電話してから喫茶店を訪問するのは気が進まない。
不審がられるし、何よりもロマンが壊れる。嘘でも偶然入った体で訪れたい。しかし昨今の喫茶店の状況を鑑みると、そう綺麗ごとばかり言ってもいられない。臨時休業の罠。美しく清らかな心を捨てても、確実な訪問を選ぶようになった。
ところが畠田の「喫茶 ゴールド」では、久しぶりにイチかバチかの危険な賭けに出てみた。
奈良県北葛城郡王寺町畠田4丁目1305
閉店
朝から5回以上店に電話しても鳴りっぱなし、誰も電話に出なかったからだ。
直前に訪問した友人によると、「営業時間は守るタイプだから」という話。
畠田というからには、元は畑と田んぼだったのだろう。田舎びた駅で下車。
もしかして、あれがゴールド?
なんか看板塗りつぶされちゃってるけど、一足遅かったか? 閉店?
んっ!? 出張ヘルスの貼り紙の向こう側に……
ぼこぼこに殴られずたぼろになった『営業中』の看板。今でも生きてるのか?
入口は道路からは奥まっていて、ドアには貼り紙! 電話に出ないのはやはり閉店だったのか? おそるおそる近寄る。
携帯電話の番号と営業時間。
ふぅー閉店じゃあない。てことは営業中ということになるが、この人気のなさは一体……。
ドアを引いてみた。
あ、開いた~~
王道の純喫茶らしいゴージャスな内装だが、日中なのに薄暗かった。
天井の真ん中に存在感のあるシャンデリア。電気が消えてるのが惜しい。
宮殿のような模様の赤絨毯も古びている。
ただ、見方を変えると、これはこれで退廃感が出てて意外と良い。
カウンターには、男性が1人椅子に座っていた。
「ホット?」
奈良喫茶お約束の問いかけ。今回の旅では3回目のホット攻撃だ。
「トーストをサービスで付けられますけど?」
名古屋喫茶Style。有難くお願いする。
熱々のタオルのおしぼりと、濃くて飲みにくいコーヒー、サービスのトースト。
ちょっと皿がアレだが、サービスのトーストには、他にイチゴ、オレンジ、バナナのフルーツ3種、ゆで玉子、ポテトフライ、その横には謎の揚げ物。これは何だ? 思い切って口にすると、サツマイモの天ぷらだった。芋がかぶる。
伝票を見ると全部こみこみで250円!
これは単純に凄い。儲けあるのかな? 出せば出すほど赤字じゃなきゃいいけど。
暗い隅っこに雑誌コーナーもある。
随分ときな臭いタイトルが並んでいる。週刊実話のようだ。マスターの? それともお客さんの好み?(-_-;)
マスターにお会計のとき朝から何度も電話をかけたが誰もでなかったことを伝えた。
悪戯電話、営業の迷惑電話があまりにも多くて、受話器を上げっぱなしにしている。御用は外に貼ってある携帯の電話にかけるようにとのこと。
って!? そんな外に番号出してたら、そっちの悪戯電話がかかってきて困るのではないかと余計な心配をしてしまった。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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