大阪・日本橋「竹」は何年も経ってから閉店したのですが、今回紹介する「喫茶マルオー」は閉店間近だと知った上での訪問です。
兵庫県神戸市中央区元町通3-9-22
マルオーのInstagram
2021年5月末閉店予定
これまで何度も経験してはいますが、私はなるべくその状況を避けていました。
いずれは閉店するに違いない、古い喫茶店の多くはこの状態でしょう。もう年だしね、後継ぎいないから、お客もいないし、いずれは再開発で立ち退かないといけない。店主の口からも、世間話の一つとして織り交ぜてきます。それに対して、どこか他人事のように見ている。現実感がない。まあいつか閉店するんでしょうね、というちょっとした感傷で終わるのです。閉店までにまた来れたらいいな。儚い希望が残されています。
しかし、閉店日の情報が貼り紙、HP、有名店なら新聞などで告知されてる喫茶店では、まったく状況が異なります。
すでに店内のムードが通常営業のときと違います。どこかソワソワとし、浮足立っている感じ。ついフラッと訪れるというよりは、意気込んで訪れる感じ。
それは私のように閉店するからここぞとばかりに訪問するお客がムードをソワソワさせてるに違いないのですが、常連のお客さんもソワソワしてるように見えます。
そのソワソワに自分が加担するのは、自然ではないと思うのです。
でもね、行ける時があるなら、やっぱり行くべきだと思うようになりました。
そっとしておいた方が良い喫茶店もあることは承知の上で……
さて、前置きが長くなりましたが、神戸の喫茶店でもかなりの長い歴史がある有名店の「喫茶マルオー」を訪れたのは、これが初めてでした。
もっと言えば、元町自体が初めてです。実は私、神戸の純喫茶にはあまり入ったことがありません。
勝手に元町の響きにオシャレでハイカラなイメージを持っていたので、現実は随分と違い戸惑いました。飲み屋が多くて、昼間も営業している。後から、🐴ウインズ(JRA)🐴があることを知りました。なるほどね~浅草みたいな感じね。
元から人気店なのか、閉店間際(4月訪問)だから混んでるのか不明ですが、席は自由に選べる状態ではなく、お店の人に「はい、こちらへ」と有無を言わさず、カウンター前に案内されました。
本当は入ってすぐ階段が見えたので、2階に行きたかったのですが、そっちはダメみたいな雰囲気だったので、もう使ってないのでしょう(真偽は不明)。
ただ、カウンター前の席も悪くはありません。オレンジと緑の帯の入ったカウンターデザインが素敵でよく見えるからです。
お店の人が行き来してる姿も見えるし、常連のお客さんとの会話が聞こえてきます。
私が滞在したのは、せいぜい30分くらいですが、その短い時間でも、閉店を惜しむ会話が4回くらいありました。こちらのお店がいかにお客さんから深く愛されていたかが伝わりました。
「えっ!5月閉店? 5月って来年? えっ!今年?」
「いつ決まったの? 今から考え直そう。これから行く所がなくなる」
「今は金土日しかやってないんだ?」
いつもなら全体が眺められる端の席がいいと思ってるのですが、この時ばかりはこちらが特等席に思えました。
創業は1948年。72年ということになりますが、その割に綺麗なのは、改装しているからでしょう。逆に改装しなければ、ここまでやってこれない年数です。内装には古さを感じませんでした。
しかし、私が座った席のすぐ脇、隣のテーブルとの仕切りになっている部分が古めかしい煉瓦で、革が張ってある。これは。昔のままなのだろうか。残念ながら、お店の人は忙しそうだったので、お話は一切できませんでした。
ケーキやサンドイッチも美味しくて人気があるようですが、マルオーといったら、こちら。名物のウイリアム。
要は丸ごとリンゴパイなのですが、ネーミングが秀逸ですよね。由来は間違いなく、ウィリアム・テルでしょう。
「あります」とのことですし、迷わず注文。単品だと700円ですが、ドリンクとセットで1000円。
ちょっと高いな~などと貧乏臭いことを思ったりしますが、交通費をかけて新幹線で来てるくせに今更ですよね。
丸ごとですが、ペロッと食べてしまいました。
前半でウインズがあると書きましたが、こちらも例外なく、競馬中継を流していました。う~ん、やっぱり雰囲気が浅草(^_^;)。
伝票は店名入りのオリジナル。
入口のそばの冷蔵庫に、他のケーキと一緒にウイリアムがありました。お持ち帰りもできるそうです。
ただ、私が訪れたのも閉店間近であったとはいえ、1か月以上の猶予があったため、品切れになるほどではありませんでした。その後、緊急事態宣言中は休業し、金土日のみの営業で、お客さんも殺到し、要予約だったとインスタで見ました。
金土日のみの営業なので、本来なら30日までのはずですが、マルオーのインスタでは31日(月)も営業するそうです。今日が最終営業日ということになります。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
紅茶っちゃ
2021/06/06 URL 編集
エムケイ
もしかすると、ウイリアムよりもリンゴっぽさは上かもしれませんね。
2021/06/07 URL 編集