キャーーーーー!!!!
思わず、板橋区常盤台の住宅街で人目もはばからず絶叫した。
…というのは嘘。いくら感極まっても、理性で抑えられるくらいの分別はある。ただ、出会った瞬間、ズキュンとなったのは事実。
ステンドグラスが嵌った純喫茶然とした外観が渋い。同じく東上線各停仲間の東武練馬「喫茶 ボタン」を彷彿とさせる。昭和純喫茶まっしぐらな「ウイーン」というネーミングセンスも素敵だ。
東京都板橋区常盤台2-27-10
ときわ台は過去何度か熱心に散策したことがあるが、ここの存在は知らなかった。
けど、『ホットケーキ先生を囲う集い・午後の部』で、純喫茶にぃさんから教えてもらって知ったのだった。
絶好のタイミング。ちょうど、翌日、池袋に用事があった。重なるときは重なる。勢いで東上線に乗って来ちゃいました。
まずは城とコーヒーのイラストの看板をチェック。後ろに「お昼のランチ さばみそ煮」なんてのがチラつく。食事にも熱心な純喫茶なのかしら?
ところで、にぃさんからは「純喫茶ウイーン」と聞いていたけど、肝心な「純喫茶」の文字がどこにも見つからず、キョロキョロ。
こっちの看板か!純喫茶!!! 東上線沿線、意外に純喫茶看板を見ないのよねぇ…。
薄暗い雰囲気の階段にドキドキ。石の壁が重厚で素晴らしい。
ちょうど上から男性3人組が降りてきた。ウイーン、入りにくそうに見えて意外にも繁盛しているのかしらね。
お二階へどうぞ、の案内が少しだけアール・ヌーヴォーっぽい。池袋西口のカフェ・ド・巴里でも似たようなの見た気が?
2階へ向かう。
廃墟感あるガランとした踊り場には……
ステンドグラス。
んっ!あれは?
手書きで、純喫茶ウィーン。(ウイーンじゃくてウィーン?)
健康的なお色気ギャルが80年代チック。たまにこの手のポスターを見かけるが、どこが作製しているのだろう。まさかキーコーヒー?
チェックポイントは多々ありましたが、お待たせしました。やっと店の入口。
赤いドレスのセクシー女性。なんだか、珈琲というより、アルコールのポスターっぽくない?
入ると、ここにもステンドグラス。城を対岸から眺める女性が、海女さんみたく見える。
ぼんやり突っ立ってると、蝶ネクタイのマスター登場。
どこに座ろう? 店内をぐるっと見回してみる。
都内では貴重になりつつある広々空間。窓から光が差すので、開放感がある。久々の大箱系に嬉しくなる。
さりげなく足元に目を落とすと床はこんな凝った模様。
ところで、お客さんの姿が全然見えないんですけども? あの3人組に会ったせいで、お客でいっぱいの店内を想像していたのだけど、良い意味で思いっきり裏切られた。
ってことで、良さげな窓際に着くと、蝶ネクタイのマスターが水を持って登場。
グラスがウィーンっぽいかも。
テーブル備え付きのメニューに目を通す。「月曜日はカレーの日」が気になるが、この日は日曜。おとなしくコーヒーにしておこう。
普段はブレンドコーヒーを頼みがちだけど、私には珍しくウィンナーコーヒーにしてみた。せっかく純喫茶ウイーンに居るんで、ウィーンらしい飲み物ってことで。
多分大丈夫だと思うけど、万一知らない方のために書いておきます。「ウィンナー」は「ウィーン風」という意味。何を隠そう、私はかなりいい歳になってからウィンナーコーヒーの意味を知った。嘘みたいな話だが、ウインナー・ソーセージが入ったコーヒーだと思い込んでたのである。
肝心のウィンナーコーヒーですが、薄いかなぁ。もっと濃くてもいいかも。
ただ、純喫茶を愛する私としては、味についてはどうでもよい。まったくもって重要視してません。はっきり言って、相当なのが出てこない限りは何でも良いのである。
窓から交差点を眺める。ここ、営業マンがサボるには最適の場所かもしれない。しれない、っていうか絶対オススメだ。
本棚もある。重要なおさぼりアイテム。新聞、雑誌、微妙な数の漫画。実はこの日、池袋の歯医者に行ったのだが、待ち時間に読んだのと同じ週刊誌が置いてあった。そこで同じのを選び、続きを読んだ。こんな細かい偶然に嬉しくなる。
音楽の都ウィーンのイメージを裏切らず、流れる音楽はクラシック。
なにげに店の奥に目を遣ると、奥の奥の席でマスターは居眠りしてるようでした(笑)。はっきり言ってこの放置具合は大好き。閉店まで居座っても文句言われなそう。
ただし、ただし、一つだけ言わせて! 照明がシンプルすぎるのが勿体無い気がした。昔はゴージャスなシャンデリアだったと思う。歴史ある純喫茶の面影は残っているのだけども、途中で照明は交換したんじゃないかな。そこだけが惜しい気がした。
でも、繰り返しになってしつこいが、都内でこれだけ広い空間、広い席。サボりたい放題、寛ぎ放題、好き放題。喫茶店の原点を見た気がする。貴重な純喫茶である。
純喫茶 ウイーン マッチ (2013年) ※画像をクリックするとマッチ側面が見れます。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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