今回から沼津シリーズ。
これまで沼津には何度も行ってるけど、喫茶店以外のことは書いていません。でも、それでは、あまりに寂しい。今回のシリーズではお店よりも、駅前にある商店街を中心に紹介していきたいと思います。
…と言いつつ、まずこちらの「洋食 千楽」から。
あと予めお断りしておくと、沼津といっても範囲が広いので、昨年の春に訪れた南口に絞りますので、よろしくお願いします。
静岡県沼津市下本町20
喫茶ならハシゴできても、食事となると、そうはいかない。
「洋食 千楽」は、下手な喫茶店以上に喫茶店らしい、昭和レトロど真ん中の外観という印象。初めて見たとき(2014年)、もの凄く惹かれたけど、喫茶店につぐ喫茶店でお腹はたぷたぷ。どんな軽い食事すら胃に入りそうになく、通り過ぎてしまいました。
こういう魅力的な古い店は、行きたくなった時に消えているものです。いつかは行かなきゃ。そう思いつつも、駅から離れてるので行くのが面倒 or タイミング良くお腹が空いてない、といったことが続き、現実に入店できたのは、昨年2020年3月。
南口から立派なアーケード商店街(仲見世、新仲見世)、アーケード名店街を抜け、さらに南下するとあるのですが…
あ、あれ?
記憶の中で美化しすぎたのでしょうか? 妙にござっぱりとしてるんですが…。
こちらにずっと恋焦がれていたのかと思うと、不思議な気持ちです。しかし、入るしかありません。
カプセル照明!
石の壁!
階段がキャー!
外観に拍子抜けしたものの、中は想像以上のレトロな空間です。
黄色とオレンジのレトロな模様は、純喫茶の床などによくあるタイプですが、平面よりも立体の方がそそられます。そして階段の形もね。「さあ、どうぞ」。大きく手を広げ、招き入れてくれます。
2階に行くしかない!
広い!
1階からは想像できない広さ。倍はあると思います。
足元には階段と同じ模様の床が広がり、ゆったりとしたテーブル配置。おまけに小上がりまであります。
お手洗いの薄ピンクのドアが、昔の病院みたいで、地味に琴線に触れました。
メニュー表と漬物。
漬物はサービス。爪楊枝で食べるよう、店員さんから説明あり。
伝統的な洋食メニューがズラリと並んでいます。
こちらではカツカレーやかつ丼が人気のようですが、私はカツをそんなに好みません。オムライスを注文しました。
きわめてオーソドックスな昔ながらのオムライス。
なにをもって「昔ながら」と形容するのかといえば、卵の焼き方ですよね。薄くしっかりと焼いた卵で巻くタイプが「昔ながら」です。
なら、あの東銀座「YOU」のほぼ汁状のオムライスは? 昭和レトロのオムライスとして、よく名前が挙がりますよね。たしかに歴史ある有名店の大人気のオムライスですが、オーソドックスな「昔ながら」とは別物だと思っています。
美味しければ、昔でも今のものでもどちらでも良いのですが、「今日はオムライス」気分のときは、「昔ながら」のオムライスが食べたくなります。
こちら「千楽」のオムライスは文句なし。望み通りのオムライス。お値段が少し高い点が玉に瑕ですが、それも誤差の範囲内。店内のムードなどを含めると、100点満点。
お皿も店名入りですしね。
アルファベットの流れるような筆記体が、ハイカラ気分を盛り上げてくれます。
紙ナプキンも店名入りのオリジナル。
ここでふと思い出したのは、山梨県富士吉田市、月江寺にあったレストラン「鮮笑」。鮮と千。字は違いますが、どちらも「せん」と読みます。たしか「鮮笑」の方は、「戦勝」が由来で敗戦後に漢字を変更したと聞いたことがあります。こちらの「千」にも戦時下の事情があるのはないかと勝手に想像しました。
また、どちらの店でも、カツが人気。カツは勝つ。戦争に勝つ的な意味もあったのでは?
紙ナプキンのデザインにも似た雰囲気があるので、どちらも戦争を経験してるのではと考えます(なんの裏付けも証拠もありません)。
なお、「千楽」は下本町が本店になりますが、北口にも支店があります。そちらは未訪問。
あとからネットで昔の外観を見て、外観への違和感がなぜなのか分かりました。
以前は、建物が今のように丸々さらされてはおらず、アーケードがあり、薄暗かったこと。そして、看板。昭和レトロど真ん中のデザインの大きな看板があり、インパクト大でした。あの象徴的な看板が撤去されたことにより、外観の印象は変わってしまいました。
残念なことに、当時の外観写真がいくら探しても見つかりません。絶対撮ってるはずなのに……。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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