台東区三筋。外れでもないのに、これまで一度も来る機会がありませんでした。
蔵前から徒歩。でも新御徒町や田原町からも至近距離。少し頑張れば上野や浅草まで歩けますが、この辺りは穏やかな下町でした。
こういう空白地帯には、たまに素敵な純喫茶が潜んでいます。
三筋2丁目交差点の「Coffee Shop らい」のように。
東京都台東区三筋2-24-10
ストライプの縦長の庇が目を惹きました。でも、それ以外は主張するでもなく、しっかり風景の一部として溶け込んでおり、特に目立っていません。
入りにくいかと言われればそうかもしれない。けれど私は横断歩道を渡った勢いで、すんなり入ってしまいました。
え…。一瞬、言葉を失いました。
なんて素敵な空間だろう。霜降り模様のグレーの壁、凝った天井、床の煉瓦はぐるっと円を描いています。椅子の形から、半地下になった奥のカウンターまで。古い店だとは思いますが、大変お手入れも掃除も行き届いていています。
窓際の席は光が柔らかく射し込み、そこだけスポットライトが当たっているようでした。迷わずこの席に。
マスターが注文を聞きにきました。しゃきっと背筋が伸び、穏やかな笑みを浮かべ、この空間にふさわしい主人公です。首からはプレートを下げており、発声は困難だけど耳は聞こえます、という内容。コーヒーを注文しました。
店内に流れるのは気持ちの良いジャズ。うつらうつらしてしまいそうです。先客男性1名は半分眠っているようでした。
少しして、サラリーマンの男性が入ってきました。おそらく一見さんでしょう。マスターに「ホットコーヒー」と注文しましたが、何も返事がないので、「えっ?」と不可解な表情を浮かべていました。しばらく腑に落ちないといった顔つきでしたが、コーヒーを持ってマスターが登場し、真正面からプレートを見たのでしょう。「あっ!」という驚いた表情になり、「ありがとう」と言うのが聞こえてきました。
外を眺めたり、本を読んだり、音楽に耳を傾けたり、店内の素晴らしい内装をあちこち眺めたり。コーヒーはあっという間になくなり、追加でもう1杯。
お手洗いを使わせてもらいに2階に上がりましたが、ここでもまた言葉を失いました。
吹き抜けになった2階から見下ろすと、日本ではなく、どこか外国のカフェ(行ったことないくせに!)にいる錯覚に陥りました。
マスターは発声は困難ですが、こちらの話す内容は聞こえるので、この空間がとても素敵で写真を撮りたいと伝えました。2階の電気をつけてくれました。
閉店間際で他にお客さんはいません。棚から写真家が撮った写真を取り出し見せてくれました。「らい」の店内を素敵に切り取った写真でした。
そして、テーブルに光るものがコトリと置かれたのです……。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
あかりのママ
マスターもお元気そうでした。モーニングはなくて
かわりにバタートーストとチーズトーストが朝は注文できます。
ペリカンのトースト美味しかったです。
二階から下がっているライトが付いている頃にもう一度お邪魔したいです。
喫茶飲みにもいいところですね。
2018/02/03 URL 編集
エムケイ
マスターもお元気そうでなによりです。
そうそう、こちらはパンがペリカンなんですよね。
私はまだ食べたことありませんが。
2018/02/04 URL 編集