ここは純喫茶なのか?
厳密な意味ではNOである。しかしこちらを純喫茶界から排除してしまうと、今後のブログ更新はつまらないものになってしまうので、純喫茶として押し切らせていただく。
愛媛県今治市北宝来町1-1-48
「洋酒・喫茶 碧空」があるのは、場末度濃厚な古い建物のある駅前の一画。
言うまでもなく健全か不健全かといえば不健全、純か不純かといえば不純な過去を持つ、怪しげだが魅力的な立地にある。
不健全なものを極力避けたい方へ。大通りにあるサントリー≪純生≫のゲートからくぐると良い。
なんだか交差点みたい。
こんなタイル、イマドキないよ~! ああ、ウットリと撫でまわしたい。
中央に大人数用のテーブル席があったが、「今日は金曜日なのでこちらでお願いします」とカウンターに通された。花金?
喫茶バロン、マニアナに続き3軒目のカウンター!
新記録じゃないだろうか。1日でこれだけカウンターに座ったのなんて初めて。苦手とか言ってる場合じゃないね。ここでもひたすら饒舌に語りまくる私。
本当は喫茶含め飲食店ではあまり喋りたくないのだけど、それって多分顔馴染みになりたくないからというのが最大の理由。旅の恥は掻き捨てというか、その場限りだと意外に平気みたい(^_^;)。お笑い芸人の誰かが言ってた、舞台だと喋れるけどプライベートだと喋れないと似た心境なのかも。スイッチオン状態だと何とかいける。
目の前に立つマスターとママさんはそれ以上。負けてない(笑)。
フレンドリーな方たちだった。あれよあれよという間に純喫茶巡りをしてて、そのために東京から来たとか、純喫茶不二家でホットケーキ食べたとか、バスで行かないといけない謎喫茶(珠玉か否か不明という意味)の話とか、包み隠しておきたい今日1日を話してしまった。
「この辺はバス少ないんですよね。朝と夕方だけで昼間がない」
それに対して「そうそう! みんな車ですからね」と合いの手を入れてくれ、今治(というか愛媛全体?)のバス事情を教えてもらったり。
紫色や緑色のライトの発色の仕組みについても教えてくれた。色々話しすぎて忘れてしまったが。
外のゲートや看板に、生ビール、台湾料理、飲茶料理、すっぽん料理、サントリースナック等のワードが飛び交っており、でも喫茶というワードも入っている。この店の実情はどうなってるのかについても聞く。
「純洋酒喫茶」の看板も以前はあったが、現在は「スナック」であるとハッキリ言いきっていた。
スナックか…。やっぱりアルコールを飲むべきか?
けど暑くてへろへろで、これから松山に戻ることを考えると、アルコールが回ってしまうそうな気がした。次の日も乗りきることを考慮し、ノンアルコールの梅酒ソーダ割にした。
1杯300円。スナックにしては良心的価格だった。
暑いと体が塩分を欲し、スパイシー腸詰(500円)。
こちらの店に関しては、とにかく喋った記憶ばかり残っている。他のカウンター2店よりも。
白いシャツに蝶ネクタイのマスターは2代目。昔はマニアナのマスターもここで働いていて、そのときはコーヒーも出しており、ジャズも流していた、と。
おおおおお! 話が繋がった。カチリとパズルの最後のピースが合った瞬間。
崩壊寸前の古いという印象のこの一画だが、新しい波も訪れている。この店の裏側は簡易宿泊所にもなっているのだという。
簡易宿泊所? それは山谷や横浜の寿町などの日雇い労働者が泊まるドヤ街みたいなもの?
…ではなく、
広島の尾道や福山から自転車で来る人が多く、そういう人が泊まる宿泊施設のことなのだという。今治市長が自転車好きらしい。
え~~~! そうなの?
たしか今治でレンタサイクルあって1000円位だったような気がするけど、自転車好きならいっそ無料にしてくれればいいのに(^_^;)。
さっきのマニアナでも自転車で来る人多いって言ってたし、今治はタオルと造船だけじゃなくて、自転車の街でもある。
カウンターの上にはズラリとウィスキーの絵(写真?)のプレートが並ぶ。良い感じのリアルなレトロ具合。
昔はサントリーがお得意さんに配っていたのだとか。現在はないんだって。世知辛いご時世である。
帰りに入口のショーケースがぐにゃりと歪んだラインが素敵だなと写真を撮っていると、「これ見て!」とママさんから入口にある古い集合写真を指差された。
そこには蒋介石と一緒に写る先代マスターの写真。
蒋介石!!!!! 歴史上の人物じゃないか~~!
碧空は並々ならぬ歴史がある凄い店だったのだ。
エムケイ
ブログを通して多くの方に純喫茶の魅力を伝えていきたいと思っています。
当ブログはリンクフリーです。トップページ、個別ページでもご自由に。
コメント
あかりのまま
台湾つながりは蒋介石に到達するとは、びっくりですね。
先代は大物ぶりを感じました。
こちらの建物、タイルといい、形といい、遊郭を連想してしまいました。
今治の夜を締めくくるに相応しいお店ですね、レポート堪能しました。
2017/09/20 URL 編集
SHIHO
外壁がこんな細やかなタイルって貴重な気がします☆
めっちゃ魅力の詰まった素敵なお店ですね。黄色のチューリップライトも可愛い☆
『スパイシー腸詰』というネーミングが最高です( ´∀`)
チョリソとかではなく…
スパイシー腸詰(笑)
2017/09/22 URL 編集
エムケイ
私も幻想的でウットリしました。
先代は超大物です。このときは松山行きの特急の時間もあり詳しくは聞けませんでしたが、ネットで調べるとかなり詳細な情報ありますよ。GHQにいたとか、戦後の今治で大きな貢献をしたようです。
よかったらお調べください。
2017/09/22 URL 編集
エムケイ
たまにどこかのトイレの床で似たような感じのタイルはまってますが(笑)。
和式のトイレに多い!
黄色のチューリップも形が可愛いです。
そそ、チョリソじゃなくてスパイシー腸詰。スパイシーな良いお味でしたよ。
2017/09/22 URL 編集