極力他の店ではコーヒーを避けた。
雪が降る彦根でコーヒーを飲む。最高のシチュエーションを迎えるならここ!と決めた喫茶店があるからだ。
滋賀県彦根市中央町1-4
その喫茶店とは「UCCカフェメルカード 彦根店」。
UCCはご存知上島コーヒーの略。一見チェーン店みたいな店名だけど、ここはチェーンではないらしい(なら何?)。このへん突っ込むとややこしいので華麗にスルー。
看板に雪が降り積もる。
ドアを開けると、コーヒーカップをかたどったエンブレムがお出迎え。
てっきり開けてすぐ店内全景が見渡せるのかと思い込んでいたら、柵でワンクッション置いてて一瞬戸惑う。
あれ? カウンターだけ? カウンターに座るしかないの? いきなり初めての店でそれは気まずい。
実はテーブル席もあった。入って右手はカウンターだけど、左手がテーブル席。それに気づかず右手のカウンターの前でウロウロ。
カウンターの奥の一番良さげな席はすでに先客がいたので、そこから距離を置いた入口付近の端っこに座った。ベストの選択なのかどうかは知らないけど。
天井はカクカクと三角になっていて、カウンターには台形の食器棚。
いずれにせよ良い雰囲気なのに変わりはなし。
「どんなのがお好みですか?」
メニューはもしかしてないのかな?
でも最初からコーヒーのつもりだったし、ブレンドコーヒーで!
「お勧めです」とマスター即答。
目の前でコーヒーを淹れてる姿を横目でチラチラ眺める。
外は寒いが、中は暖かい。
出てきてすぐは飲めず、少し冷ましてから飲む。少し苦味が強く感じた。
向かいの壁にワッフルのメニューが貼ってあるのに気付いた。帆船のひこね丼が胃中で渦を巻いてるので知ってたとしても食べないけど、ワッフルと相性が良さそうなコーヒーだった。
「観光ですか?」
彦根城の近くなので、知らぬ顔の多くは観光客なのだろう。観光客のまま話を合わせた方が楽かも?
「はい、そうです……」
心の中で違うけどと言いながら、喫茶店巡りで来てることは黙っておいた。
カウンターの向こう側では、1人で来ている女性客とマスターが昔の彦根の写真を見ながらあれこれ話している。こちらはこちらで、いかにもコーヒーを飲みたくてそのために立ち寄った風を装い、素知らぬ顔をしてコーヒーカップを頻繁に上下させる。時間をかけてチビチビと飲んではいたものの、気付くとカップは空になってしまい、やることが無くなった。
「御馳走様」
お会計をし、そのまま一観光客として店を出ようと思ったが、でも!
「観光というか、観光ではなくて、喫茶店巡りでこの店に来ました」
とうとう言っちゃったよ。できたら言いたくなかった。
「えー! そうだったんですか? 実はウチの店はこういった本に出てまして……」と『47都道府県の純喫茶』の本を渡された。
ええ、もちろん知ってますとも。この店のことは本でも見ている。もっと言えば本が出る前に著者のブログで見ていて、「いつか私も彦根のUCCカフェメルカードに行きたいと思います」と著者の山之内さんにメールしている。あれから5年近く経ってる。奇しくも山之内さんが訪問したのと同じく吹雪の日。
マスターは山之内さんに「ブログには随分と彦根を雪が凄いみたいに書いてくれたね」と言ったらしい。えっ! 彦根は充分雪凄いでしょ(^_^;)?
かくいう私もこうやって、彦根のことを物凄い雪国として書いている。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
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