古いビルに惹かれる。設備が古く、薄暗く、垢抜けない。陰鬱な空気が漂っているのだが、そこが魅力。見つけると、つい足が向いてしまう。
入っている喫茶店も素敵で、昭和からの内装を維持していることが多く、そこはかとなく漂う空気はやはり陰鬱だ。
今回は、板橋スカイプラザ2階「パーラー かなめ」。
東京都板橋区板橋4-6-1 板橋スカイプラザ2F
ここに来る前、1軒の純喫茶に入っている。
外観が素敵だったので、かなり期待して入った。写真映りは抜群だと思うが、整いすぎて、どうにもノリきれず。
私はきっと「レトロさを自覚してない」店が好きなんだと思う。あからさまに「マスコミ対策万全」なオーラを感じると(私が勝手に感じるだけですが)、ゲンナリしてしまう。
そんなことを考えながら、ぶらぶら歩いて辿り付いたのが中山道。たしか歴史ある街道だったはず。
で、目に飛び込んできたのがこれ。
ボウリングのピン。モロに昭和のセンス。
その下には、テナントの看板が連なっており、「パーラーかなめ」を発見。これは入るしかない。
入口にはこんなオブジェ。ボールが当たってピンが跳ねる、を忠実に再現している。
そういえば、池袋にも古くからある「ロサ会館」(垢抜けない)に、ボウリング場が入っているし、熱海駅前でも「すごい!」ボウリング場があった。ボウリング・ブーム自体が昭和の遺物となりつつあり、ノスタルジーを感じる。
純喫茶に直行する前に、ボウリング場が気になり、地下へ。
赤いドアノブが素敵!!! しかも、ボールに見立て、ピンが跳ねるをここでも忠実に表現。凝っている。
ひとしきり好奇心を満たしたところで、そろそろ純喫茶に行きましょうかね。うねりにうねった螺旋階段の造形美にため息つきながら、2階へ。
階段を上ると、突如、現る「パーラー かなめ」。
フォントがいい感じ。特に「パーラー」部分。雪印のロゴが入った冷蔵庫もいい味出してる。
この赤い看板が好き。
くすんだ色合いが絶妙なんだけど、さっき見たボウリング場のドアノブに似てない? そうだ! これをそのままドアノブにしたら、どうだろう。シュールでいいと思うのだが。無理でしょうけどね…(´・ω・`)
店内は期待を裏切らず、昭和らしい内装。荒削りで大胆なパーテーションが個性的。
コック帽をかぶった温和な雰囲気のマスターが「お好きな席へどうぞ」と言ってくれた。
ゲーム機テーブルにしてみようかと思ったが、クロスで隠れてるので、やめた。その隣へ。
コードも抜いてるみたいだし、現役は退いているのかしら?
パーラーという言葉から、フルーツパーラーを連想してしまう。なので、ついつい、果実感のあるものをパーラーでは頼んでしまう。
フレッシュジュースにしてみた。バナナで。
カウンターの方から、マダムの団体のお喋りと相槌を打つマスターの声に混じって、ミキサーのガーーという音が聞こえてきた。
甘くて優しい味でした。
壁には絵が2つ。間にサイン色紙が1つだけポツン。
だれのだろう?
マスターに聞いてみた。
なんと、プロボウラー・中山律子さんのもの。「さわやか律子さん」の愛称のあの方です。
素直に「すごーーい」と思いました。いや、ただの純喫茶だったら、そこまで思わなかったのかも。「ふーん。そうなんだ?」程度ですが、ボーリング場の入っている、この板橋スカイプラザでは、どんな名女優、人気アイドルより価値あるサインではないでしょうか。
最後に、ここの内装について聞いてみた。パーテーションが大胆なカットなので、なにかこだわりでも?と思いきや…
「最初から、この内装だったんですよ」
Oh…
ビル自体も古く、この店も古いのだが、以前は別の店だったらしい。現マスターは4代目。28年になるのだという。28年というと、昭和60年前後。ギリギリ昭和で、それほど古いというわけではない。
パーテーションも決して狙ったものではないらしく、「こういう内装は貴重です」と力説する私の言葉にもどうもピンときてないようでした。
ゲーム機テーブルに関しても然り。
「処分したいけど、お金がかかるのでねぇ」という調子だった。
レトロをウリにするつもりはないみたい。そこがいいんですけどね(笑)。
でも、間違っても、この赤い看板は処分しないでくださいね。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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2023/05/02 URL 編集
エムケイ
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