「埼玉屋」は浦和駅東口駅前にある。
エントランスには看板だらけ。テイストがバラバラだが、存在を際立たせていたので、喫茶店だとすぐ分かった。
だが、怪しい…。
いえね、怪しい喫茶店は私の大好物だが、いつもと意味合いが違う。
埼玉県さいたま市浦和区東仲町1-20 埼玉屋ビル2F
あくまでも私の妄想である、と事前に断っておくが、一言で言えば、ネタ系純喫茶ではないか、と。
頭にねじり鉢巻をした店主が、埼玉屋の名前の入った法被を着ている。メニューは埼玉の地名にちなんだ名前。浦和ブレンドコーヒー(仮称)、打倒大宮パフェ(仮称)、コーヒーゼリー行田風(仮称)といった具合。「応援します!埼玉」といったペナントが壁に貼ってあったり、お手拭やカップには埼玉屋のロゴが溢れていたりして(これは好ましい)。変な演歌、あるいは浦和レッズのテーマ曲(知らないが)をBGMに流す、100%受け狙いな店内風景を思い浮かべた。
(しつこく断っておくが、これらは私の妄想が作り出した虚構である。)
「とりあえず今回はやめておこう」
スルーしたのは3年前のこと。以来、埼玉屋のことも浦和のこともすっかり忘れていた。
ところが、2013年、再び浦和。西口に用があったのだが、念のため東口も偵察。
まだあるかな?
あった!
若いカップルが入っていくのが見えた。埼玉屋でデート?
つられて私も…。
以下、妄想ではなく、リアルな埼玉屋に迫る。
食品サンプルケースを抜け、トコトコ階段を上ると…。
流麗な装飾が窓際を飾っていて、期待高まる。
入口は正統派純喫茶の面持ち。
間違いなく、私の妄想上のネタ系純喫茶の世界は吹っ飛んだ。
扉を開けると、カランコロンカラン♪
爽やかな昭和の音色を響かせ、店内へ。
もうお分かりだろう? 煉瓦が壁の茶系正統派純喫茶。壁には額が飾ってあり、中近東風の大きなタペストリーのようなものが入っている。ネタとなるものは一切なし。
強いて個性的だと言えば、窓辺を塞ぐ、大きな電話ボックス。
どの席に座っても、いやでも目につく、存在感たっぷりな姿に圧倒される。
広い店で、どこに座ろうか迷ったが、思い切って、ボックス横の窓際に。L字型になっており、L字の_部分が窓際の特等席。邪魔と言えば邪魔だけど、いいパーテーション代わりになって、かえって落ち着く。
なぜか普段頼まないオレンジフロートを注文。アイスクリームを少しづつ掬いながら、オレンジジュースをストローで啜る。
流れるクラシック音楽に身を任せながら、窓から外を眺める至福の時間。時折りカランコロン♪昭和な音色が響く。
お客さんがそこそこ出入している人気店なのだ。おデートのカップルもいれば、女子会グループ、仕事の打ち合わせのグループ、1人静かに読書をする紳士まで。駅前で便利だし、すごく居心地良いものね。
以前、純喫茶にぃさんが訪問したときは、店内ガラガラだったらしく、存続が危ぶまれたが、安心してください。埼玉屋は大丈夫!
そして、私!!! ネタ系純喫茶だと決め付けスルーした3年前の自分を目の前に正座させ、こんこんと説教をしたい。「貴女は埼玉屋の何を知っているのだ?」と。浦和東口をじっくり見守る、正統派純喫茶であった。
ただ、1つだけ気になったことがある。店員さんの制服が椅子の色と同じアズキ色だったこと。他の純喫茶では見たことないので。偶然なのか、店内に溶け込ませる保護色効果なのか…。
埼玉屋 マッチ (2013年)
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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