西荻窪「ダンテ」について、書きたくなった。
西荻窪は純喫茶が多いが、その中でもダンテは私にとって特別な存在である。
初めての訪問は今から3年以上前。カウンターが半地下になっており、テーブル席とは高低差がある。1・2階吹き抜けかと錯覚してしまう立体的な造りで、扉を開けた瞬間、その非日常空間にすぐ魅了された。
その後何度も訪れているが、いまだに特別な感覚が消えることはない。
東京都杉並区西荻南3-10-2
2021年8月31日閉店
いつかは、この素晴らしい内装を写真に撮り、ブログで紹介したいと思っていた。ただ、問題は写真を撮りにくいことだった。
ダンテは有名で人気もあり、コーヒーも非常に美味しい。昔からの常連さん、遠方から訪れる喫茶店好き、常にお客さんで店内が埋まっていた。
これがギンギンギラギラ派手なゴージャスで、賑やかな大箱純喫茶だと、意外となんとかなる。ところがダンテに関していえば、非常に難しい。1人でもお客さんがいたら、この独特の雰囲気を壊してしまうのではないか。そう思い、これまでコーヒー1杯であれ、写真を撮ることは控えていた。
おそらく、初めて感じた特別な感覚をずっと引きずっていたからだと思う。
この日は、たまたま仕事が早く終わり来てみた。
珍しく、店内にはカウンターにマスターだけ。
どの席にしようか、うろうろ。いつもデッキの中ほどの小さな2人用のテーブルに座っていたが、マスターから「お好きな席へどうぞ」の声をかけられた。後押しになり、思い切って、奥の4人掛けテーブルに進んだ。
奥の席から入口にかけて全体を見渡すのは初めてだったので、すごく新鮮。そして素敵だった。
何度も「今日は終わりました」と言われていてた、バウムクーヘン。今回はどうだろう? 訊いてみると、「大丈夫。ありますよ」と笑顔で返事が戻ってきた。ヤッタ!!! バウムクーヘンといつも頼むダンテブレンドを注文。
コーヒーを淹れるには少し時間がかかる。そして、多分、今しかない。
カウンターに近寄って、写真を撮らせてほしいと声をかけた。
…ということで、素早く写真を撮って、再度椅子に座った。なんかすごく緊張した。
バウムクーヘンとコーヒーはほどなく出てきた。小さなフォークで崩しながら、しっとりと甘いバウムクーヘンを食べる。苦いコーヒーと合う。
しばらくすると、会社帰りのスーツ姿のサラリーマンのお客さんが入ってきた。ちょうど帰宅時間が始まったようだ。
必ずまた来るつもりだが、今度はいつもの小さな席にしよう。元々、デッキの中ほどから、カウンターを見下ろし、カップを眺めるのが結構好きだった。
そして、いつかはダンテブレンド以外のコーヒーも飲んでみたい。暑い季節にアイスコーヒーがいいかも。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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