魔がさしてしまった。
嶽本野ばら氏の小説『カフェー小品集』にも収録されてる「糸きりだんご」。クセが強いイメージがあり、これまで見て見ぬフリをしてきたけど、とうとう行ってしまったよ……。
東京都三鷹市井の頭4-9-22
糸きりだんご・語り場
日曜日の井の頭公園。ワイワイキャッキャ賑やか。
「糸きりだんご」があるのは、井の頭公園を出てすぐの閑静な住宅街。ひっそりと周りに溶け込んではいるけど、只者ではない異質なオーラも放っていた。
でも、もの凄く惹かれる。ここは入らねば。
「平常営業」の貼り紙も後押し。
平常の喫茶営業の場合、営業時間が1時間短い。こりゃ、ますます今入らねば!
独特の入口を開けると……。
誰もいない。
しばらく待ってみたが、誰も出てこない。
仕方なしに帰ろうとしドアを開けたところ、「ティロリロリロリーン♪」というチャイム音。センサーで音が鳴る仕組みだった。意外とハイテク。
ならばと、2・3回出入りを繰り返したら、やっと奥から店主の女性が出てきた。
この雰囲気は得難い。
曇りのせいか、漂う光が曖昧でアンニュイ。ミステリアスな雰囲気。
う・・・ん、いいなあ。
「どうやってこの店を知ったのですか?」
まあ、当然聞くよね? 偶然見付けた、とかそんな立地じゃないもの。
とりあえず、「友人から教えてもらった」でお茶を濁す。そんな友人はどこにもいないのだが……
「友人?」
ママさんの目が一瞬キラリと光った(^_^;)。ディープトークを求めてると思われたのか?
メニューはドリンク類中心。普通の喫茶店みたくコーヒーもある。しかし、私が興味があるのは、店名にもなっている「糸きりだんご」。
何度も蒸したりこねたりを繰り返し、柔らかくなった団子を切るのは糸。だから糸きりだんごなのね。
糸きりだんごにはセットが何種類かある。お茶付きなら700円、抹茶だと1100円、団子3個と抹茶で700円。
特製糸きりだんごお茶付き700円を注文。
「ご注文された方には無料で占いをしますが?」
「いえ、占いはいいです」と辞退すると、ママさんの「いいんですか…?」と残念そうな表情。胸は痛むが、「喫茶のみでお願いします」と答えた。
「もしよろしかったら、アンケートの記入をしてお待ちください」
アンケート。この辺が普通の喫茶店ではないところよね……。
お茶が先に出てきたので、記入したアンケート用紙を渡すと、それを見ながら、「母の話をしてもよろしいですか?」、「生まれ変わりに興味はありますか?」と聞かれる。
ここもだいぶ苦しいけど、「喫茶のみ」で押し切る。
「団子の盛り付けに時間がかかりますので、それまで自由にご覧下さい」と言って奥に消えた。
15分位待ってから、お目当ての糸きりだんごが出てきた。
丸くない団子を初めて見た。
棒状にしたものを糸で切っているらしい。
味は全部で4種類。赤あん、白あん、きなこ、黒ゴマ。
これが本当に美味しーーーい!
弾力なくてひたすら柔らかくて、食感が全然団子じゃないけど、やっぱり団子? あんの甘さも上品だし、団子に言う話ではないが、鮮度が良い? う~~ん、これは本当に美味しい。
特に印象に残ってるのがきなこ。
これが普通のきなこというよりは、シナモンぽい味でスパイシー。
こんなの他では食べられないよ!
「ご用があればお呼びください」
「喫茶のみ」で通した私を尊重してくれたのか? 糸きりだんごを出して、ママさんは奥に引っ込んでしまった。
たしかにクセが強い店だった。
正直、誰にでも勧められる店ではないし、また行くか?と聞かれると、躊躇してしまう。でも、やっぱり行って良かった。これは本当。店内の雰囲気は素敵だし、糸きりだんごは本当に美味しい。
直前にネットで珍スポット的なレポートを見たせいか、思ってたよりも「平常の喫茶店」に感じた。何度もディープトークへ持って行かれそうになったので、私が望めばそういう展開になったに違いないが、残念ながら求めていないので…。
望むか、望まぬか、お客の態度次第というところだろう。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
SHIHO
怪しいけど、怪しくないような…(笑)
糸切り団子と喫茶のみで!を貫き通せるか自信がないですが…(^o^;)
スピリチュアル?前世?生まれ変わり?
深掘りすると果てしない話になりそうなので、躊躇してしまいます。笑。
入口の貼り紙に『生年月日でワンポイントアドバイス』みたいなことが書かれてますが、手広い趣味をお持ちなママさんなんですね(´∀`)
2020/02/27 URL 編集
エムケイ
怪しいは怪しいですが、テレビ番組でも紹介されたこともあり、お勧め手土産(だったかな?)の本にも掲載されてるので、一応の身元は保証(?)されてます。
その本にも、喫茶のみも可と注釈がありました。
まあ、わざわざそう書くのもアレですが……。
何度も折にふれて、スピリチャルトークに導こうとする姿勢がママさんから垣間見られるので、そこが若干のプレッシャーになります。でも、一方的にバーっと喋られることはないと思いますよ(多分)。
店内の雰囲気の良さと糸きりだんごの美味しさは一回体感して欲しいですね。
とかいう私はもう一度行くかというと、なかなか厳しいのですが(笑)。
2020/02/28 URL 編集
ズッキー
行く勇気が湧きづらいですが気になります。
2020/03/01 URL 編集
エムケイ
本当は店主のキャラが濃い系の店は苦手なので、入らないつもりでした。
どんな店なのか外から見るだけのつもりで行ったら、不思議なオーラに絡めとられて入ってしまいました。
でも、直前にネットで見た珍スポット的状況にはならなかったです。思ったよりは平常な喫茶店でした。
一応事前の確認があるので、そこまで濃い状況にはならないとは思いますが、なんとも言えません(笑)。
2020/03/01 URL 編集