東京都足立区千住1-33-11-1F
※2012年6月29日閉店
お店側から閉店するという内容のメールが届いたのは、岩本町「ペルル」の閉店を知った、数日後だった。
まさか!!!
あまりにも唐突。ご主人も奥様もそういうメールをするイメージがなかったので、にわかには信じられなかった。
ところが何人かの人たちと連絡を取ったが、どうやらそれは事実らしい。雨降る週末、北千住へ。
千代田線の開通と共に開店したそうで、北千住駅とほぼ直結。
1番出口を出て階段を上ると、みゆき。窓辺でお魚が泳いでいるみたい。
映画『ノルウェイの森』にも影響を与えた、台形のショーケース。
最後の最後。
ここがなくなっちゃうのか~
んっ!?
私が初めて座った席に目を遣ると、見知った顔の女子の姿が!!!
一昨年9月に本郷「こゝろ」で開催した会合に来てくれた人だった。
すごい偶然! 同席させてもらう。(つい最近も都下の某喫茶店でも似たような偶然が…)
内装はクールで格好いいのに、「めにゅう」。ウイスキー(ダブル)なんてあったのね。一度、奥のカウンターでグラス片手に、なんてやってみたかったなぁ。
ちょうどランチタイムだし、ナポリタンにしましょうかね。
ナポリタンのお皿のMはみゆきのM? うわー。素敵!
具沢山の味噌汁に温泉卵。なかなかのボリューム。ちなみに温泉卵はモーニングにもついてくるのだそう(又聞きですが)。
贔屓目抜きにしても、すごく美味しかった。
彼女はこの後予定があり、少ししてから先に店を出たのだけど、私は少し残っていくことに。マスターとお話したかった。
こちらもペルル同様、閉店するというのに貼り紙もなく、マスターとマダムも変わらぬ笑顔で接客してくれたので、うっかり閉店することを忘れてしまいそうに。ってか、何かの間違いじゃないの?そうであって欲しい。
「閉店するというメールをいただいたんですが…」と切り出すと、「うちの娘が出したんですよ」
なるほど!お嬢様が!
でも、閉店は事実なのね。
6月22日で閉店。待ったなしですぐに工事が入り、内装は全て撤去されてしまう、とのこと。
最悪のパターン。閉店は寂しいが、この美しい内装はしばらく残るのではないかと思っていた。よくあるじゃない? 閉店した後、何ヶ月も何年もそのまま残るということが。
悲しいけれど、私にはどうすることもできない。せめて、写真だけでも残しておこう。
初めて、みゆきに入ったときの衝撃は今でも忘れられない。
深海に静かに沈んでいくような、あるいは60年代のバァ、あるいはギャラリー、はたまた魅惑的な牢獄? キラキラした魅力が一挙に押し寄せてきた。
これまでに出会ったこともないし、これからも出会うことはない、みゆきだけの空間。
「もう40年です。家にいるより、ここに居る方が落ち着くかもしれません。」
あぁ…。そうなんだ。愛着持って、大事に大事にお手入れされてるもの。
「あれも私が貼ったんですよ」
昔を思い出しながら語るマスターの横顔を思い出すと、今でも切なくなる。
なぜ閉店するのかは聞かなかったし、マスターも何も言わなかった。
帰りに、レジのそばのショーケースからデミタスカップとソーサーを2セット出して、「どうぞ持っていってください」
ええー。ディスプレイされていたものです。すごく嬉しい。
「あと、これも、もし良かったら…。浜辺で拾ったものです」
大ぶりの貝殻を2つ、瓶詰めの星の砂を出してくれた。よくみると、桜貝や小花のドライフラワーまで入ってる。乙女なセンス(笑)。
ありがとうございます。大切にします。(現在、寝室の窓辺に飾ってある)
こちらで同席した人から、その後のみゆきについて色々教えてもらった。
まずは、居抜きで借りるという方が現われ、内装はそのまま残るということ。閉店日も6月29日に延期された。「Dining&Cafebar 北千住 みゆき」という名前で、9月16日にオープンすると。彼女は実際に行かれたそうで、詳しくはここには書かないけれども、一部嬉しい話もあった。
私も近いうちに、「みゆき」に行ってみようと思う。
【2020年1月追記】「Dining&Cafebar 北千住 みゆき」は居抜きで開業しましたが、現在は別の店になっています。みゆきの面影はなし。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント