年月の経過を想像した。
立体的な黄色いメニュー表が目を惹く。
流れるようなルの字が素敵。
ネオンサインで、コーヒー シェルブール スナック
どこか荒涼として、ハードボイルド? 東南アジアの市場にありそうな感じ。
…っていっても、出遭ったのは1年半近く前なんだけど。実は、tomcatさんのブログでこちらを知り、何度も来ている。いつも閉まっていたので、やっとのこと念願叶い初入店。
ステンドグラス風の模様が入った黒いガラス扉を開き、中に入ると、時は完全に止まっていた。
天井にはアールがついてて、セピア色に染まっている。静かな興奮を抑えながら、上ばかり眺めてしまった。
ファンと一体化したアンティーク風の照明が素敵。
注文したナポリタンはケチャップたっぷりの太麺。奇をてらわず期待通りの昭和喫茶のナポリタン。
量が多いけど、美味しかった。
食べ終わってからも、クリームソーダを追加注文しようかな、と思いつつ、カウンターの水槽を眺めたり、窓から差し込む虹色の光を眺めていた。
お客は私だけの時間が続いたが、そのうちご近所の方だろうか、女性の2人客が入ってきた。
片方のお客さんがクリームソーダを注文。
なんとなく見ているうちに、満足してしまった。
お店の名前のシェルブールは、若かりし日のカトリーヌ・ドヌーヴ主演の名作映画『シェルブールの雨傘』にちなんで名付けられたと思うが、どんな映画だったか全然覚えていない。
同時期に見たドヌーヴの映画『昼顔』は覚えているのに。
…っていっても、昼顔も、本筋とは関係ない、細部のどうでもいい部分だけしか思い出せないのだけど。金歯だらけの男が出てきたが、なんで金歯だったんだろう?とか。なんかシェルブールより昼顔の方が気になっていたりして(^^; 今度、2つとも見直してみようかな。
中野駅に戻りがてら近くを散策していたところ、さいとう・プロダクションを発見。
そういえば、店内にさいとう・たかを氏のサイン色紙が飾ってあった!
コーヒー&スナック シェルブール マッチ (2013年) ※画像をクリックするとマッチ側面が見れます。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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