「中野車庫」でバスを降りると、すぐに純喫茶が見つかる。オレンジの庇には「COFFEE & SNACK ミロン」。入口のガラス扉は真っ黒で中をうかがい知る事はできない。
2階の焼肉店「東京園」も怪しく、階段の入口には古めかしい数珠のような暖簾が下がっている。営業しているのか意味不明。怪しい妄想をかき立てられる廃墟的な出で立ちである。
様子を伺い中を覗いては逃げる、を1年位繰り返さないと入れない上級者向けの雰囲気だ。
偶然見つけた、のならば。
東京都中野区本町5丁目40 (中野通り沿い・バス停中野車庫)
※2015年2月末閉店
だが、私がミロンを知ったのは偶然ではなく、マツタケ喫茶店さんの記事がきっかけでした。1枚の写真に写る「ある物」が私の純喫茶魂に火をつけたのです。
いざ、来て思いました。よく見つけたね。よく入ったね。初対面だったら、なかなか入る勇気は湧かない。
ここは見た目より奥行きがあり、日中とはいえど奥は薄暗い。
なので、自然光が届く入口付近の席に座りましたが、床が傾いており、体が斜めってしまう。
壁一面には漫画が並んでいるのだが、新陳代謝は良くないようで、あまり読みたいものはない。とりあえず1巻から揃っていた「あんどーなつ」を選んだ。読み始めたら意外に面白かった。
メニューを見ると全体的に安く、昭和で時を止めたまま。平成になろうという気はさらさらないようだ。ジャムトーストセット500円を注文したら、食パン2枚分というボリューム。お節介だが、儲けを少し考えた方が良いと思う。
お店のマダムは非常に丁寧で、注文を受けるたび、食べ物をテーブルに置くたび、お辞儀をします。これもマツタケ喫茶店さんのブログに書いてある通りだった。
実を言うと、この日は2回目の訪問。
こちらは先月紹介した「純喫茶 エイト」から近く、中野通りをまっすぐ数分歩けば着きます。昨年12月続けてハシゴしたのだ。その際、写真を撮らせていただいたが、夜間だったため、ほとんどピンボケ写真。
次は日中にしよう!と今年に入っての再訪問です。
赤い椅子、剥げかけた壁紙、無理矢理補修された天井、ところどころ切れた電球、無造作に置かれた脚立。織り成す頽廃的世界に惹き付けられました。
だが、ミロンといえば、これ。
テトリスのゲーム機テーブルの前の壁。
黒・白・モスグリーン・鏡の六角形が集まり、まるでモザイク。赤い椅子とのコントラストが素晴らしい。
これが隣にあるトイレまで続いているのです。
訊いてみると、40年程前、ここを引継いだそうで、この壁の六角形もすでにあり、そのままにしているとのこと。
「こんなの他のどこにもないわよね。笑っちゃうわよね」
狙っているわけではなく、全くの無意識。古い純喫茶ではよくあるケース。
モナリザの絵のかかった反対側の茶色い壁には、入居したときは赤と黒の壁で、天井からはミラーボールが下がっていたそうです。
!!!!!!!!!!!!!!!!
それ最高です!!!
「でもキャバレーじゃないし下品よね。さすがにそれは変えたわよ」
・゚・(ノД`;)・゚・ えーーーん(泣) キャバレーっぽいのがいいのに~~
うぅ…そのとき一言私に相談してくれれば。即刻その案は阻止ですよ、阻止。
あぁ…この空間で、寺山修司の映像を流しながら、「昭和アバンギャルド展(仮称)」がやりたいなぁ。と、実現する気はさらさらないくせに妄想だけはしてみる。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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