閉鎖的なオーラを放つ純喫茶にたまに出会います。入るのには勇気が必要。「スナック喫茶 チロル」はそういう店でした。
蒲田西口には賑やかな商店街がいくつもありますが、ここは駅から離れた寂しい商店街にあります。一昨年、蒲田を散策していて偶然見つけました。
入りにくいことこの上ないので、ひとまず断念。ネット検索しても情報がほとんどありません。
唯一、モヤモヤさまぁ~ず2で2008年に紹介されたということ、店内に亀がいる、との情報を見つけ勇気づけられました。いつか行かねばと思いつつ、時は過ぎてゆくのでした。でも、年も明けたので一歩踏み出してみたのです。
東京都大田区西蒲田5-18-16 (蒲田西口大城通り商店街)
喫茶 チロル - 大城通り商店会
閉店
入る前におそるおそる外観と看板の写真を撮りました。お店の人に見つかって叱られるのではないか…と思って(たまにあります)。
窓の外は植木が鬱蒼としてるし扉はステンドグラスで完全防備。中の様子はさっぱり分かりません。
でも、テレビで放送されたくらいだから大丈夫だよね、とおそるおそる扉を開けて店内へ。
入るとカウンターの椅子ではマダムが横になってるのが目に入りました(笑)。
「さっきまで宴会のお客さんがいて疲れて横になってたの。ごめんね」と気さくな口調。一挙に緊張は解けました。
「お好きな席へどうぞ」と言われたので、まっさきにカウンターがよく見える席を陣取りました。
カウンターが素敵すぎ!ベルベットのアールが見事です。ステンドグラスまで付いています。
母性を感じさせるぼってりした丸いピンクの照明に心奪われました。
メニューを渡される間もなく「ホットでいい?」と訊かれました(笑)。もちろん!
コーヒーが出てくる前に店内観察です。
外からは植木で隠れて見えなかったけど窓にはステンドグラスが飾られています。壁には天使のエッチングガラス。
いてもたってもいられず、コーヒーを淹れるマダムに色々話しかけました。
コーヒーが飲みたくて、とか、疲れたから一休みしたくて、とか。そんな偶然を装おうのにはもう疲れました。ズバリ本題に入りました。
喫茶店好きであるということ、あちこち喫茶店に入って昔の内装にうっとりすることが好きである、と切り出しました。
カウンターが特に素敵で他では見たことがない、と伝えると、カウンターのステンドグラスはお客さんが作ったものだと教えてくれました。窓際や扉のステンドグラスもお客さん作。今までにも他の喫茶店でお客さんの寄贈した絵や置物でいっぱいの店に何軒も出会いましたが、揃って良い店でした。(例:本郷「こゝろ」)
カウンター内の母性的なピンクの照明も素敵、だと伝えると、「昔は同じものがあちこち垂れ下がってたのよ。今は1個だけど」
その頃に来てみたかった!
あと、亀がいると聞いたんですが、と。
するとマダム。「さっきお風呂に入れたばかりで、向こうで寝てるのよ」
えぇっ!お風呂?亀をお風呂に入れても平気なんでしょうか?茹で上がってしまわないのかしら?
と、ここでコーヒー登場。
奥にマダムは消え、ピンクのブランケットを手に戻ってきました。
「冬眠の時期なんだけどね。そのまま起きれなくなることもあるから冬眠は難しいのよ」と言いながらOPEN。
そこには2匹の亀。無事だ。生きてます(笑)。
向かって左が10歳、2回り大きい右が11歳。「モヤさま」に登場した亀です。
ぐでーんと眠りこけてしましたが、マダムが私のために起こしてくれました。ごめんね、亀さん。
うよーんと頭を出して、のろのろ歩きました。
「お洋服もあるのよ」と亀専用(マダムお手製?)の服も見せてくれました。溺愛ぶりが伝わってきました。
とまあ、閉鎖的なオーラは大いなる勘違い。入って良かったと大満足の初入店でした。
「初めてだと入りにくいみたいね。どんどん入っていいのに」とマダムは話してくれました。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
みこと
2017/07/20 URL 編集
エムケイ
駅から離れてるのでちょっと寄るはできませんが、一度蒲田を時間をかけて回ってみたいです。
2017/07/23 URL 編集