廃墟みたいな現役の喫茶店。
青森県南津軽郡大鰐町大鰐前田82
青森の温泉街。秘境の地だと思っていました。
でも実際は全然そんな事はなく。弘前からアクセスが良い。私はバスで行きましたが、電車でのアクセスも可。当初は弘南鉄道大鰐線のつもりで予定を立てていましたが、「産交そば店」の目の前のバス乗り場がちょうど大鰐温泉駅行きだったので、どうせなら…と急きょバスに変更。
バスの車窓から、赤と緑のリンゴのフェンスの景色が流れて行く。少し前にツイッターで見ていたご当地フェンス。あれが例の! 本当にあったのね! ワクワク興奮しました。
弘前バスターミナルからの30分。あっという間でした。
大鰐温泉駅前は温泉街の玄関口らしい風情があり、ああ来て良かったと、これまたワクワクするのですが、今回は飛ばして喫茶店の紹介をします(気が向いたらいつかブログに書くかも?)。5分ほど歩くと、平川という大きな川があり、オレンジ色の目立つ橋「月見橋」がかかっています。温泉街への架け橋になっているのですが、「喫茶ベル」があるのは、その手前。月見橋の前。抜群の立地ですね。
2階のテントはないし…
錆びた着物教室の看板が貼ってあったり…
どこからどう見ても、廃墟みたいです。閉店してそのまま放置した喫茶店の建物、こんな感じだもの。
その割に看板は花モチーフのステンドグラス風で今風(?)。
狭い階段を上ることにします。
階段をカクカク曲りながら上ると
16歳未満午後7時以降、18歳未満午後10時以降立入禁止。お客に対する時間制限の注意書きがあります。
これ、たまに他の喫茶店でも見かけますが、ゲーム機のテーブルだらけの喫茶店が多い気がする。
想像と全然違う!
カウンターからして素敵!
ひゃあ~!私好みなんですが!
外観がボロボロ廃墟風だったので、それにふさわしい場末のやさぐれた店内を想像してました。そういうの好きなので……
でも、そうじゃないんですね。期待とは違う内装。しかし良い意味での期待の裏切り。どちらかというと綺麗なんですが、いつも私が使ってる隠語の「綺麗目」とは別、状態が良いという意味。
色あせたモスグリーンのストライプの壁紙、濃い臙脂のソファー、ゲームの画面だけくり抜いたテーブルクロスと斜めに置いたティッシュの箱とか、天然なのか狙ってるのか、想像におまかせの個人店独特の良い雰囲気。
時を経た味わい深い鄙びた雰囲気もありますし、温泉街の喫茶店の良さもあるし…
ああ…もどかしい程、良さが滲み出ています。
おそらく一般的には100人いたら99人は、前日の夜に入った有名な弘前にある「純喫茶ルビアン」の方がお好きだと思います。ステンドグラスも綺麗ですし。でも、私にはそこまでツボじゃなかったんですね。完全に好みになりますし、少数派かもしれませんが、私は100人中1人。「ベル」の方がツボ。入った瞬間、すんなり私の心に響きました。完全に私の好みの問題です。
濃い色のレースのカーテン越しに、窓に貼った黄色いテープの文字「喫茶ベル」が見えます。
外から見ると、廃墟そのものなのに、中から見ると、ロマンティックになります。外と中のギャップが大きい。でも、こういうのが喫茶店巡りの醍醐味。いまだに、入ってビックリしたいのです。刺激が欲しいのです(^_^;)
奥が小高くなっているのですが…
そっちの窓にも黄色いテープ文字。
隅っこには、アメリカ人のお一人様専用席みたいなスペースが隠れていました。
お客は私1人だけでしたが、店主のお孫さんらしき小学生くらいの男の子がテーブルゲームで遊んでいました。ピコピコ電子音が響く中で飲むコーヒーは美味。
帰り際にカウンターでママさんとお話させていただき、「内装がとても素敵」だと言うと、どこから見てもこだわってそうなその内装は、居抜きでそのまま引き継いで借りているだけなんだとか。
モスグリーンのストライプの壁も、素敵な照明もその時から変わらず。
建物は築90年、元は郵便局。こちらの店は借りているだけで、「喫茶ベル」としては25年。それ以前は別の店だったんだとか。
この時はああそうなんだ?と軽く流していましたが、後から何気なく撮った外観写真にその痕跡が残っていました。
「喫茶ベル」の店名入りの妙に赤さが際立つポストに郵便局の面影。
窓からのぞく倒れた看板には、「軽食喫茶かりめろ」。
ネットで検索してみたら、頭に卵の殻をかぶった黒いヒヨコのキャラクターのイラストの看板の写真が出てきました。おそらく「喫茶ベル」の前の喫茶店が「かりめろ」だったんでしょう。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
ねこもみ
男の子がテーブルゲームで遊んでいたというのも和みますね。
2022/04/15 URL 編集
エムケイ
ゲームはあっても、動かなくなって、完全にテーブルとして使われてる店が多いので、電子音が響く店内で過ごす時間は非日常感に溢れていました。
2022/04/18 URL 編集