なぜ気づかなかったかといえば、用がないから。このビルには喫茶店が入っていません。
なので、これまでのように素通りして銀座商店街に向かい、新仲見世のアーケードを脱出しようとした丁度その時、青く光る看板が目にとまりました。
いかにも夜のお店の看板ですね。華僑の響きにそそられました。
一時期フランス映画にかぶれていたことがありまして、マルグリット・デュラス原作の英仏合作映画『愛人(ラマン)』を思い出したのです。メコン川の風景と抒情的な音楽、美しい少女の愛人(レオン・カーフェイ)が華僑という設定。映画の切なくも官能的なストーリーから、裕福で優雅な物腰の殿方を思い浮かべてしまいます(実際には親の金で生きている生活力がない方なのですが)。
こちらのラウンジのお客が、そのように映画に出てくるような浮世離れした華僑ばかりだとは思えませんが、ちょっと足を止めさせるには十分なネーミングだったのです。
こちらも、あの時期の建物なんですね。角をスパッと切って3面にするタイプです。
「華僑」は2階にあるので、階段を上ってみます。
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うわあ!
踊り場には、大きなレリーフ。
これはかなり凝っています。このような邪悪な顔つきは、現実世界の鳥ではありません。鳳凰とか不死鳥といった架空の鳥でしょう。
錦糸町の24時間喫茶「桃山」にも、似た姿の鳥モチーフが店内に存在します。そして、横浜市福富町の有名な「GMビル」。
この鳥が鳳凰なのか不死鳥なのかは分かりませんが、夜の世界で好まれるモチーフのようです。
こんなのどこかで適当に買ってきて貼り付けるものではないので、おそらく特注でしょう。お金がかかっています。
1階の「とんかつ 花むら」から新仲見世を振り返る図。
偶然かもしれませんが、何年か前のストリートビューにも、「花むら」の端っこに自転車が置いてありました(^_^;)。
ユニバーサル有料駐車場。ユニバーサルビルの一部なのでしょう。多色使いだったらしき文字が素敵。
ユニバーサルホテル、ユニバーサルサウナ。
振り返ると、「だいこん屋」の黄色いテント。駐車場、ホテル、サウナの入口は、アーケード名店街へと抜ける通り側にあります。一画を大きく占領してることから見ても、新仲見世商店街のアーケード設置とユニバーサルビルの誕生は、ほぼ同時期と考えます(1969年)。完全に高度経済成長期真っ只中。上り調子、売り上げは年々倍増ウハウハ、そのような景気の良かった時代を想像させます。
アーケードの撤去は、厳しい時代の幕開けに思えてなりません。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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