赤羽は街の規模のわりに、純喫茶が少ない気がする。飲み屋が異様に多いから、余計そう思うのかもしれないけど。
純喫茶が求められていないのだろうか?
…いや、一概にそうとも言い切れず。思わぬ形で棲息する純喫茶があった。
飲みたい客には酒を与え、食べたい客には定食を与え。もちろん喫茶店なので、コーヒーも飲める。そんな純喫茶が赤羽にあるという。深夜まで営業する「暖母(ダンボ)」である。
東京都北区赤羽1-30-1
とある読者の方からの情報提供により知る。
ただ、遅くまで営業しているのは分かったが、開始時間が分からない。
一応、喫茶店なわけだし、普通にモーニングの時間に行けばいいのかな?
まずは朝10時過ぎに来てみた。
どうやら早すぎたらしい。営業時間の案内によると、11:00開店。
あと、現地に着いて初めて知った。ここ知ってる!!!
何年か前に通りかかっていた。窓にビッシリ貼った手書きメニューを見て、すぐ思い出した。
喫茶店だと認識していなかったのだ。
------------------- 1時間後 -------------------
どうにか他で時間を潰し、再度、来店。すでに店内にはお客が3名。
待って! まだ開店したばかり。てっきり私が一番乗りだと思っていたのに。先越された!
こう言ってはなんだが、内装がきちんと純喫茶らしいのに驚いた。
天井のシャンデリアだとか、琥珀色のペンダントライトとか、ピンクの公衆電話とか、店内を広く見せる工夫の鏡とか。もっと味気ない、もしくはバリバリ生活感の滲み出た微妙なのを想像してたので、意外!
ゲーム機テーブルもちらほら。うち1つに座ることにした。
ところが、死角になっているのか、お店の人がなかなかオーダーを取りにこない。というか、水もおしぼりもなにも来てない。
ただ、これは私的には好都合。いい感じにほったらかしの居心地良さにも通じるので。その間、メニューをじっくり眺める。
分かってはいたけど、やたら、食事メニューが多い。喫茶店らしくナポリタンかな?ん、でも、モーニングのつもりで来たわけだし、トーストとか?(あまりこの店に来た意味なくなるけど)
しばらくすると、お店の人(女性)が来た。
LiLiCoさんに雰囲気似てる?
…と思ったら、近くに座る男性客のところにミックスサンド持って行った。いっそ同じのにしようか。店員さんを呼び止め、私も同じくミックスサンドを注文。
なんか無難すぎて面白みがないのだけど、朝からそんなに重たいのを食べる気分じゃなかった。
BGMは「どこかで聴いたことのある」洋楽。有線? 何曲か知ってる曲が混じっていた。スティービー・ワンダー「 I Just Called To Say I Love You」とボン・ジョビのうーんなんだっけ? 多分、「Always」。音楽のテイストは嫌いじゃないです。
漫画があったんで、棚から1冊取り読みふけった。そうこうしているうちに、次から次へとお客さんが入店。すごい人気!
主に男性1人客なんだけど、なかには若いカップルもいて。デートかな?
大体みなさん、ガッツリ食事をしていた。本当に「食べ」に来てるって感じ。ただそれでも食堂ではなく喫茶店だと思った。食べ終わってもだらだら長居できる空気が流れていたから。
実際問題、店の人は忙しすぎて、帰ったお客さんのテーブルの片付けも追いつかないほどで、いちいち追い出しプレッシャーをかける余裕もないのだ。
結局1時間近く居たけど、まだまだ粘れそうな雰囲気だった。先客のおじさんは、帰る気配なかったし。
ってことで、すっかり暖母が気に入り、すぐに別の日の夜に再訪問。
実は気になっていたことがあったので、確認の意味もあり。もちろん気に入ったからというのもあるけど。
これです。これこれ。
「お酒90分飲み放題メニュー」
完全に居酒屋のノリだ。店内にも、結構目立つ位置に案内があり、目にしていた。
日中は喫茶だったが、夜は居酒屋みたくなるのか?
でも、入口には「19:00までコーヒー180円」の看板もデカデカ出ていた。19:00ちょっと前に来たので、喫茶と酒の狭間の時間帯のようだが、どちらもイケるのだろうか?
ランチの食品サンプルも出てるし。(ダンボランチ590円)いくらなんでも、ランチの時間じゃ…。仕舞い忘れたのかもしれない。近寄り、じっくり読み込むと、「1日中注文可」になっていた。
何でもあり、って感じ? イタリア国旗も何がなんやら…。
そんなに混んでなかった。
…とはいえ、30分もしないうちに、半分以上席が埋まるのであった。特に端っこのゲーム機テーブルは、落ち着く場所らしく、お客さんが帰った途端、待ち構えていたかのように、素早く別の席から移動してくるおじさんもいた。「ここがいいんだよー」と言ってるのが聞こえた。
このお店の本領を発揮するのは食事系の注文。全品飲み物がサービスで付く。
コーヒーはもちろんのこと、ジュースも可で、珍しいパインジュースをお願いした。メインはバジリコのスパゲティで。
サラダと一緒に出てきたのは、うーん。天然果汁0%なお味。無難にコーヒーの方が良かったかも。
ほどなくスパゲティー到着。結構量あり。すごーい美味しい、ということはなく、不味くもなく。普通に美味しかった。
食べ終わってから、前回訪問の漫画の続きを読む。加藤ローサが主演でドラマ化した、あの『女帝』の続編。なぜか1巻がない。
ところで、確認をしに来たことをすっかり忘れていた。夜も喫茶利用可なのかということを。
結局20時頃まで居たが、普通に食事をする人が多く、酒を飲む客はいなかった。普通にアイスコーヒーだけ飲む厳ついおじさん4人組もいた。日中も夜も雰囲気はそう変わりなし。ただ、本当の深夜はどうか分からない。
それにしても、私はなぜ、この暖母をここまで気に入ったのだろうか?
お店の人がそれほど愛想が良いというわけでもなく、味も抜群に美味しいというわけでもなく、内装も想像よりは純喫茶らしかったが飛びぬけた個性があるわけでもなく。
一言で言えばカオス。何でもあり感が心地良い。
どこか繁華街にある大型ゴージャス純喫茶の雰囲気に似ているからかもしれない。どんな客層であれ、どんな目的であれ、受け入れる。
暖かい母と書いて暖母。もろに当て字なわけだが、雰囲気はピッタリだと思う。
本当にオススメしていただいて良かった。自分の感覚だけだと、案外世界が狭く、同じようなところを選びがち。教えてくれた方には厚く御礼申し上げます。
そして今年は色んな方からオススメされている店を優先的に回ろうかな、と思うのであった。
自分で探すのはしばらくお休みしてもいいかなぁ…。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント