両津港から近い、そして安い。
という理由で予約した「金沢屋旅館」が元遊廓だと知ったのは、出発の数日前だった。
新潟県佐渡市両津湊263-2
さど観光ナビの紹介ページ
チェックインは夜だけど、明るいうちに下見。そしたら、本で見たことのある「THE遊郭」な建物に衝撃を受ける。風格ありすぎる。いや、威圧感?
なんでコの字型なんだろう?
本当に、こんな所に泊まるのか……。こわいな……。
な、ななな、何なの? この迫力ありすぎる飾りは!
あまりにも「いかにも」で大げさな装飾だけど、当時はこれがオシャレだったの? それとも受けを狙ってるの?
玄関には丸い謎モチーフまで埋め込まれている。小判のつもりとか? 佐渡金山があるし。
あまりにも素人離れした仰々しい姿に戦々恐々としながらも、下見はこれにて終了。
両津夷、真野、佐和田で喫茶店巡りをし、午後7時前にチェックイン。
金澤楼
引き戸をガラガラ開けると、いきなりこんな迫力ある館内ファザード(?)に出迎えられる。
しかも楼って! 遊郭そのものじゃないか! 凄いな~
赤玉石。「花園」でテーブルに置いてあったのと同じ石かも。
歴史ありげな古伊万里の大皿。
大きなガラスのショーケースには、高そうな美術品が展示されてる。
こんな所に私のような人間が泊まるのは無謀じゃないか?
でも、今更他に行きようがないし、と玄関で突っ立てると、「お待ちしてました~」という明るく元気な声で、笑顔のご主人が出てきた。えっ! こんな人当たりが良いとは!(一体どんな人を想像してたんだ?)
さっそく部屋を含め、館内のご案内。そういえば特に宿帳の記入もなかったけど、予約の情報で充分ってことかな……。
赤っぽい石を敷き詰めてあるだけの間があり、右上に共同の浴室。
素敵~~!
床のタイルが最高。
「見せたいものがあります」
旅館のご主人から、建物の裏庭に案内された。
無造作に草生い茂る、しかし妙に趣深い庭の小道を歩いていくと……
すごーい! 海?
「加茂湖といい、塩も混じってる汽水湖なんですよ。向こうに見える山は○○山です」
(○○の部分を忘れてしまった)
ご主人が袋から何かをつかみ、水面に向かって放り投げると、鳥が群がってきた。
トキ? さすが佐渡だな~
…と思ったら、
ウミネコだった。投げていたのは、かっぱえびせん。
「投げてみますか?」
今度は私の番。投げると、面白いように食らいつく。あっという間に袋は空っぽ。
貝殻で出来た小道もあった。
さて、ここからはお部屋へと移動。
ものすごく急な階段を上り2階へ。足腰が悪い人なら這って登らないといけないほど急。
案内してくれたご主人が、「古い建物でしょう? 明治××年のものなんですよ」。
××年の部分が曖昧。明治35年って聞こえたけど、明治20年という記述も発見。どっちが本当?
いずれにせよ明治時代なので、古いことに変わりはない。歩くたびに床がギシギシ軋む。地震の直後だっただけに抜け落ちやしないか、おそるおそる歩く。津波が来たら、どこに逃げるのかご主人に聞くつもりだったが、それ以前の話だ。
こんな所にも福助が。
廊下に沿ってガラス張りのショーケースがあり、古美術始め骨董品が飾られていたが、これは珊瑚の化石だろうか。
部屋番号は七番。
純和風で古いけど、綺麗に掃除されていた。
日本人形とティッシュの良い絡み。
襖には俳句が貼ってある。
ここを開けると向こう側にも部屋がある、と説明があったが、不気味で開けられなかった。
お風呂は共同で後に待つ人もいたので、さっさと済ませた。
後でもう一度ゆっくり入り直そうと思ってたが、部屋に戻ってくると、途端に猛烈な眠気に襲われ、午後10時過ぎには就寝。
「お風呂が空きましたよ」という声が、廊下から聞こえてきた。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
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コメント
蜥蜴
泊まってみたいですのぅ。
謎の飾りですが、石臼の様ですなぁ。
壁に石臼の上の部分(棒をさして回す部分)。
玄関は石臼の内側のごりごり削るほうだと思いますのぅ。
金銀の製錬作業にも昔は石臼を使っていたらしいので、
いかにも佐渡らしいものだと思われますのぅ。
沢山余っていたから使うかってことかも知れないですが。
加茂湖の景色も、内観も、タイルもよきですなぁ。
2019/07/19 URL 編集
エムケイ
もの凄く絵になる風景が頭に浮かびました。
そして、あの丸の謎モチーフ。
石臼!
大判小判にしてはやけに真ん丸だし違和感あったのですが、石臼ですね。
金銀の精錬作業に石臼。そうでした……。
面白くないけどお勉強になったと書いた佐渡奉行所で、「勝場(せりば)」の見学があり、石臼を挽く体験のシーンありました。
たまたま一緒に回った(?)女性4人組が石臼を挽いたんですが、カメラマンを申しつかっていたのでした。
スマホ4台で写真を撮ることに必死でした。
加茂湖の景色は感動モノですよ。
お値段以上の価値があります。
これまで遊郭の旅館に特に興味はなかったのですが、「遊郭に泊まる」などという本があることを先日知りました。
こちらの金沢屋旅館も掲載されてるそうです。
2019/07/19 URL 編集