中華のために気合を入れて出向いた。
東京都台東区浅草2-15-3
喫茶店のハシゴはできても、中華のハシゴはできません。
一軒でお腹が一杯になるからです。なら、喫茶店巡りの合間に中華を挟めばいいのでは? いえ、それも簡単にいきません。喫茶店での中途半端な飲み食いのおかげで、変な時間にいきなり空腹状態になるので、「今こそ中華」の時間が到来しても、そんな時に限って、中華の中休みに当たってしまうんです。
浅草ひさご通りで見かけた渋い外観の中華料理店「日進」も、このままではいつになっても入れないでしょう。
どうやら土日のみの営業らしい。私にとっては土日のみは別段問題ありません。むしろ願ったり叶ったり。しかし反面いつ閉店してもおかしくない危険もはらんでいる。早く行かないと……
そこで、この度、浅草駅から真っすぐひさご通りを目指し、「日進」を訪問することにしたのです。
しかし意気込んだわりに、訪れたのは、中華で中休みになりがちな午後2時半。意気込んだように見せて、朝起きれず、家を出たのがお昼過ぎになったというのが真実なのです……(笑)
それでも無事営業中なのは幸い。
まず入店前に外観の鑑賞をしましょう。
左の窓にかかっている格子のデザインがロマンティック。これ、中華じゃなくて、純喫茶の世界ですよ…
「店の前に自転車を置かないでください」と貼り紙がありますが、自転車が置いてあるパラドックス。
食品サンプルのショーケースがあると嬉しいですね。背景が鏡なので映り込まないように斜めから撮影。
外国人観光客が多い浅草ならでは。メニューには英語の表記も。
HARUMAKI(笑)? 英語というか、ローマ字表記のようです。
「全中華 環同連」?ぐるぐる渦巻きの中華マークが囲むカラフルな看板はパンチが効いています。
引き戸を開けて入店。
想像以上の内装!
いくら素敵といっても、中華料理店ですからね。そこまで期待していませんでしたが、天井も壁の模様も、椅子の模様もゴージャス。照明も凝っています。
『ラストエンペラー』に出てきそうな照明……
ラーメン丼の渦巻きみたいな中華マークをあしらった丸い照明もあちこちに……
マークが見えにくいので、アップにします。中華料理店だからといって、ここまで中華マークを使ってるのも珍しい。
ここで、ふと疑問が湧いた。ラーメン丼でお馴染みのこの渦巻き模様ですが、呼び名はこれでよいのでしょうか?
調べてみたところ、正式名称は「雷紋」。
どうやら中国では3千年以上歴史がある模様で、意味もきちんとあるみたいですが、ここでは割愛。
テーブル上の箸立てにも「雷紋」があしらっています。
椅子もよくある町中華のパイプ椅子ではなく、目も眩むゴージャスなダマスク柄。純喫茶の壁でも見かけますよね。破れをガムテープで補修してますが、それでもゴージャスさは損なわれていません。
多少の生活感はあれど(鳥の鳴き声がチュンチュン聞こえたり)、それも良い意味でのスパイス。年季の入った内装を綺麗に維持している事に感嘆の声を漏らさずにはいられません。
純喫茶巡りも素敵な内装が一番のお目当てなので、純喫茶だけに固執していません。食堂や中華料理店でも素敵な内装なら積極的に訪問したいと思っていますが、こちらは下手な純喫茶顔負けの素晴らしい内装。
いや~本当、素敵ですよ。頑張って来て、本当に良かった~~
帰り際にママさんからうかがったのですが、戦後からの営業で(1940年代後半でしょうか?)、改装もしているらしい。ひさご通りが賑やかだった時代も見ていて、その頃からすると現在は寂れてしまったのだそう。
先客はなく、ママさんが客席で休憩中。
純喫茶の時と席選びの基準は同じ。全体が眺められる端っこに座ったのですが、ちょうど頭上にテレビがあるようで、ママさんが私に向かってリモコン操作していました。ママさんの席から、テレビがよく見えるみたいです(笑)
メニューにも中華マーク…じゃなかった、雷紋。
なぜパンダ?ああ、中国だからパンダ。そういえばそうですね。
いつもだとオーソドックスなシンプルラーメンにするのですが、ゴージャスな内装なのでゴージャスなラーメンにしようと、一番高い「ごもくソバ」にしてみました。
高齢のママさんに注文すると、調理場に入っていきました。
結構待って出てきた「ごもくソバ」。
固いサヤエンドウとくたくたになった柔らかい白菜のギャップ…
頭上から競馬中継が聞こえてくる、古き良きゴージャスな店内。至高の時間を過ごす幸せを噛みしめながら、「ごもくソバ」はなかなか進まず難儀するのでした。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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