埼玉県秩父市番場町17-13
登録有形文化財の建物もそれはそれで美しいが、地域住民が憩う純喫茶はまた別の魅力を持っていると思う。
夢中になっていると背後が甘くなるのでしょうか。建物の外観や看板の写真を撮るのに集中していると、声をかけられた。
「中の写真も撮っていいよ」。どこからともなく登場したパーラーコイズミのマスター。「え?いいんですか?」「どうぞどうぞ」なんてやり取りしながら、店へ入る。無防備な姿を見られて恥ずかしい。
「貴女の憩いのスペース」というキャッチコピー。心の中でヒャーと悲鳴を上げた。そういえば、学生時代、女友達と「もらった手紙に貴女って書いてあったら、一気に醒めるね」なんて話をしたことあった。私たちだけでしょうか。貴女=気持ち悪い、と思い込んでた時代がありました。今となっては、まったくどうでもいいことです。むしろ、喫茶店で貴女・貴男という文字を見るとテンション上がる(笑)。
さてさて店内。
漆喰の白壁、丸みを帯びたパーテーション。上から下がる照明。茶系の椅子。ロマンティックな雰囲気でした。
いいな、と思った純喫茶では落ち着くことなく、あちこち目が泳ぐ私。
天井に目が行った。小ぶりで丸い照明には薔薇の絵柄。可愛い。
あと、このテーブルの模様。好き。
歩き疲れていたので、チョコレートパフェの甘みと珈琲で疲れを取る。
一息ついたところでマスターにマッチのことをたずねた。
「たまにマッチ欲しいという人いるけど、もうないんだよ」と言われた。でも探してみるよ、とかなり熱心に探してくれ、最後の1個が見つかりました。本当にありがたいです。
裏面の店「エル・パティオ コイズミ」は8年前に閉店したらしいが、「キレイな店だったんだよ」とマスターは言う。
元々何かのコレクションにまったく興味のなかった私ですが、喫茶店のマッチ集めをするようになって以来、紙ナプキン、箸袋、お手拭なども集めるように。その話をマスターにしたら、昔の店の紙ナプキンを持ってきて、くれました。
そして、もし興味あったら、と保存してある昔のパンフレット類を見せてくれました。
「ホットケーキまつり」「本日開店」「喫茶まつり」。他にも色々あったけど、夢中になって眺めてましたね(笑)。こういうパンフレットから勝手に数十年前を想像する妄想癖のある私。
それからコイズミを店内デザインをした設計事務所のパンフレット「繁盛店」。
繁盛している店を写真付きで紹介するというもので、開店当時のパーラーコイズミの写真もありました。
モノクロなので色は分かりませんが、ポップな近未来風です。椅子は赤だったとのこと。途中で改装し今の白と茶系に落ち着いたようです。ただ現在の椅子も古く破れてきたので張替えを考えてるそう。
椅子の張替えというのは新しい椅子を買うより費用がかかるもの。でもマスターによると、新しい椅子に変えるとイメージが変わってしまうので、張替えるつもりらしい。たしか、本郷東大前「こゝろ」でも同じ話を聞きました。
「繁盛店」からは当時の風俗をあれこれ想像(妄想)して、またまた夢中。この中で見つけた「オシャレマートタナカヤ」が異様に心惹かれました。
テーブルにどっさり広げた紙類。常連のお客さんも寄ってきて覗き込んだ。「ここは老舗の喫茶店なんだよ」と一言。
今回の秩父喫茶店巡り(一部食堂含む)はとても密度が濃いものでした。お店の方がとても親切。常連さんを大切にしながら、私のような観光客にもとても優しく接していただきました。これは熱海でも同じことを感じました。
熱海に続いて秩父もまた行きたい場所に。
パーラー コイズミマッチ (2011年秋) ※エル・パティオ コイズミは8年前に閉店しました。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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