吉祥寺にあった喫茶店「天子峰」

どうにも入りにくい喫茶店というのはある。

吉祥寺にある、いわゆるレトロ喫茶の類は一通り入っているのに、唯一、何年経っても入ることができない喫茶店があった。五日市街道の「天子峰」。

2009年4月外観
(2009年4月)

ここは三河島? 吉祥寺らしからぬオーラ(2009年4月)

ただならぬオーラが漂ってます。

そうでもない? いえね、これが三河島とか三ノ輪だとか千住だとかで見かける分にはなんとも思わない。ああ、よくある昔ながらの個人経営の喫茶店かな、って。でも吉祥寺では違和感ありました。よそ者を容易には受付けない雰囲気というか。

2009年4月サンプルケース

サンプルケースも、なんだかね。ガラーンとしてるし、生気が吸い取られて抜け殻になってしまいそう。呪術にでも使えそうな怪しげな人形が2体。カップを倒してるのは狙ってだろうか? だとしたら、店主にはセンスがある。

2009年4月ドア

天子峰。かつて同じ名前の喫茶店にはお目にかかったことがありません。字面からミステリアスな霊峰のような印象を受け、す入店を容易ならざるものにしています。

すりガラスから目を凝らして中を覗き込んでいると、背後から気配を察知。振り向くと…。

お店のママさんが後ろに立っていました。

このときは3年程前の2009年4月。純喫茶めぐりを本格的に始めて数ヶ月。初心者だった頃。当時はまだどこか後ろめたい気持ちと言うか、純喫茶に入る行為そのものにキマリが悪かった。

とにかくビックリして、なんだかとてつもなく悪いことをしてる気分になってしまった。

(¬、¬) 「ナニシテルノ?」

(-_-;) 「えぇ…と」 (しどろもどろ)

これがはじめての天子峰

少し離れた天子峰

怪しいのは店よりも私自身だったわけで、ママさんの訝しげな視線を痛いほど感じながら、そそくさとその場を離れたわけです。でも、どうにも気になって後日再び。

真昼間でもあり、カーテン全開の中は丸見えだった。あのときのママさんが楽しそうにお客さんと話す姿がそこに。テレビもついていて賑やかそうな、どこにでもある町の楽しそうな喫茶店でした。

あぁ…。何を勝手に想像逞しくしていたのだろうか? 至って普通じゃないか。満足しきって結局入りませんでした。

そして、衝撃の初対面より約1年後(2010年3月)

天子峰に貼り紙

あれれ、シャッターが降りて貼り紙が!

休業のお知らせ

もしや閉店では?と慌てて駆け寄ると、休業のお知らせ。このまま閉店してしまわなければいいけど…。ママさんもおばあちゃんだったし。

(その後しばらくしたら、営業再開してました。)

それからどの位経っただろう? ふと思い立って天子峰に行ってみた。

ら、なんと……

跡形もなく(2012年5月)

更地

更地になっていました。

一瞬場所を間違えたかとも思いましたが、間違いなくこの場所です。

壁画

広い空き地には野生の花がちらほら。壁には可愛い壁画。

一足遅かった。いや、この状況からすると、とっくに閉店していたのだろう(壁画を描く余裕からして)。

ただ、仮に営業していたとしたら、入っただろうか? いや、やっぱり見るだけで満足したと思う。いつかあの窓辺に座る自分の姿を空想しながら、また懲りずにここを通り過ぎるのだろうな。

そんなことを考えながら、トボトボ吉祥寺駅に戻った。そして、駅前のY字路に立ち寄りました。時間があればかなりの頻度で来ます。

ボア

2007年に閉店した「ボア」。

駅前一等地にも関わらず、いまだ建物はそのまま、閉店の案内の貼り紙もそのまま。

一度も入ったことがない、私にとっては幻の純喫茶です。写真で見た、東郷青児の絵が飾られた店内を夢想した。

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