行く所がないと、いつもならスルーする店にも入ってしまう。
そして変に期待しない分、意外な当たりを引くことも。
山梨県都留市上谷1-5-19
大月から富士急行に乗って谷村町で下車。
こちらには言わずと知れた珠玉店「純喫茶 旅苑」がある。先日告知した村田商會さんの書籍『喫茶店の椅子とテーブル』への掲載許可をいただくために訪れた。実は前日遠方の別の喫茶店にお断りされている。1度あることは2度までもと言うじゃない? もしこちらでも断られたらどうしよう……。もちろん次の候補店も考えているが、谷村町からは3時間以上かかる。
焦るあまり朝早く家を出たら、開店時間より随分前に着いてしまった。
どこで時間を潰そうか? 谷村町は寂しい。人気のない閑散とした駅前を歩いていると、
んっ? 喫茶?
一度はそのまま通りすぎた。見間違いだと思った。でも、やっぱり喫茶だよね? 引き返してみると、「喫茶」の文字があった。
喫茶に見えない~~
看板もSNACKになってるし、アイキャッチのイラストもコーヒーカップじゃなくてカクテルグラスだし……。
う~~~(^_^;) 入口付近で行ったり来たりしてると、ドアが開いて中から女性が出てきて、「どうぞ」。
そう言われちゃ断れないよね。観念して入店。
思いがけず素敵。良いよ、ここ!
外観からは想像できない。かっこいいし、キッチュだし、見どころ満載。
壁には花の形のランプ。薔薇の造花が絡まっていてロマンティック。
カウンターは店名入り。棚にはブランデーらしき洋酒の瓶が並んでいる。喫茶といっても、スナックがメインの喫茶なのだろう。お子ちゃまNGのアダルトな雰囲気だ。艶やかな色彩の瓶が品良くディスプレイ。60~70年代の映画にこんなバーが出てきそう
純粋な喫茶店とは違うけど、これもアリじゃない?
座席の配置はスナック風だった。
真ん中に大人数用の大テーブルあるものの、基本1人客はカウンターに座るような雰囲気。
他にお客さんいないし、カウンターでママさんと1対1で向き合ってソツなく会話できるほど私はコミュ力高くないので、迷わず大テーブルに座った。朝から団体のお客さんなんて入ってこなさそうだしね。
ただ多少距離は離れていても緊張してることには変わりなく、視線のやり場に困った。幸いなことに見るべきものがあるのでライトやらパーテーションやらレトロ可愛いポイントを探してキョロキョロ見回した。そんな挙動不審の様子が気になったのか、どこから来たのか? 何の用でここに来たのか? 色々質問された。さすがに本の事は言えず、時間潰しで来たとか答えたのかな。広い店じゃないので、黙っているよりは喋ってる方が自然な感じがしたので、ひたすら喋った。
そんな感じなので、メニューに何があったのか覚えていないし、そもそもメニューがあったのかすらも思いだせない。
焼うどんを注文している。砂糖入りの甘い紅茶が付いてきた記憶がうっすらある。
カウンターで調理しながらママさんから、「何が苦手?」「味付けは○○と××どっちがいい?」など好みを聞かれた。
喫茶店の食事にはあまり期待してなくて、当たればラッキー! 不味くてもある程度流せる。なによりも私が喫茶で重視しているのはビジュアルなので、味に関しては寛大なのだ。
(この理論を人間に置き替えたら、見た目重視で性格はどうでもいいと言ってることになるな……ひどい)
でも、この焼うどん…
メッチャ美味しい! 味付けが絶妙に私好み。濃すぎず薄すぎず。たまたま焼うどんだけ凄い美味しいのかな? にしても、良い選択をした。
「どうお味は?」
カウンター越しにママさんから聞かれたので、そのまんま「凄く美味しいです」と答えた。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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